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2022年仙台IREMジャパン年次総会:チップ・ワッツ前会長とレネー・サヴェッジ次期会長によるプレゼン

2022年IREMジャパン年次総会:チップ・ワッツ前会長プレゼン

 皆さん、こんにちは。IREM前会長のチップ・ワッツです。今日は、2022年の不動産管理のトレンドについてお話ししたいと思います。

 パンデミックですべての業界はテクノロジーを使ったバーチャルなスペースになりました。不動産管理もテクノロジーを導入し、マニュアルなプロセスを自動化して、入居者やテナントが望んでいるリモートワークを可能にしています。

 今、入居者が望んでいるのは、以前のようにプールや大理石のカウンタートップなど、物理的なアメニティーではなく、高レベルのサービスとコミュニケーションです。オフィステナントも同じで、警備、スペース利用データ、省エネだけではありません。高レベルのサービスを提供できる統合的テクノロジーのインフラがない不動産管理会社は、魅力を失うでしょう。

 自動化のトレンドは不動産業界でもかなり前から取り入れられていますが、これからも、多くの会社が導入して、手順の簡素化と効率化が進むでしょう。業界は、生産性を下げる従来の手順や古い商習慣から離れています。市場の動きは早く、特に居住系では、書類を使ってマニュアルで仕事をしていたのでは、入居者の入れ替えやスペースのリーシングに間に合わないのです。

 例えば、パンデミックにより、賃貸のプロセスは自動化されました。賃貸の申し込み、入居者審査、バーチャル内見、家賃の支払い、電子署名などです。Z世代が大人になって賃貸を始め、家賃支払い、ドアのロック、賃貸契約書の署名など、デジタル化を求めているのです。自動化の導入とセルフサービス設備は、テクノロジーに長けた入居者を引き付ける鍵です。

 多くのプロセスがバーチャルになり、自動化され、バーチャル・リアリティーとオーグメンテッド・リアリティーのビジネスチャンスが膨らんでいます。建築においては、設計の過程で、 建てる前に、建築士やクライアントがビルのシミュレーションを体験することができます。また、入居者、バイヤー、テナントは、不動産を探す際、現場に行かないでビルの感じをつかむことができ、これは画期的です。少なくとも、意思決定の初期段階ではこれが使えます。

 オーグメンテッド・リアリティーは、現実の世界に3Dの家具などのバーチャル・イメージを映し出して、そのスペースをどのように使えるか、イメージがわかるようにしてくれます。ビルの道案内、保守や建築プロセスの簡素化などに役立つのです。

 ビルは、たくさんのデータを集めています。それを利用して、どのようにパフォーマンスを最大化し、効率を改善し、収益性を上げることができるのでしょうか。テクノロジーを統合化して、電気、空調、人命安全、ガス水道、通信などのビルシステムを一つの自動化されたビルシステムにまとめることが、大きな違いをもたらします。

 このような積極的な保守によって、省エネや、保守が必要になる兆候をデータ分析し、何かが起きるまで待ってテナントに迷惑をかけなくても済むのです。例えば、エネルギーのソフトをビル管理システムにつなぐことなどです。大切なのは、高レベルのサービスを可能にする統合的テクノロジー・インフラがない不動産管理業者は、魅力がなくなるということです。

IREM次期会長のレネー・サヴェッジ氏のプレゼン:テクノロジー

 今日、皆さんに業界のトレンドについてお話しできることを、喜ばしく思っています。テクノロジーが使われているほかのセクターについてお話ししたいと思います。

 プロップテク(不動産テクノロジー)は持続可能性とも関係があり、技術革新の大きなチャンスです。グリーン・イニシアティブは、ほとんどの不動産管理士やオーナーやテナントが、当然の成り行きと考えていました。持続可能性をサポートする地域的、全国的、国際的インセンティブのおかげで、ビルのオーナーや投資家は、彼らの物件をどのように温暖化防止に役立てるか、深くかかわっています。

 世界の指導者たちがこぞって気候変化を遅らせる戦略を導入するなか、私たちは、このイニシアティブが本格化するのを見てきました。2021年グラスゴー気候変動会議を見てもわかるように、ネットゼロエネルギーを達成し、温室効果ガス排出目標を立てることは、世界中の政府と企業の最優先事項になりました。COVID-19は、特にビル環境とテナント入居者の健康に関して、不動産の持続可能性を加速しました。ビルはよりインテリジェントになり、その結果、よりグリーンになりました。より心地よく、安全で、健康なものになったのです。

 プロップテクは、管理士、入居者、テナントの省エネを助け、エネルギー利用をリアルタイムで見ることができます。空調と空気室だけでなく、電気ガス水道をモニターする技術ができたのです。テクノロジーが進化し、開発業者や投資家が二酸化炭素排出量を大幅に減らし、これらの技術によって、環境的投資収益を実現することができるのです。

 この新しいグリーンテクノロジーの原動力は何でしょうか。不動産業界は、世界の原料の40%を使い、40%のエネルギーを使い、30%の二酸化炭素を排出しています。だからこそ、しばらくの間、持続可能な解決策が重要になるのです。

 この進展のもう一つの原動力は、多くの人が持続可能な生活を願っているということです。2019年のフォーブス誌の記事によると、77%の人が持続可能な生活について学びたいと述べています。これらの人々がアパートを借りる時や職場に行くときに、それを可能にするアメニティー、モニタリング、テクノロジー解決策を求めるようになるでしょう。

