コロナがホノルルのダウンタウンに与えた影響は?パシフィック・ビジネス・ニュースが、ホノルルの3人の事業用不動産専門家にインタビューしました。
CBREオフィス物件担当のシャーリー・アオナさんは、ロックダウン中もその後も、ほとんどの会社が帰省と健康問題を重視し、パンデミックが中心街に与えた影響は大きいと述べています。
「まだ全員がオフィスに戻ってきたわけではありません。大事を取って、何か月も閉めたところもありますが、ほとんどは再開しています。パンデミック以前から経営が厳しかったところは、閉業しましたが、それは遅かれ早かれそうなったでしょうね。」
コリアーズの第一四半期の報告によると、2022年第一四半期のオアフ島のオフィスの正味吸収は−47、401平方フィート(4、403平米)で、空室率は13。31%ですが、この高レベルは約20年ぶりです。最も減ったのが中心街で、正味吸収が-47、083平方フィート(4、374平米)、空室率は14。56%でした。
オフィス
ハワイ・コマーシャル・リアル・エステートのジェイミー・ブラウンさんは、オアフのオフィスの半分がダウンタウンにあり、カピオラニ通やワイキキを合わせると70%だと述べています。政府関係のビルも多いですね。
「B2Bのビジネスが多いと、相乗効果があります。みんながここに集まってくるのは、顧客もクライアントも歩いて行ける範囲内にいるからです。ダウンタウンにいるものにとっては、そのほうが多大な相乗効果があるのです。ダウンタウンからそう多くの人が出ていくことはないでしょう。」
イースト・ホノルルやカポレイの小さなオフィスビルの方が、稼働率が高くて家賃が高いそうですね。「ダウンタウンの方が安いです。カピオラニ通やワイキキよりも安いです。」
「ここ半年くらいは、ほとんどリースの更新だけです。パンデミック期間中にリースが切れた場合は、短期の延長でした。」
アオナさんも同意見ですか。「テナントも仲介業者も、パンデミックを利用して家賃を下げるよう、いろいろなビルに交渉しています。残念ながら、建築費が高騰しているので、特別な造作変更が必要なテナントは、移転してもあまり意味がありません。」
コリアーズ・インターナショナル・ハワイのブランドン・ベラさんは、オフィスのリース市場についてどう思われますか。「メインランドに比べてコロナの影響が強かったことを考えると、よく耐えたと思います。ダウンタウンの店舗は、客が減って大変でしたが、生き残った店は、パンデミック後は改善するでしょう。」
オフィスを縮小したテナントが多いと聞きましたが…。「これ以上ロックダウンや厳しい規制がなければ、テナントもリモートとオフィスのハイブリッドに慣れてきたし、年末ころには落ち着くでしょう。改善しなければならないのは、造作変更工事にかかる期間の短縮です。建築許可と建材が届くのが遅くなり、数年前の倍くらい時間がかかるようになりました。
建築費も高くて、テナントにとってもオーナーにとっても、リースすること自体が困難になっています。元に戻って、テナントが造作変更できるようになれば、建築業界にとってもいいです。」
ベラさんは、ダウンタウンの小売店やレストランは頑張っていると述べています。「特に開業して何年もたっているところは、ここ数か月、忙しくなってきました。」
アオナさん、カカアコの方が駐車場もあって便利そうですが…。「最近オフィスが再開するようになって、特に小さなレストランが開き始めています。コロナの規制が緩和されても、また元に戻ることがあり、多くのビジネスは再開のフライングの連続でした。これは特にダウンタウンで多かったです。この2年間、同僚と話すといつも、成り行きを見よう、と言う感じでした。」
コロナ規制が終わって、オフィスもレストランも人が戻ってきたようですが…。「数値化することはできませんが、年明けごろに比べると、中心街を歩いている人は増えています。どの店に聞いても、この2年間客足が減ったことは、売り上げに響いただけではなく、犯罪の増加につながりました。パンデミック前の昼頃にダウンタウンをドライブすると、特にフォート・ストリート・モールやチャイナタウンで昼食を取る人など、歩いている人が多くて、にぎわっていました。でも、今はまた客足が戻ってきて、昼頃は、フレッシュな空気を吸いたい人や、外食をする人が、だんだん増えています。」
