ハワイの住宅不足の解決案を模索するため、数名のホノルル市議会議員が、シンガポールのユナイテッド・テク社の高級コンド、アンモキオライズの建築現場を見学しました。このコンドの工法は、PPVC(Prefabricated Prefinished Volumetric Construction)と呼ばれます。
PPVCは、建設業界で使用される近代的な建築手法の一つです。これは、建物や建築物の構造物を工場で事前に製造し、完成した構造物を現場に運んで組み立てる方法です。PPVCは、建設プロセスを効率化し、品質を向上させることができます。建物の構造体や部品を工場で製造するため、建設現場での作業時間が短縮され、天候や他の外的要因に左右されにくくなります。また、建物の品質管理もより容易になります。
「Prefabricated(プレファブリケイテッド)」は部品や構造物を工場で作ることで、日本ではよくプレハブと呼ばれます。「Prefinished(プリフィニッシュト)」は工場での製造段階で仕上げを施すこと、「Volumetric(ボリューメトリック)」は立体的な構造を指しており、これらの手法を組み合わせて効率的かつ高品質な建設を実現します。
ハワイでも、既に住宅キットのようなものを使った工法はあります。以前ビデオで紹介したSIPシステムズ・ハワイは、設計図に沿って送られてきた住宅の「部品」を現場で組み立てるだけですので、延べ労働力が4分の1で済み、建築費も半分近く削減し、その上ゴミもほとんど出ません。
もう一つの利点は、輸送にかかる費用が低いことです。通常のモジュラー工法では、住宅をいくつかの部分に分けて工場で建築し、それらを現場まで輸送してつなぎ合わせます。そのため、輸送しているものの大半は、屋内の空のスペースですが、SIPシステムズの工法には、その無駄がないのです。
しかし、欠点もあります。この工法は木造に限られますが、モジュラー工法であれば、高層ビルでもレゴを積み重ねるように建てることができるのです。
ハワイは慢性的な住宅難ですが、マウイ島の火事で、さらに7,000戸の住宅が必要になったと言われています。それを解決するためには、一週間でワンフロア建てることのできるPPVCは魅力的です。積み上げられる「レゴ」は、9割がた仕上がっていますので、1戸当たりの工事期間はさらに短縮されます。
マーク・ディベロップメント社のポール・ワタセ氏は、建築ローンのコスト削減も大きなメリットだと述べています。建築ローンは、実際に必要になったときに必要に応じて借りていき、完成して売る、あるいは長期ローンをもらって完済します。金利や手数料は通常のローンより高いのですが、建築期間が短くなれば、ローンのコストもそれだけ下がるのです。
市は、島の西部に低所得者向けのモジュラーマンションを建てたことがあり、その時はカナダの会社からモジュラーを取り寄せました。それでも、通常の工法よりは安かったそうですが、その後この工法が使われたと言う話は聞いていませんので、大した節約にはならなかったのでしょう。これがハワイで取り入れられるようになるためには、ハワイに工場を作らなければならない、とワタセ氏は述べています。
ハワイにモジュラー工場を建てたい方がいらっしゃったら、住宅難緊急事態宣言を発令したグリーン知事にご紹介します。
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