これは、不動産業界サイトのインマンの記事から抜粋したものですが、個人的なコメントも交えながら、お話ししたいと思います。
参考 Residents are looking to escape these 10 citiesinmanこの記事を動画で見たい方はこちら
パンデミックがもたらした人口移動
ジローに並ぶ不動産サイトのレッドフィンによると、アメリカ人は、物価の高い東西海岸と不況地域を避けているとのこと。
パンデミックは、どこに住むかを考え直す機会となったようです。レッドフィンの報告によると、2020年10-11月に、サイトで、自分が住んでいる都市以外の住宅を探している人の数は全体の4%にも上りましたが、これは、2017年にこのデータを取り始めてから最高だそうです。
サクラメントやラスベガスのなどの市場は雇用が多く、人がなだれ込んでいますが、その他の大都市は、在宅勤務ができるようになり、高い家賃を支払ってまで職場の近くに住む必要がないので、大都市から脱出し始めています。
「コロナウイルスと在宅勤務が全国で広がるにつれ、多くの人は、海岸の高い地域から、かなり離れた内陸地域に安くて広い家を探しています。」(レッドフィン・レポート)
87の大都市圏の調査によると、ニューヨークやサンフランシスコなどの専門職は、安い地域に住んで働くことが可能になって人口流出。
ミルウォーキーなどの景気の悪い地域は、何十年も前から人口が流出しています。
人口流出都市トップ10
この表は、去年の秋、脱出を考えていた人が多い都市のトップ10です。
都市 | 2020年正味人口流出 | 2019年正味人口流出 | 地元以外の住居を探している人の% | 引越先 |
ニューヨーク | 37,305 | 24,402 | 35.2% | ボストン |
サンフランシスコ | 33,520 | 25,356 | 24.0% | サクラメント |
ロサンジェルス | 20,821 | 14,283 | 18.0% | サンディエゴ |
ワシントン | 10,228 | 5,246 | 13.0% | メリーランド州ソールズベリー |
シカゴ | 5,414 | 2,976 | 12.3% | インディアナ州サウスベンド |
デンバー | 4,408 | 2,264 | 27.7% | シアトル |
シアトル | 2,495 | -2,907 | 14.1% | ロサンジェルス |
ミルウォーキー | 2,395 | 796 | 42.0% | シカゴ |
サンディエゴ | 2,256 | -2,114 | 25.7% | ロサンジェルス |
インディアナポリス | 1,416 | 354 | 39.5% | シカゴ |
20年と19年の正味人口流出と言うのは、出生や死亡による自然増加や減少を計算に入れず、その都市から外に引っ越した人の数から、その都市に引っ越した人の数を引いたものだと思われます。
各都市で人口流出が起こる原因とは
簡単にコメントしたいと思います。
1位 ニューヨーク
2位 サンフランシスコ
サンフランシスコも家や家賃の高騰が理由ですが、周辺の安い地域だけでなく、テキサスのオースティンまで引っ越す人も多いそうです。ちなみにカリフォルニアからテキサスに引っ越す人の58%は共和党支持。民主党の地盤であるカリフォルニア州から引っ越す人の58%が共和党と言うのは、政治的な理由もあるでしょう。
3位 ロサンゼルス
ロサンゼルスは不動産の高騰だけでなくホームレス増加が大問題。
4位 ワシントン
ワシントンは首都であるため高所得者の専門職が多く、不動産が高騰していますが、在宅勤務が可能な人が多く、2時間ほど離れたメリーランド州ソールズベリーなどに引っ越す人が増加。
5位 シカゴ
シカゴ住民のトップ引越先であるサウスベンドは、元市長のブティジェッジ氏が大統領選に出て一躍有名になった小都市ですが、サリズベリー同様、シカゴから2時間ほどの距離です。毎日通勤するわけではありませんが、出勤しなければならない日もあるので、2時間くらいがいい距離なのかもしれません。
6位 デンバー
デンバーは自然に囲まれた環境が人気で、将来発展すると思われていましたが、経済成長が鈍り、引越先のトップは遠く離れたシアトル。デンバーで失業したか、あるいは辞職して、景気の良いシアトルに引っ越したということでしょう。
7位 シアトル
ところがそのシアトルは、2019年に正味人口流入が3千近くあったにもかかわらず、2020年は正味流出。これは人口増加による不動産の高騰が原因。しかし、その行き先がロサンジェルスと言うのは解せません。仕事をキープして郊外に住む人より、大市場のロサンジェルスに転勤する人の方が絶対数が多いということでしょうか。
8位 ミルウォーキー
景気減退のミルウォーキーは、地元以外の住居を探している人の割合が42%で、10都市の中でも最高。
9位 サンディエゴ
サンディエゴは不動産の高騰で平均的マイホームは$70万以上、家賃は$2千を突破。ロサンジェルスと住民を交換しているわけですが、2番目に多い引越先はアリゾナ州フィーニックス。フィーニックスはリタイヤしてから移住する人が多いので、そのせいかもしれません。
10位 インディアナポリス
インディアナポリスはミルウォーキー同様、景気減退が理由です。大市場で雇用の多いシカゴに引っ越す人が多いのも、そのためでしょう。
アメリカの人口流出都市まとめ
最初に挙げたサクラメントとラスベガス以外に、フィーニックス、オースティン、アトランタが引越し先のトップ。やはり景気の良い南部が多いですね。
ちなみにハワイは、感染者は少ないですが、観光が主要産業ですので、パンデミックの経済的影響は強く、おまけに戸建てはこの1年で1割ほど値上がりし、人口は流出しています。メインランドから来て、比較的感染者の少ないハワイでステイケーション(長期休暇)を取りながら仕事をしている人もいるようですが、飛行機による移動が規制されますので、いざというときに車で移動できるメインランドの田舎の方が便利かもしれませんね。
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