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2022年7月オアフ住宅市場、金利上昇でついに減速

 ホノルル・ボード・オブ・リアルターズによる住宅市場統計は、2021年12月以降、毎月のように記録を更新し、2022年4月以外は、毎月、解説をさせていただきました。金利上昇で不動産市場にいつブレーキがかかるか、固唾をのんで待っていたわけですが、取引数は減ってきたものの、値段は上がり続けたのです。

21~22年の30年住宅ローン金利

 それが、7月になって久しぶりに記録更新がならず、取引件数もかなり減ってきました。急ブレーキとまではいかないものの、雲行きが変わってきたという感じで、毎日市場を見ていても、売りに出る物件より値段を下げる物件の方が多い日々が続いています。

 戸建ての戸建ての中央値は、6月同様$1,107,944と言う中途半端な数でした。7月の戸建ての取引数は312戸でしたので、売買価格の順に並べて、156番目と157番目の物件の売買価格の平均が中央値になります。暇なので調べてみたところ、156番目の物件が$1,105,888で売れ、157番目が$1,111,000で売れましたので、その平均が$1,107,944になったというわけです。

 それはともかく、去年7月の中央値の$992,500より11,6%上がっていますが、最高記録を出した今年5月の$1,153,500と比べると3.9%減っています。コンドの中央値は打って変わってちょうど$500,000で、去年7月の$475,000に比べて5.3%の上昇にとどまりました。新記録だった6月と比べると6.4%減です。戸建てを買えない人がコンドを買う傾向が続いていましたが、こう金利が上がったのでは、コンドも買えないということでしょう。

2022年7月オアフ住宅市場統計

 売買件数は、偶然ですが、戸建てもコンドも、前年比で22.8%減少しました。不動産の売れ行きは、季節的変動がありますので、通常前年比で比べます。しかし、今のように変化が激しい状況で、金利の影響がどのように市場に反映されているかを見るためには、前月比の方が良くわかります。前月比でも、戸建ては12.6%、コンドは17.3%減っています。

売買件数(黄:コンド、緑:戸建て)

 売りに出た物件も、戸建てが386戸で17.7%減、コンドが616戸で7.2%減です。しかし、現在売り出し中の物件は戸建てが38.8%、コンドが8.4%増えています。新規に売りに出た物件が減っているにもかかわらず、在庫が増えているのは、売れる物件が、売りに出される物件よりさらに少ないからです。

 地域別でみると、戸建ての売買は全体的に減っていますが、特に減ったのがエバ平野、カネオヘ、リーワードで、今までのトレンドが続いています。コンドは、市街地が389戸から285戸に減り、26.7%減です。

 戸建ての49%が売出価格より高く売れましたが、去年の70%、6月の62%に比べると減っています。売り出し価格以上で売れた戸建ても、今年は66%でしたが、去年は79%でした。売出価格より高く売れたコンドは、去年の38%とほぼ同じ37%で、売出価格以上で売れた物件も去年の62%とほぼ同じ60%でした。

 7月に売りに出た386物件の中でまだ成約していない戸建ては243件。これは全体の63%に当たりますが、去年は46%でした。同様に7月に売りに出たコンド616物件中353物件、57%がまだ成約していませんが、去年7月は49%でした。どちらも、売れ行きが鈍っていることを示しています。

コンド価格別成約までの日数中央値

 それでは、最後にもう一つ興味深いグラフをお見せしましょう。これは、コンドの価格帯別の制約までの日数の中央値です。濃い黄色が2022年、薄い黄色が2021年です。まず、$15万未満のコンドが11日から54日に激増していますが、これは何を意味しているのでしょうか。$15~30万のコンドが28日から13日に減っているのですから、それよりも安いコンドはもっと早く売れてもよさそうなものです。

 これは、$15万未満の物件には土地付きのものがほとんどないからではないかと思われます。借地に建てたコンドは、古いものが多く、リース期間が残り少ないばかりでなく、リース料も高くなっているものが多いので、なかなか売れません。また、残余リース期間が短いと、ローンをもらうことも困難です。

 それに比べて$150~200万の高級コンドが76日から5日に減っています。この極端な減少を見たときは、サンプル数が2~3件しかないのではないかと思いましたが、去年7月は11戸、今年は6戸売れていますので、統計として意味がないほど少なくはありません。また、2020年8月~2021年7月のこの価格帯の成約までの日数が44日であったのに比べて、2021年8月~2022年7月は18日に減少しています。この価格帯の高級コンドを購入する人は、現金で買う人が多いので、金利上昇は関係ないということでしょう。

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2022年7月オアフ住宅市場レポート:金利上昇でついに減速
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