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米国不動産、投資するならどこ?日本業者は要注意

 今、米国の不動産業者の継続教育授業をアップデートする仕事をしています。難しい話が多いのですが、米国の人口や経済基盤分析に関するトピックがありましたので、今、米国のどこに投資するのがいいか、簡単にご紹介します。

アメリカの四つの地域

 米国は、通常、北東部、中西部、南部、西部の四つの地域に分けます。今使われている教材は2017年に作られたものですが、それには、将来人口が伸びる地域は西部と南部だと書いてあります。しかし、パンデミックの影響もあり、2020年から2022年にかけて最も人口が減ったのはカリフォルニア州で、人口が国全体に占める割合が増えたのは南部だけでした。

 カリフォルニア州は民主党の地盤で、かなり左翼的な政策で有名ですが、それが裏目に出ていろいろな社会問題を抱えています。ホームレスが急増し、人口当たりのホームレスの数がハワイを抜いて全国一になりました。引越業者も、引越先の州からカリフォルニアに引っ越す人が少ないので、空のトラックを運転してカルフォルニアに戻ることが多いとぼやいています。

 以下は、正味国内移住の上位5州と下位5州です。これには、出産による自然増加や海外からの移住は含まれていません。ノースカロライナやサウスキャロライナは、南部の田舎という印象が強かったですが、今はそんなことはありません。

正味国内移住
フロリダ622,476
テキサス475,252
ノースカロライナ211,867
アリゾナ182,362
サウスカロライナ165,948
正味国内移住
カリフォルニア−871,127
ニューヨーク−664,921
イリノイ−282,048
マサチューセッツ−110,866
ニュージャージー−107,749

 これを見てもお分かりのように、上位5州のうち4州が南部です。アリゾナ州は西部ですが、政治的には中道です。そのほかにも、西部で人口の増えている州はいくつもありますが、人口の少ない州が多いので、西部全体を盛り上げることはできていません。アリゾナ以外で人口が増えている西部の主な州はアイダホ州、ユタ州、コロラド州で、アイダホとユタは保守派、コロラドは穏健なリベラル派です。

 数年前、アイダホ州の州都のボイジーに物件を持っておられる日本人の方から、その物件を売ってハワイに買おうと思うのだが、と相談されました。絶対に売らないほうがいいと勧めて売らなかったのですが、ボイジーは、ここ数年不動産価格が最も高騰した都市の一つになりました。それにしても、この方、どうしてそんなところに物件を買われたのでしょうね。先見の明があったのかな。

 以下は、2022年の米国の都市のトップ10です。北東部のニューヨーク、西部のロサンジェルス、中西部のシカゴは、軒並み人口が減っています。南部で一番人口の多いテキサス州のヒューストンも少しですが減っており、ダラスも減っていますが、同州のサンアントニオやオースチンがその穴埋めをしています。サンアントニオやオースチンは、日本ではほとんど知られていないのではないかと思われますが、気付かないうちに急成長しました。

 それに比べて、北東部のフィラデルフィアはフィーニックスに抜かれました。20年の国勢調査で初めて10位に入ったカリフォルニアのサンノゼも、あっさりオースチンに抜かれてしまいました。

米国の10大都市

 以下のグラフは、1968年から2021年までの、米国4地域の持ち家率の推移です。中西部が一番高いですが、これは不動産が安いからです。南部は人口が増えていますので、不動産価格も上がっています。その割には持ち家率が高いですが、それは北東部や西部、というより西海岸に比べると、不動産がまだまだ安いからです。つまり、米国での不動産投資は、南部か、西海岸以外の西部がいいということになります。

米国4地域の持ち家率の推移

 投資先は、州の政権にも注意するべきです。あまり左翼的な州は、ビジネスフレンドリーではなく、ということはオーナーフレンドリーでもないということです。不動産に関する規制が多いだけでなく、州からビジネスが出ていく傾向があり、当然人口も減ります。

 ハワイはどうでしょう。ハワイは左翼ではありませんが、民主党議員の割合が全国一多い州です。特にオアフ島は人口も減っており、投資としてはあまり勧められません。ただし、どうせ毎年のようにハワイに遊びに行くという方は、小規模な投資をして、ハワイ旅行を経費で落とすということができるでしょうね。

 最後に、物件を購入なさる場合、日本人経営の仲介業者には頼まないほうがいいと思います。私が属しているIREM(全米不動産管理協会)やCCIM(全米認定不動産投資顧問協会)の日本支部の会員から、日本人経営の業者を使って高く買わされたという話をよく聞きます。もちろん、信頼できる業者もあるとは思いますし、アメリカの業者で働いている日本人エージェントなら、信頼できる可能性が高いと思います。

 私は、全米どこでもよく知っている不動産業者の知人がいるというわけではありません。しかし、これら二つの団体を通して信頼できる業者を紹介してもらうことはできますので、ご希望の方は遠慮なくご相談ください。

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米国不動産、投資するならどこ:日本業者に要注意
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