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不動産投資節税シリーズ5:圧縮償却による節税はそんなにうまく行くのか

 シリーズ2、3、4で、築古木造物件を利用した圧縮償却による高額所得者の節税について紹介しました。今日は、この投資の難点についてご説明します。

適した物件が少ない

 圧縮償却による節税を目的とした投資には、築22年以上の木造が最も適しています。しかし、あまり築古になると、5年後に売れるかどうかが問題になり得ます。ですから、理想的には築25年前後の物が良いのですが、そう言う物件はほとんどありません。

 弊社では、プロフォーマーと言うアプリを使って、どれだけ節税ができるかを具体的に計算できるようにしています。しかし、家賃や売却額などを正確に予想することは困難ですので、色々なシナリオのシミュレーションは、個別にご案内しております。

 そこまで計算してくれる仲介業者は、他にはないと自負しておりますが、圧縮償却が節税になるということ自体は、よく知られています。それを専門にしている仲介業者もあります。需要が高いということが、築25年前後の物件がなかなか見つからない一つの理由かもしれません。

銀行の審査が厳しい

 築30年以上の物件を購入する場合は、銀行が、5年後に売って、売却益でローン残高が返済できるかどうかを問題視することが良くあります。保有期間中の5年間、正確には減価償却できる最初の4年間でかなりのキャッシュフローがあります。その利益をちゃんとある程度換金性のあるものに投資していれば問題ないのですが、投資家がそれを浪費しないという保証はありません。

 ですので、銀行は、売却益でローン残高が支払えるかどうかによって、融資を出すかどうかを決めたいのです。築古の物件はローン期間が短いので、5年後にはかなり残高が減っているはずですが、銀行はこのリスクを避けたがり、融資してくれないことが多いのも、この投資の難点です。

 簡単な例をあげましょう。1億円の物件を買って、8千万のローンを借りたとします。金利が1.5%で15年ローンなら、5年後の残高は55,305,281円です。建物の価値が5000万円だとすると、譲渡所得税や売却費用を考慮しても、物件が58,746,449円以下で売れない限り、この残高が払えないということはありません。可能性としては低いのですが、銀行としては慎重になるケースがよく見られます。

 ここでひとつ細かいことを説明しますが、譲渡所得税率は、5年以内に売る場合は39.63%、以上なら20.315%です。節税目的の投資であれば、当然5年後に売ることになります。と言っても、実際には6年後に近いことが多いのです。

 二つ理由がありますが、正確には、5年後ではなく、5年と1日です。それは大きな影響はありませんが、もう一つの理由は、売却した日がいつであろうと、譲渡したその年の1月1日に売れたとみなされることです。

 つまり、このブログを書いている22年2月22日に売ったとしても、1月1日に売ったとみなされます。5年と1日経ってから売らなければならないということですと、2016年12月31日以前に購入した物件でなければ、5年所有したとはみなされないのです。

 つまらないことだと思うかもしれませんが、これを間違えると大変なことになりますので、書きました。また、これが理由で、実際のローンの支払いは5年以上続き、残高はもっと減っていることがほとんどです。

 シリーズ4にも書きましたが、銀行は、安定した職種の高額所得者の方には、このような事柄とは関係なく、フルローンでも出してくれることが多いです。逆に、ヘッジファンドで働いておられるような方は、ボーナスが多く、収入が不安定ですので、融資がつかないこともあり得ます。

解決案

 一つの解決案は、価格の下がらない木造物件への投資です。金閣寺は無理だとしても、京都の古民家などは、古いほど価値がありますので、価格が下がるリスクが減ります。ただし、大規模修繕が必要な物件は、古民家に限らず、修繕費用を4年で償却することが難しいです。売主に修繕をしてもらってその分高く購入したり、仲介業者にいったん買ってもらって、修繕してもらってから購入したりすることは、税回避行為になりかねません。ご注意ください。

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