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正直不動産第7話:リバースモーゲージ

 登坂不動産で営業トップの永瀬財地(山下智久)は、詐欺まがいの商法で成績を上げてきました。ところが、ある日突然、たたりで嘘がつけなくなり、成績が急降下。第7話では、長瀬に片思いのメインバンク融資課の榎本美波(泉里香)が、ある定年夫婦の自宅売却に絡み、永瀬に協力を求めてきました。しかし、榎本の魂胆は、この老夫婦に、売却ではなくリバースモーゲージを勧めることでした。

リバースモーゲージとは

 リバースとは逆、モーゲージとは抵当、あるいは抵当権付きの住宅ローンという意味です。文字通り訳すと、逆住宅ローンですが、持ち家担保年金と訳されることもあります。自宅を所有しているが、現金収入が少ない高齢者世帯が、住居を手放すことなく収入を確保するための手段として使われます。

 通常のローンは、一括でローンを借りて、支払いをするにつれてだんだんと残高が減っていきます。しかし、リバースモーゲージはその逆で、毎月お金を少しずつ借りて、残高がだんだん増えていきます。番組のメインバンクのリバースモーゲージは、20年ローンで、それまでに亡くなれば、家を売って返済しても構いませんし、生命保険があれば、保険金で返済できるかもしれません。

リバースモーゲージのデメリット

 しかし、番組に出てくる老夫婦はまだ60代。20年後に二人ともご健在である可能性は高く、その時の残高を一括で返済することになります。そのためには、家を売らなければならなくなるでしょう。住む家がなくなるばかりでなく、リバースモーゲージからの毎月のローンも同時になくなります。

 デメリットは他にもあります。変動金利の場合、金利が上がると、毎月借りることのできる額が減るかもしれません。また、家の価値が予想以上に下がると、追加担保が必要になるかもしれません。

 長瀬は、「この家は駅から遠いし、そう簡単には売れないかもしれません」と正直に伝えました。しかし、リバースモーゲージのデメリットも洗いざらいしゃべってしまい、榎本は激怒…。

米国のリバースモーゲージ

 リバースモーゲージは米国にもありますが、少し違います。米国では、亡くなる、家を売る、あるいは引っ越すまで、残高を完済する必要はありません。予想以上に長生きして、残高が担保価値を超える場合は、そのための保険でカバーします。日本と違い、住宅価値が上昇し続けているので、少々長生きしても、担保割れすることはないのです。

 私がよく使っているローンブローカーも、以前はリバースモーゲージの仲介をしていたそうですが、いやになって止めました。リバースモーゲージの営業に行くと、子供たちも来ていることが多いです。子供たちは、毎月借りるお金が少ないほうが、亡くなるときのローン残高が減り、遺産が増えていいのです。この親子のやり取りが見るに堪えないので、止めたそうです。

 日本のリバースモーゲージは、消費者にとっては米国よりもリスクがありますので、興味はあるが不安だという方は、地方自治体に問い合わせてみるのも良いかもしれません。公庫を使ってリバースモーゲージを出してくれる、あるいは金融機関を紹介してくれる自治体もあります。

リースバック

 この老夫婦、家を売って引っ越すか、リバースモーゲージを借りるかで悩むわけですが、家を売って引っ越さないという選択肢もあります。ハウス・リースバックと呼ばれ、売った自宅をそのまま賃貸するというものです。しかし、これは業者に頼む場合かなり安く売ることになります。なぜ安くても売るのか、不思議ですが、売ったことが他人にばれるのが恥ずかしいので、安くても、売ってリースバックするのでしょうか。

 リースバックとは、通常、事業用不動産で使われます。会社の資産を不動産に投資したままにしておくよりも。会社の事業自体に投資した方が利回りが良い、というのがその理由です。

 自宅のリースバックというのは、米国でも数は少なく、それをビジネスモデルにしている不動産会社はないと思います。仮にリースバックしたいと思っても、それを不動産会社に依頼する必要性がないからです。リースバックを条件に売りに出せばよいだけの話です。

 売値と家賃さえ良ければ、投資目的で購入を考えているバイヤーにとって、これほど良い条件はありません。原状回復をする必要もなければ、テナントを見つける必要もありませんし、入居者がそこに長く住み続ける可能性も大です。

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正直不動産第7話:リバースモーゲージ
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