在宅勤務のニーズに応えるヘッドフォンやイヤフォンは、まだほとんど市場に出回っていません。在宅勤務の普及は不動産に影響を与えますが、今日の話は、不動産に直接関係する話ではありません。私自身の経験に基づいて、子供さんやご両親のおられるご家庭で、仕事に集中するのに役立つものをご紹介します。
一口で在宅勤務と言っても、色々な事情が…
このようなブログを書くきっかけになったのは、私自身、そのニーズがあったからです。私はハワイに住んでいますが、去年8月、松山で独居していた母が入院し、帰省しました。母は回復して退院したのですが、独居は無理なので、私が同居しています。母の世話をしながら仕事をするためには、色々な問題があることに気付きました。すっかり「エキスパート?」になってしまいましたので、自分の専門外のことですが、皆さんと共有したいと思います。
母は、起きているときはほとんど居間でテレビを見ています。小さな家でも、居間から一番遠い私の部屋で戸を閉めて仕事をしていると、母が私を呼ぶ声が聞こえません。戸を開けておくと聞こえますが、冬は暖房しますので、戸を閉めなければなりません。夏になると、冷房で同じ問題に直面するでしょう。私は、テレビを見ている母と一緒に、居間で仕事をしなければなりません。
母は耳が少し遠いので、テレビの音が大きく、それを聞きながら仕事をすることは困難です。そのため、私はイヤフォンでBGMを聞きながらしていました。日本の家は狭いので、仕事部屋が確保できなくて、生活音にさらされながら仕事をしなければならない方は多いと思います。神経を集中させるためのBGMは、youtubeにたくさんありますので、お試しください。
オンライン会議のニーズを満たすイヤフォンがない
オンライン会議に出るときは、テレビの音が相手に良く聞こえます。自分が発言することがあまりなければ、ミュートすればいいですが、私の場合、自分が会をリードしたり、通訳したりすることが多いので、それはできません。ズームやラインなど、多くのオンライン会議用アプリにマイクのノイズキャンセリングの機能がつくようになりましたが、母のテレビの音が気にならないほどのノイキャンはできません。
そこで、ノイキャンのアプリを使ってみました。ノイキャンの方法はいくつかありますが、アプリのノイキャンのほとんどはAIです。最近は、AIノイキャン・アプリを内蔵しているアダプターもあります。また、コンピューター自体にノイキャン・アプリが最初からインストールされているものも増えています。
このようなアプリの宣伝は、効果的にキャンセルできる音のみを例に使って宣伝していますので、鵜吞みにしないで第三者のレビューを参考にしてください。キャンセルしやすい音と、しにくい音があります。テレビの音で一番邪魔になるのは人の声です。しかし、話声をキャンセルしてしまうと、会話ができなくなりますので、AIが人声をキャンセルするのは、難しいようです。何種類か試してみましたが、あまり役には立ちませんでした。ズームやラインのノイキャンもAIですので、結局AIのノイキャンを二重にかけているにすぎません。
ノイキャンの最も代表的な方法は、ANC(アクティブ・ノイズ・キャンセリング)と呼ばれるものです。これには、マイクが最低二つ必要で、ほとんどのスマホに内蔵されています。一つは、口に近いところにあり、話し手の音声と環境音を拾います。もう一つは耳にあり、話声はそれほど拾いません。口の音から耳の音を引くと、(話声+環境音)-(環境音)になり、話声だけが残るという仕組みです。
これは、AIのノイキャンより話し声のキャンセルに効果的ですが、オンライン会議では、画面を見なければならないので、スマホを耳に当てることができず、使えません。コンピューターとスマホを両方つないで、コンピューターのマイクをミュートし、通話にスマホを使うことはできます。しかし、実際にやってみると効果がありませんでした。スマホのANCは、通常の電話にしか使えないようです。
イヤフォンのノイキャンとマイクのノイキャンは別物
となると、ANC機能の付いたイヤフォンかヘッドフォンを使わなければならないということになります。まず気をつけなければならないのは、ノイキャン付きのヘッドフォンやイヤフォンでも、必ずしもマイクにもノイキャンがついているわけではないということです。マイクのノイキャンがなければ、自分が自分の環境音を聞こえないようにすることはできても、相手には聞こえてしまうということです。また、マイクにノイキャンがついていても、CVCという別の方法を使ったものも多く、これはあまり効果がないそうです。
もう一つマイク付きのイヤフォンやヘッドフォンに共通する問題は、ブルートゥースでつなぐ場合、マイクの音質がかなり落ちることです。音楽鑑賞をするには問題ありませんが、通話に高音質は必要ないということでしょうか、かなり機械的な音になります。録画や録音に使用する場合は、使い物になりません。