ブラウンさんはダウンタウンで働いておられますが、どうですか。「道を歩いていて知ってる人に出会うなんてことはまだないですね。パンデミック以前のダウンタウンとは、全然違います。」
「パンデミック以前から、週末のダウンタウンをドライブすると、ひっそりしていましたね。スタッフの不安やスペースの必要性を調整している人たちは大変だと思います。大切なことは、お互い思いやりを持って、職場に安心して戻れるようにすることです。
それはよくできていると思います。小さなことですが、エレベーターに乗るときも、お互いにスペースを取るようにしています。この2年間、私たちは個人的にいろいろな影響を受けて、生活は一変しました。」
アオナさんは駐車場の使用状況を見て、通勤者が20~25%減っていると述べています。
「管理会社は、テナントに在宅勤務のアンケートをしているわけではありません。ハイブリッドで働いている従業員は駐車場をシェアしていますので、あまり正確ではありませんが、今のところ最も正確に測れるのはこれではないでしょうか。」
需要の変化
ベラさんは、在宅勤務が始まって、オフィスが職場と企業文化の延長上にあるとオフィス利用者が考えるようになったと述べています。
「これからは在宅勤務が大きな役割を果たすようになると思います。多くの会社は、できるだけ一緒にいる時間を持って、仲間意識を築くことが大切だと考えています。雇用主は、労働者の考え方やニーズを満たすとともに、その会社を成功させた組織の文化を築き続けなければなりません。」
アオナさんによると、従業員は、在宅を好む人と通勤を好む人に分かれるそうです。
「何でもそうですが、在宅ができるかどうかは会社のコアビジネス次第です。しかし、どの会社もスタッフの希望を取り入れるように努力しています。こんなことは、この10年間ありませんでした。」
CBREは、オープンオフィスかプライベートオフィスかなど、トレンドを追跡していますが、特にはないそうです。
「一般的に、ほとんどの会社は今の間取りのままで、例えば仕切りを高くしたりするなど、家具を少しアップグレードするくらいです。すべてのテナントが望んでいることは、従業員が戻って来たいと思えるようなオフィスにしたいということです。そのために、仕上げをアップグレードしたり、小さな休息室を作ったりしています。今のところ将来がまだ読めないので、劇的な変化はありません。短期更新をする場合、テナントは、お金のかからない小規模な造作変更をしてもらうことになります。」
将来の見通し
ブラウンさんは、ダウンタウンのオフィスから居住系へのコンバージョンと、ブランジアーディ市長のチャイナタウンをより安全にするという案を歓迎しています。
「チャイナタウンがよくなれば、ダウンタウンもよくなります。向こう2年ほどは、ハイブリッド勤務でオフィスが縮小され、空室が増えますが、コンバージョンはそれを吸収できます。」
私もチャイナタウンに住んでいますので、これは大賛成です。アオナさんも、コンバージョンには賛成です。
「不動産は周期的ですが、今は異例な状況です。現在の市況を見て予想できるのは、パンデミックの影響を受けなかった会社が動き始めるということです。つまり、弁護士、医療、建築、政府、軍関係のビジネスが、5年10年のリースにサインするようになるでしょう。金融、保険、不動産業は、常にオフィスを必要としています。今は空室率が高いですが、10年後にダウンタウンがゴーストタウンになることはありません。」
確かにゴーストタウンにはならないでしょう。しかし、ある有名な保険会社は、パンデミック前から在宅にして、占有していたオアフ島中央のオフィスビルが空になったことがありました。現在、急成長を遂げている不動産仲介フランチャイズeXpは、すべてバーチャルオフィスで、私にも何度もお誘いが来ます。メインランドのダウンタウンではコンドホテル開発が多いですが、ホノルルのホテルはワイキキにあり、ダウンタウンに多くのホテルを建てることはできません。これらを検討すると、居住系へのコンバージョンは、さらに増えるかもしれません。
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