2月は戸建ての中央値が過去最高となったホノルルの不動産市場。トランプ政権の混乱の中、今後どうなるのかについて解説します。トランプは不動産業者なので、不動産業界に有利な政策を打ち出すだろうと予想されていましたが、果たしてどうでしょう。
DOGE(政府効率化省)
まずに気になることは、国家公務員の解雇です。DOGEによる無差別とも思える解雇が毎日のように報道されています。しかし、参加している著名な経済人はマスクだけではありません。私は、DOGEのそうそうたるメンバーの1時間にわたるインタビューを見ましたが、マスコミは彼らの無茶ぶりだけを報道していて、彼らが発見している政府の無駄遣いに関する肯定的な報道は、ほとんどありません。
ですので、個人的には、彼らのやっていることがすべて悪いとは思わないのですが、UHERO(ハワイ大学経済研究所)の分析によると、ハワイの国家公務員は2,000~2,200人解雇されるだろうと言う見通しです。これは、全体の5%を占め、20人に一人が解雇されると言うことになります。幸い、現在のハワイは空前の人手不足ですので、その多くは吸収されるでしょう。
しかし、特に軍関係の被雇用者の多くはハワイ出身ではありませんので、メインランドに帰る人も多いでしょう。また、ハワイの求人の多くは給料の安いサービス業ですので、比較的高い給料をもらっていた公務員が就きたい仕事ではありません。人口が減ると不動産の需要が減りますので、不動産市場は悪化するはずですが、もともと極端な住宅難であるハワイでどれだけ影響があるかはよく分かりません。
関税
今話題になっている関税に関しては、多くを輸入に頼っているハワイ州にとってはインフレ懸念となります。不動産業界に限ると、建材が急騰し、建築費が上がると予想されています。そうなると、新築は減ります。
全ての関税が悪いわけではありません。中国の電気自動車産業のように、政府の援助によって安く販売されているものは、その分関税をかけることによって、最終的に中国政府の援助が米政府の収入になります。実際の数字を使って説明するとわかりやすいでしょう。
本来2万ドルで売るべき車を、中国政府が1万ドル援助しているため1万ドルで輸出できるとしましょう。米国が100%の関税をかけると、輸入業者は中国の製造会社に1万ドル、米政府に1万ドル払うことになります。でも、本来2万ドルするべき車ですので、高く買ったわけではありません。中国政府は1万ドル損をし、米政府は1万ドル得することになります。
このような関税はかけるべきですし、相互関税も仕方がないかもしれませんが、今はちょっとやり過ぎ。もう少し慎重にしてもらいたいものですね。
政府省庁閉鎖
2025年3月14日に、下院のつなぎ予算案を上院が可決しました。下院は過半数で可決されますので、僅かながら多数派である共和党の案が問題なく通りましたが、上院では100人中60人以上が賛成しなければ可決されません。そのためには民主党議員の協力が必要でしたが、9人が賛成表を入れてくれて可決されたのです。しかし、賛成に回った少数党院内総務のチャック・シューマー氏は強く批判されました。
彼が賛成に回った理由は、賛成しなければ、予算がなくなり、政府を一時的に閉鎖しなければならなくなるためです。これは、以前、共和党の強硬派がやったことがありますが、国民から強く批判され、逆効果でした。シューマー氏は、支持率の低い民主党をそのような非難にさらしたくなかったのです。このつなぎ予算は25年の9月までですので、その時にシューマー氏等が、非難されると知りながらまた賛成票を投じるかどうかは、分かりません。
政府が閉鎖されると、いろいろな政府機能が止まり、不動産購入が難しくなります。それだけではありません。もし今回のつなぎ予算が可決されていなかったら、国が出している全米洪水保険制度がストップしたでしょう。洪水保険はリスクが高いので、民間の保険会社が出したがらないのです。
これは、海に囲まれているハワイにとっては致命的で、保険で担保されていない物件に銀行はローンを出しません。既存のローンでさえ、残高を一括請求されるでしょう。州が何らかの処置を取るとは思いますが、一時的に混乱することは間違いないでしょう。
規制緩和
悪いことばかりではありません。現在、民主党も共和党も、米国のほとんどの市町村にあるゾーニング(建築規制)を緩和することによって、全国的な住宅難を緩和しようとしています。しかし、それが出来るのは地方自治体であって、国ではありません。
でも、トランプはそんなことで簡単に引き下がる人ではありません。現在、ホノルルは軽量軌道電車の建設中で、国からの援助があります。駅の周辺のゾーニングを緩和しなければ金を出さないなどという条件を付けるかもしれないと、ハワイ・リアルターズの専属弁護士、ジェイソン・コータ氏は述べています。
コータ氏の口調は、トランプを支持している印象はありませんが、この可能性については歓迎しているようです。駅周辺地域の容積率を上げるだけでも、少しは住宅難の緩和につながるだろうと言う意見です。
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