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正直不動産第8話:地面師

 登坂不動産で営業トップの永瀬財地(山下智久)は、詐欺まがいの商法で成績を上げてきました。ところが、ある日突然、たたりで嘘がつけなくなり、成績が急降下。第8話では、登坂不動産が300坪・5億円の土地を購入して転売することになり、なんとか契約を勝ち取るのですが、何かしっくりこない。長瀬は、地面師詐欺かもしれないと疑うのですが、さて、どうやって見破るのか。

 解説を始める前にまず一言。この番組はコメディーですので、つじつまの合わないことが時々あるのですが、今回はちょっと多いような気がします。それらも交えながら、解説しましょう。

 土地の所有者である会社に出向いた長瀬と月下を歓迎してくれたのは、二人の地面師で、入院している社長の息子たちだとのこと。会社の事務所に数人の事務員が働いていますが、実はこの物件を所有している会社はペーパーカンパニーで、社員などいません。ということは、これらの事務員はすべて地面師に雇われているということになりますが、騙されて雇われているのか、地面師と知って共謀しているのかはわかりません。

 詐欺に関わる人が増えるほど、ばれる可能性も高くなるので、通常、ここまで大掛かりにすることはないそうです。実際は、暴力団のような犯罪組織が、弱みを握っている人を恐喝して、地面師の役をやらせることが多いと、弊社の河野社長が言っています。社長がなぜそんなことをよく知っているのかは不明。

 何か変だと感じ始めた長瀬は、この二人が本人であることを確認するため、会社が入っているビルの管理士を訪ねます。根掘り葉掘り二人について尋ねるのですが、この二人が本人でないという決定的な証拠は見つかりません。この時点で、長瀬は二人の身分を証明するためのパスポートの写しをもらっています。実はこのパスポート、偽造なのですが、写真に写っているのはもちろん地面師たち。管理士に写真を見せれば、偽者だということはすぐに分かりそうなものですが…。

 こんな刑事の聞き込みみたいなことをしなくても、本人確認の方法は他にもあります。長瀬は病気でもう先が長くないという社長に会いに行きますが、これは、偽の請求書に書いてある電話番号に電話して、その請求書が本物かどうかを調べようとするようなものです。会社の所有者に関して自分が調べた情報に基づいて会いに行けば、本人に逢えるはずです。

 実際に起きたある有名な地面師詐欺事件では、所有者ご本人が身を隠していたので、本人確認ができませんでした。所有者のおばあちゃんは、土地を買いたいという申し出が多いので、それを避けたくて雲隠れしていたのですが、地面師はそれを悪用したのです。

 ところで、地面師は通常手付金をもらった時点でドロン。登坂不動産の買取価格が、競合しているミネルバ不動産より安かったにもかかわらず、地面師が登坂を選んだ一つの理由は、手付金が高かったからです。 手付金はせいぜい買取価格の10%。一般の方が持っておられる1億円以下の不動産を地面師が狙うことはまずありません。地面師詐欺の対象になるような物件の売主はプロです。NHKがこのシリーズを作成した一つの理由は、国民の不動産リテラシーを上げることではないかと思われますが、第8話はその役には立たないかもですね。

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正直不動産第8話:地面師
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