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ホノルルのバケーション・レンタルが規制される?:その後どうなったか

バケーション・レンタルの規制 その後

去年7月「ホノルルのバケーション・レンタルが規制される?」と言うブログを書きました。

ホノルルのバケーションレンタルが規制される?

その後、どうなったか、中間報告をさせていただきます。

ホノルル市議会で、これに関する二つの法案が審議され、201958日に投票が行われたのですが、百名に上る一般市民の意見を聞いた後、結局投票は延期され、新しく設置された市議会都市計画住宅委員会に差し戻されました。法案を修正してヒアリングをし、数か月後にまた投票されることになると思われます。

なぜバケーション・レンタルをするのか

短期バケーション・レンタルの免許は、1989年に発行を中止し、現在、ワイキキなどのリゾート地域以外でバケーション・レンタルができる物件数は816戸にすぎませんが、オアフ島には、68千の違法なレンタルがあると推定されています。

バケーション・レンタルのデメリットは、一般住宅地域の環境悪化、路上駐車の混雑、住宅がバケーション・レンタルとして使われることによる住宅難などです。メリットの一つは増える観光客に安く泊まるところを提供できているということで、これを一掃するとオアフ島の経済に悪影響があるかもしれません。もう一つは、家の一部あるいは離れをレンタルしている人は、その収入によってローンの支払いができるということです。特に、配偶者が亡くなって収入が減った人などは、家を売らなくても済むというわけです。

差し戻された法案の内容

法案の一つは、第89議案と呼ばれ、オアフ島全体で、新しく1,715の免許を発行しますが、オーナーが住んでいなければならず、家の一部を貸すことが条件です。これは、B&Bbed and breakfast)とも呼ばれますが、朝食を出さなければならないわけではありません。家全体を貸す場合は、TVUtransient vacation unit)短期バケーション・ユニットと呼ばれ、この法案では認められておらず、全部違法になります。1,715戸と言うのは、オアフ島の全戸数の約0.5%です。免許は、抽選で当たった家に出されることになり、半径300メートル以内に他の免許付きの家があってはいけません。

もう一つの法案は、第85議案と呼ばれ、違反する者には最低$25,000の罰金を科すというものです。これはかなりの額です。

3つの意見

意見を述べに来た百名ほどの市民は、主に三つのグループに分かれます。一つはバケーション・レンタル反対派。前ハワイ知事のアバクロンビー氏もその一人で、ホノルルの地方紙、スター・アドバタイザーのウェブサイトへの書き込みは、このグループが最も多いように思われます。このグループは、第85議案のみが採択されることを望んでいました。二つ目は、今回決議される予定であった第89議案と85議案に、基本的に賛成するグループです。日本人の間でもここ数年非常に人気が出てきたラニカイ町内会も、以前は全面的に反対していましたが、現在はB&Bなら良いという見解です。

三つ目はバケーション・レンタルを全面的に支持するグループで、短期バケーション・ユニットを禁止することがハワイ経済に与える影響をもっと調べるべきだという意見です。また、法律的に認められているレンタルの最短期間は1か月ですが、一月1回、年間12回観光客にレンタルすることは可能かと言う問題が明確にされていないので、それを明記することを要求しています。今回、何も議決されなかったことは、このグループにとっては良い結果と言えます。

市場に与える影響は?

 短期バケーション・ユニットが禁止されるとなると、長期で賃貸に出す、あるいは売りに出す物件が一時的に急増するでしょう。バケーション・ユニットと言うと、豪華な別荘のようなものを想像するかもしれませんが、ごく普通のコンドの一室などもバケーション・ユニットとして使われています。それによって少なくとも一時的に家の値段や家賃が下がることは予想されますが、それによってハワイのホームレスの問題が緩和されるほどの影響はないと思います。

差し当たって購入を控えた方が良いと思われるほどの大きな影響はないと思いますが、B&Bとして使うのに適した物件、特に離れのある物件を今のうちに購入し、抽選が当たれば物件価値が上がるという可能性はあります。売却して所有者が変わっても、免許は無くなりません。宿泊客の多くは、プライバシーを求めますので、普通の家の一室を借りるよりは、少なくともバスとトイレ、できれば小さな台所があり、離れではなくても入り口が別になっている物件を好むでしょう。

短期バケーション・ユニットとして購入された方は注意

 日本人投資家は、ハワイに住んでいるわけではありませんので、B&Bとして物件を使っておられる方はいないと思います。問題は、短期バケーション・ユニットとして使うために物件を購入した方です。自分も別荘として使うが、使っていないときはAirB&Bなどを使ってレンタルしている方は多いと思います。そのような方は、別荘としてのみ使うか、長期で貸すか、あるいは売るかどうかの決断をしなければなりません。

1か月単位で貸すことが認められれば、それでもよいかもしれませんが、コンドの場合、内規やハウスルールでそれが禁じられていることが多いので、ご注意ください。特に新築のコンドを購入なさった方は要注意です。先週、ある新しい高級コンドの組合が、最低賃貸期間を、法律で決められている1か月よりも長くする予定であるということを聞きました。新築時は、これに関して規則が設けられていないことも多く、組合が機能し始めて初めて、3か月や6か月の長い期間に設定されるということはよくあります。米国のマンション組合は、日本ほど甘くはありませんので、ご注意ください。