ファニーメイの株については、今までも何度かブログを書きました。私は株に関しては素人ですが、ファニーメイは不動産金融会社ですし、私自身、株を買っていますので、書かせていただいたわけです。今年3月に出したYouTubeビデオを見てファニーメイに投資した方から、お礼のコメントも来ました。
日本ではファニーメイをご存じない方も多いと思いますので、簡単に説明すると、正式名は連邦住宅抵当公庫で、米国政府の支援を受けた企業です。その主な使命は、住宅ローンを住宅ローン担保証券(MBS)に証券化することにより、貸し手に流動性を提供し、より多くの住宅ローンを発行できるようにします。
つまり、ファニーメイはローンの発行や借り手への直接の融資は行いません。代わりに、銀行から住宅ローンを購入し、それらをMBSにパッケージ化し、投資家に販売します。こうして銀行は、返済を待つことなく、ローンを売ってできたお金でまたローンを出すことができるのです。
2008年のリーマンショックの一つの原因はこの制度でした。つまり、銀行はローンを出しさえすれば儲かるので、返済能力のない人にも貸したのです。そのため、住宅ローンの不良債権(ノンパフォーマンスローン)が急増したのです。
リーマンショック後、ファニーメイは2008年9月に連邦住宅抵当公庫(FHFA)によって管理下に置かれました。これは、住宅抵当証券市場の崩壊により、ファニーメイが流動性を失ったためです。連邦政府は、救済のための資金を出しましたが、ファニーメイはその借金を実際に使うことはなく、準備金としての役割を果たしただけでした。
ファニーメイは、その利益のほとんどを財務省に収め続けました。トランプ政権は政府管理下から外そうとしましたが、そのためには自社で十分な準備金を蓄える必要がありました。以下は、選挙直前に私のファンドマネージャーから来たメールの概要です。
「トランプが勝てば、彼はおそらく任期終了までにこの企業を管理下から外し、希薄化なしで再上場させるでしょう。投資家はそれを期待して、当選した時点で株価は倍増するでしょう。ハリスが勝てば、株価は半減すると思います。
しかし、私は彼女も同様に管理下から外し、再上場させると考えます。それは、この企業から得た年間200億ドルの税引前利益をすべて吸い上げることが、最高裁で違法とされたためです。ハリスは年間180億ドルの配当を取り続けることはできますが、上場させて、IPOとその後の売却から1500億ドルを短期間で得て財政赤字を埋める方が、年間180億ドルを財務省に入れるよりも得策です。
選挙前にどれだけ保有し、選挙後にどれだけ買うかのバランスを取ることが重要です。あなたはすでにこの株に3万ドルを投資しています。それが18倍に上がれば大きな利益になります。仮に50セントまで下がっても、NVIDIAやフェイスブックなどの利益を考えれば、ポートフォリオにほとんど影響はないでしょう。」
株の希薄化とは、企業が新しい株式を発行することによって、既存の株主が持つ一株あたりの価値が低下する現象を指します。これにより、既存の株主の所有する株の割合が減少します。18倍になることに関する彼の説明は以下の通りです。
「税引前利益は年間200億ドル、一方で時価総額はわずか18億ドル(完全希薄化後でも80億ドル)です。企業価値は、PER(株価収益率)が10倍としても純利益150億ドルですから1,500億ドル(現在の約18倍)です。現在90億ドルを積み立てており、3年以内に管理下から脱出するのに十分な資金を貯めることができます。政府は株の80%を持っていますが、そのワラントは2028年に失効します。」
ワラント(Warrant)とは、株式や債券などの金融商品に付随する権利の一つで、特定の価格(行使価格)で新たに株式を購入する権利を意味します。ワラントは通常、一定の期間内に行使する必要があり、その期間が過ぎると権利は無効になります。これもハリスがそれまでに管理下から外す可能性が高い理由の一つです。
これだけ儲かっているファニーメイが破産することは考えにくいので、この株は、下がってもせいぜい半分程度、上がれば20倍という投資です。というわけで、選挙前日にさらに5万ドル追加投資しました。以下は、選挙日以降の株価の動きです。
私が購入した時は$1.30でしたが、選挙当日にはすでにトランプ有利と見て株式市場全体が上がり始め、翌日一挙に$2.30まで上がりました。パーセンテージにすると77%、私の5万ドルの追加投資は、9万ドル近くにまで値上がりしたのです。もともと持っていた3万ドルも合わせると、8万ドルが14万ドル以上になり、6万ドル以上の値上がりです。また米国のIRA(個人退職勘定)でもいくらか株を持っていますので、1日で約一千万円儲けたことになります。
株価はその後も上がり続け、11月15日の終値が$3.19。10日で2千万円上がったことになります。
私は、政治的には保守中道で、「トランプだけは勘弁して欲しい派」です。しかし、トランプが当選したおかげで、ファニーメイが政府管理下から外される可能性が高くなりました。これほど巨額のIPOが一度にできることは考えにくいし、どのような形になるかはよく分かりません。いずれにしろ、トランプ政権下でそれが起きる可能性が大きいので、いくら追加投資をするか考えているところです。
このブログを動画でチェック