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iBuyerのオープンドアの住宅ローンを借りる人が激増?ーインマンー

今日は、以前からご紹介しているiBuyerのジローやオープンドアが、住宅ローンを出すことによって赤字を埋めようとしていることに関して、解説します。激増したと言っても、もともと少なすぎたこと、損をしてまでローンを出していること、iBuyerがローンを出すことの問題点について、説明します。

iBuyerの住宅ローンサービスとは

iBuyerとは、ITを駆使して住宅を買い上げ、必要な修理をして転売するモデルですが、アメリカで言うフリッピング(日本で言う転売)ではなく、薄利多売で市場シェアを伸ばし、不動産業界を変革しようとするものです。不動産サイトで有名なジローも参入していますが、取引数が最も多いのは、オープンドアです。

どちらも、かなりの損を覚悟で、シェア拡大に努めているわけですが、購入や売却にかかる費用が高いので、薄利多売するのは大変です。そこでもう一つの収入源として取り入れられたのが、住宅ローンです。オープンドアは、アリゾナ州で活発に営業していますが、過去1年半、オープンドアからアリゾナの物件を購入する人で、オープンドアのローンを借りた人は2%しかいなかったのに対し、今年の4月は9%、5月12%に急増しました。

急増したといっても・・・??

一見朗報のようですが、実際は問題にならない数です。12%と言っても、たったの19件です。つまり、iBuyerのシェア自体がまだまだ少ないのです。また、12%に上がったのはアリゾナ州だけで、そのほかの市場は2%のままです。

もっと大きな問題は、ローンを借りる人に住宅の値段を2%割り引いてあげて、それでもこの数字だということです。通常$2,000ほどする手数料も無料にしますので、$50万の家なら、$12,000も助かるという謳い文句です。オープンドアによると、ローンのマージンは$5,000ほどだそうですので、$50万の家なら$7,000の損をして貸していることになります。

iBuyerのビジネスモデルの疑問点

 そもそもiBuyerには、売買費用が高すぎるという問題以外に、対象が売主であるという問題があります。ローンが必要なのは買主なのです。

 

以前にもいくつかご紹介しましたが、例えばホームワードなどのモデルは、買主が対象です。簡単に説明すると、買いたい家をホームワードが代わりに買ってくれます。クライアントがそこに引っ越します。ホームワードがクライアントの古い家を売ってくれます。120日以内に売れなければ、ホームワードがあらかじめ決めておいた額で買い取ってくれます。売れてできたお金で、ホームワードが買ってくれた家をクライアントが買い取ります。このようなモデルをパワー・バイヤーと呼びます。ちなみに、ホームワードは、最近、株とローンで$3.71億の資金を得たそうです。

このようなモデルでは、7割の人がパワー・バイヤーのローンを借りてくれます。ジローもローンを出しており、目標は33%だそうですが、実際はオープンドアより低く、たったの1%です。iBuyerは、新居を購入する予定のない人でも使いますし、予定があっても、iBuyerから新居を購入する必要性はありませんので、そのローンを借りる必然性はありません。逆に、ノックのように、つなぎローンを出すことによって、売ってからでないと買えないというジレンマを解決しているモデルは、100%の顧客がローンを借りてくれるわけです。

私は以前からiBuyerには否定的ですが、これではますます否定的にならざるを得ません。ソフトバンクなどからの巨額の資本金で、損をしてでもシェアを伸ばそうとしているわけですが、いつになったら儲かり始めるのか、先が見えません。

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 今日は、以前からご紹介しているiBuyerのジローやオープンドアが、住宅ローンを出すことによって赤字を埋めようとしていることに関して、解説しました。このチャンネルではハワイでのオープンハウスの様子や、アメリカ・ハワイの不動産マーケットの情報をお届けしています。アメリカの不動産に興味のある方、ハワイで不動産を持ちたい方は是非チャンネル登録をお願いします。

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