AIの評価額は信頼できるか:実例で検証

不完全市場とAI

不動産売買のオンライン化は進まないだろうと思われてきた(今でもそう思われている?)一つの理由は、不動産市場が不完全市場だからだと思います。iPhoneを買うなら、お店で買ってもネットで買っても、全く同じものが手に入るだけでなく、商品に関して知りたいことはほとんど調べることができます。これを完全市場と呼びます。しかし、不動産は、全く同じ物件はこの世に二つとなく、一つ一つの物件について知りたいことを全て調べることは不可能です。そんなものの価値をネットで調べるなどと言うのは不可能であると、多くの人が考えているのだと思います。

ところが、AIの発達によって、コンピューターは膨大な情報を学習することができるようになりました。家のコンディションなども、写真を撮ることによって解析できるようになってきたそうです。AIによる翻訳や通訳がだいぶん改善してきましたが、不動産の評価も、そろそろ人間に追いつき追い越すときが来たのでしょうか。ネットによる物件評価がどれほど頼れるものか、自分で試してみる機会がありましたので、ご報告します。

以前住んでいた自宅と隣家

きっかけになったのは、私が去年売った私の家の隣の家が売りに出たことです。私の家は、息子が働いている非営利団体が借り上げ、病院を退院したばかりの住宅取得困難者に、完治するまで住んでもらい、薬の投与など、簡単な介護を提供しています。ハワイでは、非営利団体に貸すと、$6,000以上もする固定資産税が$300に減り、ほとんどの管理は団体がしてくれ、その上、空室損や未回収損の心配がありませんので、ほぼネットリースのような感じで、非常に安定しているのです。私の家の場合、129.5万ドルで売って、家賃が月$5,500、表面利回りで5%しかありませんが、ほぼネットリースですので、キャップレートも4.7%くらいでした。

また、この家に入る患者さんは、医療費が払えない人たちばかりですが、病院は治療を拒否することはできないので、完治してもらうことによって、年間何億円も節約できているそうです。この隣の家も、その団体に貸して同じ目的で使ってもらえば、スケールメリットがあり、スタッフの数をそれほど増やす必要がありませんので、投資家にとってもこの団体にとっても、ウィンウィンではないかと思い、ちょっと調べてみることにしたというわけです。

地域と物件を良く知る私の評価と各サイトの評価

 私の家も隣の家も、土地は465平米で、同じです。ただし、築面積は私の家が250平米で、隣は153です。私の家は1945年築で、隣は1956年ですが、私の家は半分が1990年に増築されていますので、ほぼ同じと言っていいでしょう。

オアフ島の不動産市場は、この1年間、ほぼ横ばいですので、この家から半径0.25マイル(400メートル)以内で、この1年以内に売れた家を探したところ、私の家を入れて7件でした。それを参考にして私が出した評価額は、約106万ドルでした。どのように出したか詳しく書くことはしませんが、これらの物件の場所はよく知っていますし、建物のコンディションは、写真で大体わかります。実際には128.5万ドルで売りに出ていますので、随分高いと思いました。

ところが、主な不動産サイトの評価額はこれよりずっと高かったのです。主なものを挙げておきます。

ジローズ          1,269,591

レッドフィン   1,278,742

RealAVM         1,275,000

(これは、ホノルル・ボード・オブ・リアルターズが使っている評価システム)

別の物件を調べてみて解ったこと

 ところで、今日ある物件を売って欲しいという問い合わせがあり、ネットで評価額を調べたのですが、それによると、以下のような結果が出ました。

ジロー             935,621

レッドフィン   939,267

RealAVM         873,100

ここで気付いたことは、私の家の隣は、申し合わせたように評価がほぼ同じですが、問い合わせのあった物件は、RealAVMがかなり低いです。これではどれが一番信頼できるか分からないので、もう少し調べてみると、Realtor.comはもっと低くて$846,200Truliaは逆に高くて$943,380と言う結果でした。結構バラバラです。

AIが売買価格を参考にしている?

 なぜこの物件はバラバラなのに、私の家の隣はそろっているのかと思い、いろいろ調べていると、ジローで面白いことを発見しました。物件価値の変化がグラフになっていたのです。それによると、売りに出るまでは97万ドル前後でずっと横ばいだったのが、売りに出たとたんに30万ドルも上がっているのです。つまり、売りに出ている物件に関しては、その売出価格を参考にしているとしか、解釈のしようがありません。他のサイトの評価額が近いのも、そのせいではないかと思われます。それに比べて、今朝問い合わせがあったばかりの物件は、まだ売りに出ていませんので、バラバラになってしまうのでしょう。

もし私の解釈が正しいとすれば、皮肉なことですが、AIも結局人間の知恵に頼っているということになります。実際、ジローの評価の仕方に関する短い説明文の中には、売出価格も参考にすると書かれています。人がAIを信用して不動産売買をするようになるのは、まだまだ先のことなのかもしれません。不動産評価システムについて、詳しい方がいらっしゃったら、ご意見をお聞きしたいところです。

非営利団体にリースして安定収入

 ところで、もう少しで忘れてしまうところでしたが、隣の家、誰か買いたいという方はいらっしゃいませんか。いくらで買って、いくらの家賃が欲しいという条件を出していただけたら、非営利団体と売主に交渉します。

参考 ForSaleHiCentral.com