Youtubeで不動産コラムをながら聴き

パンデミック後のハワイにおける既存ビルのコンバージョン ーハワイ・ビジネス・マガジンー

 

パンデミックのお陰で、元々稼働率の低かったホノルルのオフィスビルが、アパート(マンション)にコンバージョンされた例があります。今日は、ハワイ・ビジネス・マガジンの記事から、いくつかの例や、その背景を解説します。

参考 Local Architects Talk About Repurposing Existing Buildings in Post-Pandemic Hawai‘iHawaii business magazine

 1132ビショップ通(中央)

オフィスビルを住居にコンバートする物件が増加

 代表的な例は、ホノルル・ダウンタウンの中心を走るビショップ通の高層物件です。在宅勤務が増え、全国的に深刻な住宅不足の需要に応えるためにも、このようなコンバージョンは増えると予想されています。もともと空室率が高くて、郊外とそう変わりない家賃しか取れなかったホノルル・ダウンタウンのオフィスビルは、パンデミック前から居住系にコンバートされたものがありました。逆に、在宅勤務が増えた分、オフィス内でのソーシャル・ディスタンスを増やしているテナントもありますが、そのような場合でも、ある程度の造作変更が必要になります。

ハワイパシフィック大学の寮にコンバートされたアロハタワー・マーケットプレイス

  これはもう古い例ですが、有名な話です。開発に失敗したアロハタワー・マーケットプレイスは、集客できずに困り果てた末、近くの大学の寮にコンバートしたのです。目の前が海と言うこんないい場所に住めるのであれば、入学したいと思う学生さんも多いことでしょう。

使われなくなった網倉庫を宴会場にコンバートした例

 稼働率が減るどころか、元の用途が陳腐化し、ほとんど使われなくなることもあります。これは、カカアコ湾の網倉庫だったのですが、現在、カカアコ湾は観光目的の船舶がほとんどですので、クプと呼ばれる非営利団体の宴会場にコンバートされました。こんなにきれいになる前のことですが、私の属している教団の牧師たちのクリスマス・パーティーがここで開かれ、参加したことがあります。観光スポットではありませんが、ここだけは別世界です。

非営利団体クプのホオクプセンターに様変わりしたカカアコ湾の網倉庫

古いビルをコンバージョンする3つの理由と障害

 新築にしないでコンバージョンをする理由は、主に三つあります。一つは、当然のことながら、費用が安くつくことです。コストが半分近くになるだけでなく、工期も短縮されます。2番目は、持続可能性です。解体されたビルで、リサイクルできるものはほとんどなく、環境保護庁の2018年の報告によると、解体と建築によって発生するごみは、年間600万トン。都市廃棄物の約倍です。三つ目の理由は、歴史的建造物の保護です。

しかし、乗り越えなければならない問題もあります。一つは、ゾーニング(建築規制)の変更です。オフィスは商業系のゾーニングですが、アパートを建てるためには、ホノルル市に申請し、アパート地域に変更してもらわなければなりません。

もう一つはビルのサイズです。商業系のビルは通常12mほどの幅がありますが、居住系は7.5~9mで、そのくらいの幅だと、リビング、ダイニング、寝室から外の景色を見ることができます。ホテルにコンバートする場合は、これがさらに大きな問題になり、総面積に対して部屋数が少なくなると効率が悪く、宴会場やプールなどをどこに作るかなどの問題もあります。

また、ビルシステムも、オフィスの場合ほぼ中心にありますが、居住系やホテルでは分散されています。換気も、居住系では窓を使うことが多く、改装コストが上がります。このような問題は古いビルほど深刻ですが、歴史的建造物の場合は改装できない部分も多くあります。私の良く知っている牧師さんの教会が、それと知らずにオバマ大統領が少年時代を過ごした古い家を購入したのですが、歴史的建造物に指定してもらって、固定資産税を下げてもらうことを検討したそうです。しかし、いったん指定されると、自由に改装工事ができなくなるので、止めたとか。私が住んでいるチャイナタウンにも、このような建造物が幾つかあります。

空室の多いオフィスビルはコンバートを検討するべき

コロナの前、ある銀行がチャイナタウンに本社ビルを建てて移転し、それまで入っていたビルが全部空室になったことがありました。ある仲介業者から、何十億円程度のオフィスビルをハワイで買いたいと言うクライアントがいるので、何かあったら教えてくれと言われ、このビルを紹介し、空のうちに安く買って居住系にコンバートすることを勧めました。改装費用も入れても、予算内に収まる物件でしたが、そこまでリスクを負いたくないということでした。それは無理もないと思ったのですが、やっていれば、かなりの利益があったのではないかと思います。空室の多いオフィスビルは、検討するべき時が来ているのではないでしょうか。

この記事を動画でチェック!

今日は、ホノルルにおける既存ビルのコンバージョンについて解説しました。またこの動画が良かったと思ったら、グッドボタンを押して頂ければ励みになります。このチャンネルではハワイの物件情報や、アメリカ・ハワイの不動産マーケットの情報をお届けしています。アメリカの不動産に興味のある方、ハワイで不動産を持ちたい方は是非チャンネル登録をお願いします。

パンデミック後のハワイにおける既存ビルのコンバージョン
元サイトで動画を視聴: YouTube.