建物の評価は、固定資産額評価をそのまま使います。設備は、建物と一体になっていますので、その価値は固定資産税評価額に含まれており、個別に評価する必要はありません。
しかし、門、塀、庭の木、石、池などは、別々に評価されます。門や塀は、新たに建築するのにかかる費用から減価償却分を引いた金額に70%を掛けます。庭は、新しいほど価値がある訳ではありませんので、減価償却はしません。評価額は、同程度のものを取得するのにかかる費用の70%です。
土地の評価は、路線価がある場合とない場合で異なります。どちらかわからない場合は、国税庁のホームページから財産評価基準書の評価倍率表(一般の土地用)で確認できます。
路線価がある場合は、一定の調整をします。路線価図は、税務署で閲覧することもできますが、国税庁のホームページでも公表されており、毎年7月頃に発表されます。2つの矢印に挟まれているのが平米当たりの路線価で、単位は1,000円です。数値の後のアルファベットは借地権割合で、次章で詳しく説明します。
路線価がある場合の調整方法のうち、最も簡単で代表的な調整は、以下の通りです。
(例)平米当たりの路線価×奥行価格補正率×面積(平米)=評価額
土地は長方形と言うイメージがあるかもしれませんが平行四辺形や、細長い形をしていたりする場合がありますので、その土地の現況によって評価額を調整する必要があります。様々な状況に対応するために多様な評価計算方法があります。例で使った奥行価格補正以外にも、側方路線影響加算、二方路線影響加算、間口狭小補正、奥行長大補正、崖地補正などがあります。
「加算」は、調整によって評価額が路線価より上がり、「補正」は下がります。例えば、複数の道路に面している宅地は通常より価値が高く、道路に面していない宅地や、形がいびつである宅地などは、価値が低いのです。
参考までに、その他にも土地の種類や規模によって様々な評価基準が存在します。“私道”の評価や、3大都市圏においては500㎡以上、3大都市圏以外の地域においては1000㎡以上の面積(地積)の宅地の評価等です。
路線価がない土地は、固定資産税評価額に、地域ごとに定めた倍率をかけて評価額を出します。固定資産税評価額は、原則3年ごとに改訂され、倍率は毎年改定されます。倍率表は、国税庁のホームページで公表されています。なお、固定資産税評価額とは、固定資産台帳に登録された価格で、固定資産税の計算に使われる課税標準額ではありませんので、ご注意ください。
宅地は、通常、画地ごとに評価します。画地とは、一つの目的のために使われている土地の単位で、筆とは異なります。一筆に、自宅と賃貸アパートが建てられているような場合、一筆でも2画地とみなされます。
一つの画地を複数の相続人が分割して相続し、その一つ一つを別々に宅地として使うことが困難になることもあります。そのような場合、調整をすると評価額が下がりますが、分割が著しく不合理であると思われる場合は、分割前の1画地が1単位として評価されます。
土地と一言にいっても様々な土地があり、どのような目的に使われるかによって23種類の地目に分類されます。たとえば建物を建てることが出来る土地を“宅地”。農耕地、いわゆる田んぼであれば“田・畑”。竹木を生育する土地であれば“山林”という地目になります。また全23種類のうちいずれにも該当しない土地は“雑種地”という地目で評価することになります。
農地、生産緑地、山林の評価方法
農地の評価方法 | ||
種類 | 特徴 | 評価方法 |
純農地 | 耕作目的、地域の宅地価格の影響を受けない | 倍率方法 |
中央農地 | 市街地の近郊、純農地より売買価格が高い | 倍率方法 |
市街地周辺農地 | 市街地に近く、宅地として活用することができる | 市街地農地だった場合の80% |
市街地農地 | 農地法の転用許可済みの農地など | 宅地比準方式か倍率方式 |
農地と山林は、倍率方式又は宅地比率方式で評価します。農地は、4種類に分類されます。
純農地とは、耕作目的の土地で、地域の宅地価格の影響を受けない土地です。中央農地とは、市街地の近郊にある農地で、純農地より売買価格が高い農地です。この二つは倍率方法を使います。
市街地周辺農地は、市街地に近く、宅地として活用することができる農地です。最後に、市街地農地は、農地法の転用許可済みの農地などです。評価方法は、まず市街地農地から説明しますが、宅地比準方式または倍率方式です。倍率方式は、すでに簡単に説明しました。宅地比準方式は、以下の式を使って計算します。
(宅地とみなした場合の平米当たりの価額-平米当たりの造成費の額)×地積=評価額
市街地周辺農地は、市街地農地だった場合の評価額の80%です。
市街地の農地などは宅地並みの評価額になりますが、生産緑地に指定されると告示の日から30年間は、建物新築や宅地造成が制限されますので、通常の65%になります。ただし、生産緑地は、指定から30年後、あるいは農林業の主たる従事者が亡くなると、市町村に買取を要請できます。そのため、買取が近づくにつれて価値が上がり、5年ごとに5%上がって、30年経つと95%になります。
山林の評価方法 | |
種類 | 評価方法 |
純山林 | 倍率方式 |
中間山林 | 倍率方式 |
市街地山林 | 近隣純山林比準方式か宅地比準方針 |
山林の評価は、基本的に農地と同じですが、純山林、中間山林、市街地山林に区別されます。純山林と中間山林は倍率方式、市街地山林は近隣純山林比準方式か、宅地比準方針か倍率方式のいずれかの方法で計算します。
分譲マンションの評価方法については、「分譲マンションの評価方法」の章を参考にしてください。
このブログを動画でチェック