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米国の住宅難:全米不動産協会「リアルター」誌7-8月号より

中古住宅ー85カ月連続の値上がり

今年3月の米国の中古物件の中央値は、$259,400に達し、何と85カ月連続で、前年比増となりました。値段が上がり続けている一つの理由は、慢性的な住宅の供給不足です。フレディー・マックの予想によると、長期的に見て、250万戸も不足していると言われています。アーバン・インスティチュートによると、2009年あたりから、毎年35万戸ほど供給不足が続いているというのです。2019年の供給は130万戸と予想されますが、過去50年間の平均は160万戸です。新築が少ないということは、在庫の築年数も古くなっており、中央値は築37年で、マイホームの半分以上は1980年以前に建てられたものです。

もう一つの問題は価格帯で、75万ドル以上で売りに出た物件は、前年比で11%も増えていますが、20万ドル以下の物件は8%減っているのです。全米不動産協会によると、高級物件の在庫は1年分ほどありますが(新しく売りに出る物件がなく、現在の売れ行きが続いた場合に、在庫がなくなるまでにかかる期間)、10万ドル以下の物件は3月ほどしかありません。

新築住宅は安値傾向

新築市場においても、高級物件の供給が多かったのですが、3月になって一転し、新築の平均価格が前年比で10%も下がり、$302,700になりました。これは、20172月以来の最安値です。また、戸建てに比べて安価なタウンハウスも、前年比で24%供給が増えました。高級物件が供給過多になったため、お手頃な値段の新築が増えたのでしょう。住宅の値段が全体的に上がり、より高級な物件に買い替えることが難しくなってきたことは、購入したマイホームに住む期間が過去最高の8.3年になったことからも伺えます。たった8.3年で買い替えるなどということは、日本では考えられないので、これが過去最高なの?と思うかもしれませんが、供給が需要に追い付かない限り、米国の不動産市場は、堅調が続くと予想されます。

ハワイと米国の比較

このトレンドをハワイと比べてみましょう。ハワイの中央値は、全国の中央値のように、堅実に毎月前年と比べて上がっているわけではありません。リーマンショックの影響があまりなかったハワイは、回復も早かったので、その分早く上がりきったと言えるかもしれません。しかし、住宅難の問題に関しては、ハワイの方が全米平均より深刻で、安い地域の物件はまだかなりの勢いで上昇中です。ブログ「オアフ市場別アップデート:今、価格が上がっているのはどこ?」をご覧ください。

オアフ市場別アップデート:今、価格が上がっているのはどこ?