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相続土地国庫帰属法:あっと驚く日本の法律

 

今日は、4月21日に日本で可決された相続土地国庫帰属法について解説します。1.相続した土地の登記の義務化、2.欲しくない土地を国庫に納付する方法を説明し、3.米国の法律と如何に異なっているかを解説します。

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長年固定資産税を支払っていない土地

 もう20年も前のことですが、お母さんが日本人だという方から、お母さん一族の家紋を調べて欲しいと頼まれたことがあります。私自身、大野家の家紋など知りませんし、妙なことに興味を持っている人だなと思いましたが、戸籍謄本を持っているかと聞いたら、あると言うので、そのコピーを送ってもらいました。驚いたことに、彼のお母さんの先祖は、合併して今は松山市の一部となっている恩地という村の出身だったのです。恩地は、私の母が育った村です。

私は、早速母に連絡して、○○家の人がまだ恩地に住んでいるか、調べてもらいました。私の父は当時まだ健在で、恩地から松山市内に引っ越して空き家になっていた母の姉の家を借りて、趣味の野菜作りをしていましたが、その家は既に住める状態ではなく、物置や作業場として使っていただけでした。周りの家も、半壊しているものが多く、過疎化が進んでいたのです。

父は毎週恩地に通っていましたので、近所の人にも聞いてもらったのですが、○○家がどうなったかを知っている人はいませんでした。どうやら借金が返せなくて、何十年も前に姿をくらましたらしいのです。結局、家紋は分かりませんでした。

それから間もなく、私が帰省して家族で恩地に行ったとき、すぐ近くの五明という町の喫茶店に入りました。五明は、恩地ほど山奥ではありませんが、それでも、こんなところに喫茶店があるのかと驚いたほどです。

店内に入ると、案の定、客は私たちだけで、喫茶店を経営していたご夫婦と世間話が始まりました。ご主人は、近くでログハウスを建てているそうで、建材にする木も自分で切っているとのこと。購入してログハウスを建てたい土地があるのだが、その持ち主はもう百年も前にハワイに移住しており、買えなくて困っているというのです。

私がその土地の持ち主の子孫を知っていると答えると、非常に驚いていました。ハワイに帰って早速彼に連絡したところ、高く売れると思ったらしく、非常に喜んでくれました。田舎だから二束三文だと言っても、信じてくれません。いろいろ手間取っているうちに、喫茶店のご主人もログハウスの建築をやめてしまい、この話はなくなってしまったのですが、私が不思議でならなかったのは、誰もこの土地の固定資産税を払ってこなかったということです。米国ではそんなことは考えられません。

カリフォルニアの砂漠のど真ん中の土地

ある日本のおばあさんから、若いころ、将来カリフォルニア第二の都市になると言われて、砂漠のど真ん中に土地を買ったのだが、いつまで経っても砂漠のままだし、固定資産税を払うのもあほらしいので、そろそろ売りたいという相談を受けたことがあります。私は早速所属団体のIREM(全米不動産管理協会)とCCIM(全米認定不動産投資顧問協会)のネットワークを使って、この田舎町の不動産業者に連絡し、相談したところ、そんな土地を買ってくれる人はいないというのです。

ではどうすればいいかと聞くと、固定資産税を払うのを止めると、市が差し押さえてくれるかもしれないと言われました。それでいいのなら、裁判に来る必要もないとのこと。市に寄付することはできないかと聞くと、寄付されると固定資産税がもらえなくなるので、受け取ってくれないだろうというのです。おばあさんにこの話をしたところ、税金を滞納して差押さえられるなどということは怖いと言うので、結局そのまま砂漠の固定資産税を支払い続けることにしました。

日本の相続土地国庫帰属法

なぜ日本では土地を放ったらかしておいても差し押さえられないのか不思議に思っていたところ、何と日本では登記をする必要さえないということを知りました。やっと、今月21日に、相続後3年以内に登記することを義務付ける法案、相続土地国庫帰属法が可決され、24年に施行される予定です。所有者が分からない土地の総面積は九州本島より広いとのこと。公共事業や再開発の妨げになっていることが、今回の法改正の理由です。

それに伴い、欲しくない土地は、国庫に納付できるようになります。しかし、それでは国も迷惑。砂漠を買ったおばあさんの話じゃありませんが、そう簡単には納付させてくれず、10年分の管理費を払わなければならないそうです。納付された土地は、国が売るか、売れなければ国が管理することになります。この法律がもっと早くできていれば、あのログハウスも建っていたかもしれません。

進まないIT化

それはそうと、登記もされていない物件の固定資産税は、どのようにして請求するのでしょうか。それは、市の役人が調べるのだそうです。何という無駄な労力でしょうか。日本の行政は縦割りなので、市と国の協力関係が薄いそうです。これは米国も同じですが、連邦国家(合衆国)なので仕方ありません。すべての土地建物が登記されていれば、コンピューターで人手をかけずにできるはずですが、それだと自分の地位を失うお偉いさんがいて、抵抗しているのでしょう。税金の無駄遣いです。

デジタル改革担当の平井大臣は、アーバン本社河野社長の高校時代の後輩で、今でもお付き合いがあります。不動産業界で改革したいことがあれば提案書を出してくれと言うので、出しておきましたが、期待したいところです。

(左)平井大臣 (右)アーバンレック河野社長 2018年10月18日 アーバンレック東京事務所にて撮影