ブルートゥース・ワイヤレスのマイクの音が悪いことはレビューサイトを見て知っていましたので、マイクが口の近くにあるものを買えば、少しはましかなと思いました。また、ほとんどのヘッドフォンやイヤフォンは、耳にマイクがありますので、口から遠く、その分ノイキャンの機能も落ちるのではないかと考えました。そこで、馬蹄形のものを首にかけ、その両端につながったイヤフォンを耳に入れ、その片方の途中、口のあたりにマイクのついているものなら、音質が良いかもしれないと思いました。
ケーブルでもつなげられるワイヤレス・イヤフォンの不可解な落とし穴
そのようなイヤフォンは数少なく、レビューによるとSony WI-1000XM2のマイクの音質が良いということでしたので、近所のK’sデンキで購入しました。でも結果はみじめ。しかし、諦めるのはまだ早い。このようなワイヤレス・イヤフォンは、バッテリーが切れても使えるように、ケーブルで、コンピューターやスマホにつなげることができるようになっているものも多いのです。
ところが、つないでもコンピューターがソニーのマイクを認識してくれません。スピーカーは認識してくれて、問題なく使えるのです。いったい何が問題なのだろうと思いながらふと気が付いたのですが、ケーブルが3極なのです。3極のケーブルはステレオ用で、マイクもつなぐためには4極必要です。4極のケーブル自体はそんなに高いものではありませんし、なぜマイクをわざわざ使えないようにしたのか、理解できません。
電気製品の購入はK’sデンキがお勧め
実は、K’sデンキで購入したのには理由があります。価格がリーズナブルであることだけでなく、不具合がなくても期待していた機能がなかったなどの理由で返品可能です。米国では、単に気に入らないなど、どんな理由でも一定期間内に返品できますので、安心して買い物できますが、日本ではそうはいきません。他にも返品できる店はあるのかもしれませんが、松山では、私の知る限りここだけです。
私は早速電話をし、理由を説明して、返品の手続きをしました。係の方は、ソニーに電話してくれましたが、このイヤフォンは音楽鑑賞が目的で、鑑賞中に電話がかかってきたときに対応できるよう、マイクをつけているだけだとのこと。バッテリーが切れてケーブルでつないでいるときは、その必要がないと判断したとのことですが、ケーブルでつないでいるときは電話がかかってこないとでも言うのでしょうか。
圧倒的情報量のレビューサイト
米国のレビューサイトで調べたところ、ワイヤレス・イヤフォンで4極のケーブルが使えるものは、一つもありませんでした。何か構造上、4極にするのが難しい理由でもあるのでしょうか。このサイトは、700近いイヤフォンとヘッドフォンがレビューされており、このような詳しい情報が載っているサイトは他には見つけることができませんでした。ソニー自体のサイトを見ても、ケーブルが3極だということは書いてありません。
そこで、録音や録画にマイクが必要な場合は、他のものを使うことにしようとも考えたのですが、少々重くてもヘッドフォンを購入することにしました。ソニーのイヤフォンは、3万円以上もする高価なもので、ノイキャンのレビューも良かったのですが、テレビの音が気にならないほどキャンセルすることはできませんでした。その点、ヘッドフォンは耳全体を覆いますので、より効果的に遮音できます。
と言うわけで、口元にマイクがあり、4極のケーブル付きで、ノイキャン付きのワイヤレス・ヘッドフォンを先ほどのサイトで検索したところ、何と一つしかありませんでした。JBL Quantum 800です。これは、ゲーム用のヘッドフォンで、ゲームの音に合わせてライトアップしてくれるそうです。私には必要ない機能で、これをかぶって会議に出たら、「何だ」と思われるかもしれませんが、幸い、購入後、オフにできることがわかりました。
在宅勤務用のヘッドフォンはまだほとんど開発されてない
探しながら気付いたのですが、在宅勤務用のヘッドフォンは、ほとんどありませんでした。オフィス用のものはたくさんありますが、その多くが片耳を覆うだけで、コールセンターなどで使われるようなものです。両耳のヘッドフォンでも、耳を覆うものではなく、耳に当てるだけのものが多いです。同僚の声が聞こえなければならないからでしょう。パンデミックで在宅勤務が増え、それから開発を始めて、やっと在宅勤務用の新製品がちらほら出始めたところのようです。
そもそも、なぜワイヤレスでなければならないのかと思われる方も多いでしょう。私は、ほぼ毎日オンライン会議に出席し、時には丸一日オンラインで通訳をしなければならないこともあるのですが、その間ずっとコンピューターの前に座っていることは困難です。仮に母の世話をする必要がなかったとしても、何かと席を立たなければならないことはあるものです。ワイヤレスなら、ヘッドフォンをつけたまま他の用事をすることができます。トイレに行っても、ノイキャンがあれば大丈夫。
