過去最高の観光客数で経済が最低?
今朝、ドライブしながら聞いていたラジオのニュースによると、ハワイ経済は米国最低だとか。観光客は過去最高で、今年は前年比で5.7%増えると予想されており、失業率は米国でも最低級の2.7%に過ぎないのに、経済が最低とはどういうことでしょう。何を根拠にと思いましたが、2019年第2四半期のGDP成長率が、全米平均2%であるにもかかわらず、ハワイは0.5%に過ぎず、米国内で最低だったのです。
ちなみに、最高はテキサスの4.7%、その次がワイオミング州の4.2%、それに続いてアラスカとニュー・メキシコが4.1%です。これらの州に共通するのは鉱業(石油や天然ガスなど)で、米国の鉱業のGDP成長率は何と23.5%。もう一つ言えることは、ニュー・メキシコが民主党寄りである以外、他の3州は強い共和党の地盤です。ちなみにハワイは極端に民主党寄りで、あまりビジネス・フレンドリーではありません。
不動産が高く人口が減少しているハワイ
観光客の数や失業率が原因でないとすれば、なぜそんなに経済が悪いのでしょうか。それは、2017年から続いている人口低下が一番大きな理由のようです。州民一人当たりの総生産が上がったとしても、州民の数が減ると、州の総生産は上がりません。出生率は死亡率より高いのですが、物価、特に不動産が高く、賃金の低いハワイから、物価が安くて賃金も良い州へ引っ越す人が多いのです。人口が減るもう一つの理由は軍縮による軍人とその扶養家族の減少です。
人口が減ると、同時に労働人口も減り、2016年の682,000から、2018年は678.000まで減少。これが失業率の低下につながっており、必ずしも雇用が増えているわけではありません。賃金がなかなか上がらないのも、そのせいでしょうか。米国で平均寿命が最も高いハワイは、高齢者のサポートにも多くの税金を使わなければなりません。
ハワイのGDP減退の原因は?
しかし、観光客が増えているのであれば、人口が減ってもGDPは上がるのでは、と思う方もいらっしゃるでしょう。ところがどっこい、観光客が落とすお金は減っているのだそうです。この2-3年、観光と建築がハワイ経済を支えてきましたが、実は建築許可の数も減っています。カカアコ周辺のコンド建築ラッシュは目を見張るものがありますが、コンドの建築は、一定以上前売りしてからでないと工事を始めませんので、極端な供給過多にはならない仕組みができています。
以前ほどの売れ行きではないようですので、そろそろ落ち着くのでしょう。これだけ建てても不動産が下がらない方が不思議なくらいですが、やはり、ハワイの不動産は、世界が市場なのでしょうか。外国人による購入が激減したというニュースもありますが、現地で法人を作って購入する方が増えているので、実際の数は分かりません。