今日は、コロナの影響で多世代住宅を購入する人の割合が急増したというNARの統計をご紹介します。報告内容は、1.多世代住宅が売買に占める割合の推移、2.2019年と2020年の多世代住宅購入理由の変化、3.人種別の多世代住宅購入の割合と理由です。最後に、ハワイ州の多世代住宅と多世帯住宅の違いや、私が多世帯住宅をお勧めする理由について解説します。
コロナの影響で変わる親との同居事情
米国の親は、日本人ほど子供を甘やかせませんので、社会人になると、未婚でも家を出て、一人で、あるいはルームメイトと住むことが多いのですが、リーマンショック以後、親と同居する人が増えてきました。それに伴い、NARが、2012年以降、多世代住宅の売れ行きを調べるようになったのですが、2020年は、コロナの影響もあり、全体の15%を占め、統計を取り始めてから最高になりました。2012年の14%から下降傾向でしたが、2019年は11%でしたが、20年には15%に急上昇したのです。
もともと、多世代住宅購入の最大の理由は、両親の世話で、2019年にそれを理由に挙げた人が25%でしたが(複数の理由がある人もいるので、全部足すと100%を超える)、2020年は28%に増えています。また、親と過ごす時間を増やすためと答えた人も、17%から21%に増えています。
ご老人のための施設でコロナに感染して亡くなられた方が多かったので、これは当然ですが、学校がオンライン授業になったので、孫の世話をしてもらうためということも考えられます。実は私たち夫婦も孫の世話をしていますが、通いです。今後もこの傾向は続くと思われますが、多くの家族がそれを望んでいるだけでなく、55%の老人ホームが赤字で、72%が来年までに閉鎖する可能性があると報告されていますので、ホームに入りたくても入れない人が出てくるかもしれません。
親と同居する経済上の理由
もう一つの理由は、多世代の財源を合わせないと、家を購入できないということで、12%から15%に増えています。一家族しか住めない家を別々に買うことはできなくても、二家族で多世代住宅を購入することはできるということです。また、コスト削減が理由だと述べた人も、16%から18%に増えました。洗濯機などの電気製品や家具などは、二家族で共有できるものが多く、何事につけコストを下げることができます。車も、一世帯で2台が普通ですが、2世帯なら3台で済むかもしれません。
以外なのは、18歳以上の子供が一緒に住めるようにという理由が20%から13%に激減したことです。しかし、18歳以上の子供がずっと家に住んでいることが理由だという人は14%から17%に増えています。独身の子供の場合は、多世代住宅を購入する必要性もないので、この数字だけを見ても、実態を明確に把握することは困難です。
社会人の子供は、親と一緒に住めば経済的にかなり助かります。アメリカ人の親は日本ほど甘くないと言いましたが、学費も学生ローンを借りる人が多く、平均$32,731です。コロナでローンの金利がゼロになりましたので、返済も進んだでしょう。初めて家を買う人の22%は、購入まで親と一緒に住んでいた人です。来年あたりは、親と同居していた若い人がマイホームを購入するということが増えるかもしれません。
人種別の事情
最後に、人種別に見ると、多世代住宅購入が最も多かったのはアジア系で23%、次はラテン系で18%、黒人が15%、最も少なかったのが白人で10%でした。アジア系の理由で最も多かったのが親と過ごす時間を増やすためで37%、ラテン系はコスト削減で24%、黒人は18歳以上の子供と住むためで18%、白人は親の世話をするためで27%でした。ハワイは、アジア人が多数派であるばかりでなく、住宅価格が高いので、多世代住居は多いです。
多世帯住宅と多世代住宅の違いとは
私は、ハワイの多世帯住宅のオープンハウスをビデログでご紹介しています。私が紹介しているのは、多世帯住宅であって、多世代住宅ではありませんが、アパートでもありません。その違いをご紹介します。
州によって法律は異なると思いますが、ハワイで多世代住宅として使われる家の多くは、法的に1戸とみなされ、台所は一つです。台所とみなされるためには、オーブン(と言ってもオーブントースターのような小さなものではなく、七面鳥の丸焼きができるような大きなもの)と冷蔵庫がなければなりません。ない場合は、台所とは認められず、キッチネットとかウェットバーと呼ばれますが、多世代住宅として使われる家の多くは、台所とキッチネットがあり、二世代がそれらを使い分けることになります。
しかし、それらの多くの家は、例えば階段の登り口か降り口に戸をつけて、それを締め切ることによって1階と2階を分け、2階は外の階段からアクセスするようにして、キッチネットのある方を他人に貸すことがよくあります。つまり、本来多世代住宅であるものを、多世帯住宅にしてしまうのです。実際には、通報されない限り、誰かが点検に来るわけではないので、違法ですが、オーブンや冷蔵庫をつけて貸すことがほとんどです。融資のために鑑定士が来るときだけ、それらを台所の外に出しておけばよいだけで、家の外に出す必要さえありません。
ほとんど施行されていない法律ではありますが、こういう違法な貸し方をしているオーナーのほとんどは、自分がどちらか片方に住んでいることが多く、両方貸している場合でも自分で管理していることがほとんどです。ちゃんとした管理会社は、そのような貸し方をしている物件は管理してくれないことが多いですし、違法ですので私もお勧めできません。
私がハワイの多世帯住宅をお勧めする3つの理由
しかし、二戸一物件などは、法律的に2戸とみなされますので、多世帯住宅であり、合法です。もちろん、多世帯住宅を多世代住宅として使うことは問題ありません。4戸までは、オーナーがそのうちの1戸に住んでいればマイホームとみなされ、金利の高い投資ローンではなく、住宅ローンをもらうことができます。また、不動産管理法の中に、適用されないものもあります。日本の投資家の場合は、住むわけでもないし、ローンを借りるわけでもありませんので、これは関係ありませんが、通常の戸建てよりは家賃収入が多く、投資としては有利であることが、お勧めする理由です。
ハワイの4LDK以上の物件の約3分の1は多世代住宅だと思いますが、多世帯住宅は、そう多くはありません。現在、オアフ島の4LDK以上の戸建てで売りに出されている未成約物件は約300戸ですが、多世帯住宅は約30戸に過ぎません。また、このような物件には建築許可を取らないで増築したものも多いので、高くはないのに長い間売れていないものにはご注意ください。建築許可を取らないで増築することはよくあり、特に問題にならないことも多いですが、許可なしに二戸一にした物件を2世帯に貸すことは違法です。
多世代住宅にしろ、多世帯住宅にしろ、新築には少なく、建築許可を取るのも大変ですので、これからも需要は増え、価格の上昇が期待できると思います。もう一度まとめますが、多世帯物件をお勧めする理由は、住宅ローンが出ること、不動産管理法がすべて適用されるわけではないこと、そして収益が高いことです。ご興味のある方は、ご連絡ください。