実際に使ってみると、ヘッドフォンのノイキャンは、TVの音が気にならないほど効果はありませんでした。しかし、今までもYoutubeのBGMを聞きながら仕事をしていましたので、特に困るわけではありません。
肝心なのはマイクのノイキャンで、実際に使ってみると、TVの音はほとんど相手に聞こえませんでした。ヘッドフォン自体にANCノイキャン機能があるだけでなく、ズームにもAIノイキャン機能がついているからでしょうか。また、ヘッドフォンと同時にコンピューターも買い替えたのですが、コンピューター自体にもAIノイキャンがついていますので、ノイキャンが3重にかかっているということになります。
JBLのヘッドフォンは、ブルートゥースだけでなく、コンピューターにドングルをつけて2.4GHzのワイヤレスでつなぐこともできます。ブルートゥースより遠い距離でも繋がるのではないかと期待していましたが、距離は全く同じでした。
違いは、ブルートゥースは音質がだんだん劣化し、最終的には相手が何を言っているかさっぱりわからなくなりますが、2.4GHzを使った場合は、一定の距離に達すると、突然音が聞こえなくなります。その距離に近づくと、ボリュームは少し落ちますが、音質は落ちません。その点、2.4HGzの方がいいかと思いますが、ドングルが5センチほどあり、かなり大きくて煩わしいので、今はブルートゥースを使っています。
ちょっと他にはないノートパソコン
ついでに、同時に購入したコンピューターもご紹介しましょう。LIFEBOOK WU3/F3と言う富士通のノートパソコンです。私は、食べるものも着るものも、何でもどうでもいい人間なのですが、このような機械ものには、注文が多いのです。JBLのヘッドフォン同様、これも、私のニーズをすべて満たすことのできる唯一のノートパソコンです。
まず、出張の多い私には大切なことなのですが、868gで軽量です。
次に、2 in 1です。モニターが360度回って、タブレットにすることができるのです。実は、私はタブレットとして使うことはないのですが、このように300度くらいにしてキーボードを下にしておき、モニターの前に外付けの大きなキーボードを置くことができます。通常のノートブックでは、外付けのキーボードとモニターの距離が長くなりすぎて、ちょっと見えづらいです。
私は、全米不動産管理協会(IREM)と全米認定不動産投資顧問協会(CCIM)のセミナー教材を全部一人で翻訳しています。13.3インチのノートパソコンのキーボードで長時間翻訳するのは大変です。とはいうものの、今回購入した富士通は、私が今までに使った超軽量ノートパソコンの中では最もキーボードが使いやすく、これなら外付けのキーボードは必要ないかもしれません。
高画質の内蔵カメラが二つも
要件がこれだけなら、他にも選択肢はたくさんあります。ないのは、高画質の内蔵カメラです。ほとんどのノートパソコンのカメラの解像度は、HDで92万画素です。切り上げて、100万画素と宣伝されていることもあります。しかし、YouTube用のビデオを撮るには、フルHDの207万画素必要です。
今までは、まずスマホで撮ってから、グーグルフォトにシンクしていました。ハワイの自宅ではそれほど時間がかからないのですが、松山の実家のネット環境は粗悪で、1時間以上かかります。スマホのマイクロSDカードにビデオファイルを保存して、それをいちいち取り出してコンピューターにコピーするのは面倒です。
そこで、スマホをWiFiでコンピューターにつないで撮ってみました。これなら、ビデオファイルは直接コンピューターに保存されます。しかし、WiFiの調子が悪い時は映像が乱れることがありますので、やはりコンピューターで撮る方が確実です。高画質内蔵カメラのメリットはそれだけではありません。
それは、テレプロンプターを使う必要がないということです。スマホで撮るときは、テレプロンプターのアプリを使い、台本がゆっくり映画の最後のクレジットのように流れます。途中で間違えたりすると、また元に戻らなければなりませんので、とにかく、間違えないで、遅れないようにしゃべらなければなりません。
コンピューターなら、ワードに書いた台本を自分のペースでスクロールしながら読めばいいので、少々脱線しても特に問題はありません。お前のビデオはNHKのアナウンサーみたいで面白くないとよく言われるのですが、これでテレビ愛媛のアナウンサーに変身?
さらに、このコンピューターには、500万画素のリアカメラがついています。リアというくらいですので、モニターの背面についていて、コンピューターを開いたまま前方の様子を撮ることができるのかと思いきや、なんとキーボードの上にあって、天井を向いています。こんなところにつけてどう使うのかと思いましたが、タブレットにしたときにはこのカメラがリアになるというわけです。先述したように、私はタブレットとして使うことはないのですが、自画撮り以外のビデオを撮るときには、使えそうです。
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