 これには、大掛かりなリサイクリング・プログラム、スマート・サーモスタット、水漏れセンサー、節水策なども含まれます。オフィス・テナントは、空気質や水質について、管理会社が伝えてくれることを期待します。二酸化炭素の排出量、空気質と水質、その他のESGをモニターできるプロップテクが、標準的な報告書の一部になるでしょう。

 IREMはどのように持続可能性を導入しているのでしょうか。IREMのCSP認定は、持続可能性を優先する方法の一つです。IREM基金、会員が管理している不動産の環境影響改善イニシアティブをサポートするために創られた、エレナの持続可能性基金、その他の多くの授業や教育を通して、不動産管理士が、利害関係者に対する、そして最終的には私たちの環境に対する責任を果たすことができるよう、焦点を当てています。

 最後に、バリー・ブラントン会長がプレゼンする予定でしたが、残念ながら来日できませんでしたので、チップ・ワッツ前会長が代わりにしてくださいました。

2022年IREMイニシアティブ

 それでは、2022年のIREMのイニシアティブについてお話しします。2022年のフォーカスは、バリアを取り除き、IREMをより開放的にするということです。私たちに達成できることに、限度はありません。

 最近、大変なことは、不動産管理の人材が足りないということです。入居者が自宅で過ごす時間が増え、不動産管理士は、保守のリクエスト、小包の配達、入居者が出すゴミが増えたことなど、問題が増えました。同時に、保守などのスキルのある業者は減りました。また、ウィズコロナが続く中、管理士は、健康や安全に関する新しい今までにない問題に直面しています。

 不動産管理業は、強い信頼関係を築くことから始まります。これは今に始まったことではありませんが、特にこの2年間はそうです。世界中の不動産管理士が、想像もしなかった試練を受けています。しかし、私たちは、学んだことを共有することによって、また同じ問題に直面している管理士のベストプラクティスを確立することによって、それを乗り越えてきましたし、これからも乗り越えていくでしょう。

 私たちは、つながりを持つことによって世界をより小さくし、またより良くしました。まだわからない見えない脅威に直面しながらも、私たちは、テクノロジーを使って、期待に応え、それを超えることができるよう、努力しているのです。その中で、私たちは、一人でいるよりも一緒のほうがよりよくできることを学び、私たちの仕事、会社、管理する物件で開放的な環境を育むよう、全体的かつ具体的な変化をもたらし、明日の世界を今日よりも良いものにするために協力しています。人間関係は、不動産管理の中心なのです。

 IREMの重要な目標は、現在と将来の会員が卓越した経験をすることができるように助けることです。IREMを不動産管理業界で差別化する称号、教育、ネットワーク、そしてみんなが歓迎されサポートされることによって、私たちは、この組織を、すべての面で向上させたいのです。

 IREMは、時代を超えて繫栄してきました。私たちは、1933年から進化を続け、経済的政治的文化的変動期の変化に適応し、いつもより良く強く成長してきました。今日、世界的団体として、私たちは世界的に適応と進化を続け、不動産管理のリーダーとして価値を上げるチャンスを探しています。

 不動産管理は充実した仕事です。私たちの推進力を上げるためには人材が必要です。そして、現在、他の業界や職業同様、私たちは人材不足に直面しています。新しい不動産管理士を集めるためには、大学だけでなく、高校でもこの職業について話し、新しい世代にこの業界に入ってもらわなければなりません。最近REME賞を受賞したIREM会員が言ったとおり、世界を変えたいと思ったら、不動産管理士になってください。私たちには、語らなければならないことがあるのです。

 大切な目標は、不動産管理を、偶然ではなく、選ばれる職業にすることです。また、だれでも入れる業界でなければなりません。新しい人を招待するためには、だれもが歓迎されているという開放的な環境を促進しなければなりません。私たちは、多様性、公正性、開放性が組織を強め、すべての人に門戸を開放するものであることの模範となる、大きな一歩を踏み出すチャンスを持っているのです。それが正しいことだからするというだけでなく、賢いことだからするのです。

 新しい人材を引き付けるために、管理会社の社長、人事部長、管理士にできることがいくつかあります。一つは、職場に意義深い文化を作ることです。これは、従業員に焦点を当てた募集に反映されます。従業員がどのように会社の使命を果たすために役立つか、そしてその成功に貢献するかにフォーカスした、職務記述書を作成してください。現代の労働者は、意義のある仕事を探しています。それだけでなく、社員がどのように成長して新しいスキルを学ぶことができるか、特にほかの物件に移ったり、昇進したりできる事柄を強調してください。

 もう一つのアプローチは、テクノロジーを導入して、若い人にスキルのギャップを埋めてもらうことです。ゼット世代はテクノロジーに慣れていますので、新しいツールを取り入れたい会社では、彼らが革新的なテクノロジー利用法を考えてくれるでしょう。技術的知識はどのような会社にとってもプラスになりますので、それを学ぶ機会を社員に与えることによって、その部署の成長を助けることができます。

 最後に、会社はポリシーと手順を評価しなければなりません。柔軟性のある就労時間や場所、褒賞や感謝の気持ちを表すことも、その一つです。職務記述書の短縮、モバイルの申し込み、面接予定の自動化なども、雇用プロセスをスムーズにしてくれます。

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仙台IREMジャパン年次総会:チップ・ワッツ前会長、レネー・サべッジ次期会長プレゼン
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