ホノルル・ボード・オブ・リアルターズ2019年9月レポート

ホノルル・ボード・オブ・リルターズ 2019年9月

4半期ごとにホノルルの不動産月間統計を訳していますが、前回は都合で5月のレポートを訳しましたので、4カ月ぶりです。それでは、いつものようにホノルル・ボード・オブ・リアルターズ会長のジェニーL.ブレイディ―さんのコメントから。

2019年第三四半期のオアフの戸建て市場の実績は堅調でした。年累計の売買数は2018年と同レベルで、オアフの売却額中央値は安定しています。9月は、$500,000$699,999の中価格帯の戸建ての売買が49%上昇し、売却額の(前年比の)中央値と平均値が下がる原因となっています。逆に、先月は、$300,000$599,999の中価格帯のコンドの売買が14.5%減っています。」

概ね安定しているオアフの戸建て市場

では、いつものように私なりのコメントをさせていただきます。戸建ては、年累計では中央値が0.5%、平均値が4.9下がっていますが、より重要な中央値は0.5%しか下がってないので、「安定」していると言ってもいいでしょう。しかし、前年比では中央値が4.4%、平均値が9.6%下がっているのは、中価格帯の物件が去年の9月より50近く多く売れたからだという説明です。中価格帯のものが多く売れて、なぜ中央値や平均値が落ちるのでしょうか。戸建ての中央値が$777,000、平均値が$952,257なのですから、$500,000$699,999という価格帯は、低価格帯ではないでしょうか。低価格帯のものが多く売れたというと、聞こえが悪いので、中価格帯と呼んでいると思われます。

コンドの$300,000$599,999という価格帯は、確かに「中」価格帯です。この価格帯が14.5%減ったことにどういう意味があるかは書かれていません。しかし、全体で8.8減っているのですから、14.5%というこの価格帯の減少が特に大きいとは思えません。15ページのグラフは、売買契約中の物件数で、契約が終了した物件数とはちょっと異なりますが、どの価格帯もなだらかに下がっているのが分かると思います。

低価格帯の戸建てが売れる理由

さて、ブレイディ―さんが戸建てに関して言っていることは、何か異例なことのように聞こえるかもしれませんが、これは、市場がピークに達したときに、よく起こる現象だと思います。家の値段と同じように、消費者の収入も上がれば問題ないですが、実際はそうではないので、庶民は、相対的に安い物件しか買えなくなってきます。戸建ての前年比の中央値が9.6%減ったと言っても、オアフの戸建ての価値が平均して9.6下がったというわけではなく、低価格帯のものがよく売れるようになったということを意味しています。

逆もまたしかりで、去年、ダウンタウンのコンドの中央値が前年比で90%も上がったことがありましたが、私が持っているダウンタウンのコンドの価値は、残念ながら倍にはなりませんでした。高いものがよく売れるようになったというだけのことです。これが続くと、中価格帯の物件もつられて上がっていきます。

もちろん、本格的な不況になると、リーマンショックの時のように、価値が下がることもありますが、私の推測では、また金利が下がりましたので、今度こそ最後のチャンスかもしれないと思った人たちが、自分に買える範囲の価格帯の家を買ったのではないかと思います。

中低価格のコンド売買が増えないのはなぜ?~ローン審査の観点から~

ところで、なぜコンドは中低価格帯の売買が増えてないのでしょうか。これも推測にすぎませんが、ローンの審査について、戸建てとコンドの違いを説明したいと思います。コンドの場合は、ローンの支払いだけでなく、共益費が支払えるかどうかも審査されます。例えば、ブレイディ―さんの$500,000$699,999という価格帯の中央値である$600,000の戸建てを買うとしましょう。20の頭金を払うと、$480,000のローンを借りることになります。現在、30年ローンの金利は3.25%程度ですので、毎月の支払いは$2,088.99です。

では、コンドの$300,000$599,999という価格帯の中央値である$450,000の物件を購入する場合はどうでしょうか。同じ20%の頭金を払うと、ローンは$360,000、毎月の支払いは$1566.74です。その差は$522.25ですが、コンドの場合は共益費も審査対象になります。日本と違って、コンドはアメニティーが多く、保守も行き届いていますので、45万ドルのコンドで共益費が$522というのは、ごく普通です。つまり、45万ドルのコンドを買える人は、60万ドルの家が買えるというわけなのです。

現在、低価格帯の家を買っている人たちは、低金利がいつまで続くか分からないし、今買っておかないと一生買えないかもしれないと思っている人が多いのかもしれません。投資ならともかく、住むなら、45万ドルのコンドより、60万ドルの家の方が良いのかもしれません。