今日は、インマンの記事から、ロシアの住宅市場について解説します。Youtubeビデオでは、私の知り合いがウクライナの友人から受け取ったビデオも紹介します。生々しい内容ですので、ご注意ください。
ウクライナ侵攻の制裁を受けたロシア中央銀行は、ルーブルの価値を守るため、政策金利を今までの倍の20%にしました。モスクワ・リアル・エステート・カンパニーのマラト・ヤルリン氏は、これが抵当ローン金利の上昇につながり、ロシアの不動産市場は「深刻に長期的に低迷」するだろうと述べています。ホームページの、「弊社ならロシアの不動産取引は安全です!」と言うコピーが、皮肉に聞こえます。
弊社ならロシアの不動産取引は安全です!(モスクワ・リアル・エステート・カンパニー)
インフレを恐れて、現金のあるロシア人はマンションを買いあさりました。ルーブルの価値が暴落するのを恐れたのです。私が初めてカリフォルニアで自宅を購入した1978年も、インフレ懸念で不動産価格が暴騰していました。その翌年ミズーリ州に引っ越すことになりましたが、購入したときより20%高く売れました。しかし、ロシアではそううまくは行かないようです。VTBなどの主要銀行の抵当金利は15.3%に跳ね上がりました。購入している資産家は、キャッシュバイヤーがほとんどです。
「直下型下落」
ソビエト連邦の時代、ロシアのほとんどの住宅は国有でした。住宅が自由化されたのは1991年で、住宅金融政策の枠組みができたのはその5年後でした。金融危機を何度か繰り返した後、プーチン大統領が住宅金融を優先課題として取り上げ、やっとまともにローンを借りてマンションを購入できるようになったばかりです。
それが困難になった今、「現金で買える人が買い漁った後は、取引が激減するだろう」とヤルリン氏は述べています。住宅市場を支援する政府のプログラムも、海外の銀行に預金されている中央銀行の何千億ドルもの準備金が凍結され、先が見えません。
ロシアの不動産市場は、海外同様、パンデミックで活性化しました。ヤルリン氏によると、ロシアの市場は、ロシアとしては低金利でしたので、2年前と比べて40%も上昇しました。しかし、何十年もかけて築かれたロシアの金融市場は、今まさに崩れかけています。
もう大分前のことですが、日本の不動産会社から、ヨーロッパ不動産見学旅行の受け入れ先を探して欲しいと頼まれたことがありました。当時、ロシアの市場が良くなっていると聞いていましたので、私が属しているIREM(全米不動産管理協会)を通して、ロシアツアーのお世話をしたことがありました。今では、もう考えられないことで、残念です。
ウクライナから知人に送られた民間人爆撃のビデオ
先週、知り合いから短いビデオが送られてきました。彼が、ハリコフのウクライナ人の友人から受け取ったものです。女性の悲鳴が聞こえ、何人かの方が路上に倒れています。解像度は低いですが、生々しい映像ですので、子供さんには見せない方が良いかもしれません。悲惨な戦争が、一日も早く終わることを祈ります。