ホノルルのコンドでの事件
3月6~7日に、ホノルルのブレイズデル・センターで、ハワイビル設備不動産管理エキスポが開かれ、3,600人が参加しました。多くのセミナーがありましたが、ちょっと日本人がびっくりするような内容のセミナーを一つご紹介しましょう。日本人が購入するハワイの物件と言えば、ほとんどがコンド(分譲マンション)ですが、このセミナーは、日本では考えられないような事件を紹介してくれました。
目の不自由なご夫婦の主張と訴訟
あるコンドに、2階のユニットは床がカーペットでなければならないという規則がありました。フローリングでは足音がうるさいというのがその理由で、もっともな規則です。ところが、そのコンドに、目の不自由な方が住んでいました。その方は、フローリングの方が、足音を確かめながら歩けて良いという理由で、2階のユニットであったにもかかわらず、フローリングにしたのです。
組合は、元に戻すように要求しましたが、この障害者のご夫婦は、医療情報を提出し、自分たちの権利を主張しました。組合の規則は、通常、違反に伴う罰金が制定してあります。組合は、それに従って、1日$200、850日分で17万ドルの罰金を科しました。所有者はその罰金を支払いませんでしたので、競売にかけるという話になったのです。このご夫婦は、競売を止めるために裁判所に訴えました。
管理組合の完全敗訴
フローリングにした方がカーペットより歩きやすいというのは、健常者に私にはよくわからない理由ですが、17万ドルの罰金を科してユニットを競売にかけるというのも、随分極端な話です。結局、組合は、組合自体の規則を遵守しなかったこと(具体的に何を遵守しなかったのか、細かいことは知りません)、規則を公正に施行しなかったこと、知識のある組合弁護士と不動産管理士を雇わなかったこと、判断を誤ったこと、経営判断の原則を誤ったことなどを理由に、完全敗訴しました。
高額な賠償金
ここまでは驚かないかもしれません。いくらの賠償金を払わされたと思いますか。190万ドル+訴訟費用の40万ドルです。ざっくり2億5千万円超。日本だったら、賠償金190万円、訴訟費用40万円と言うところでしょうか。先日、アメリカのテレビニュースを見ていて、日本で強制不妊救済法が成立し、被害者に320万円が支払われたというニュースが流れていましたが、あれを見たアメリカ人は、強制不妊手術が行われたことだけでなく、賠償金の少なさに驚いたことと思います。アメリカの賠償金は、日本の百倍くらいだと思っていた方がいいでしょう。
コンド購入時は訴訟にも注意を!
コンドで訴訟が起きることは、そう珍しいことではありません。訴訟のほとんどは示談になるか、裁判の代わりに費用が少なくて済む仲裁や調停をして解決しますので、その係争の結果が公になることはあまり多くはないようです。組合の理事たちは、全員ボランティアで、専門知識はありません。このケースのように、認識不足が訴訟の原因になることもあります。また、高級コンドの場合は、お金持ちでわがままなオーナーたちが理事になっていることもあり、つまらないことが原因で訴訟になることもあります。私も、そのような訴訟の通訳をしたことは、何度もありますが、得をするのは弁護士だけです。
コンド購入時は、訴訟がないことを確認してください。また、理事は同じ人が何年も続けることが多いので、訴訟が多い物件は、これからも続く可能性が高いと思った方がいいでしょう。
ところで、このエキスポは、来年も行われます。3月11-12日で、入場料は無料です。