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オアフ住宅市場統計2022年6月:コンドの中央値2カ月連続で記録更新

 ここ半年、毎月のように言っていることですが、この住宅市場統計のブログは、何か記録が出たときにのみ作成しています。通常、毎月ブログを書くほど、新しい情報やトレンドはないからです。しかし、2021年12月からは、2022年4月以外、毎月何かの記録を更新しています。5月は戸建てとコンドの中央値が更新されましたが、6月は、2カ月連続でコンドの中央値が更新されました。今月は休めるかなと期待していたのですが、そうはいきませんでした。

 値段は上がっていますが、取引件数は、戸建てが前年比で20.8%、コンドは14.2%減りました。不動産の統計は、通常、先月比ではなく、前年比で比べます。季節によって売買が盛んな時期とそうでない時期がありますので、前年比だと、季節調整をする必要がないからです。しかし、パンデミック前の2019年と比べると、戸建ては9.2%、コンドは32.3%も取引が増えています。

 新規売り出し物件は、戸建てが18.9%、コンドが12.5%減っています。6月に売りに出てまだ売れていない、あるいは成約していない物件は58%で、去年は38%でした。コンドも今年は58%、去年は49%です。売れ行きが鈍ってきていることは確かです。

戸建て

 戸建ての中央値は、前年比で12.4%上がって$1,100,000。年間20%に近い上昇率が続いていましたので、10%台前半と言うのは、少し落ち着いてきた感じです。戸建ての62%が売り出し価格より高く売れ、多いと思うでしょうが、前年比で6%減です。売り物件の在庫はまだ低いですが、前年比だと全体で39.8%増えています。エバ平野とリーワードの在庫が倍以上に増え、それぞれ194%と104%の上昇です。

コンド

 コンドの中央値は$534,000で、2カ月連続記録更新。前年比で16.1%、先月と比べて3.4%の上昇です。コンドの前年比の上昇率がいよいよ10%代後半に上がってきました。コロナが終息し始め、コンドに住むことに関する恐れや、アメニティーが使えないことへの不満が収まり、戸建てが買えない所得層がコンドに集中してきた感です。在宅勤務も、この所得層にはできない労働者が多いと思われますので、最近のガソリン代の高騰は、市街地に多いコンドの人気を上げているかもしれません。

 地域別では、ダイヤモンドヘッドとエバ平野が最も取引数が減っており、それぞれ60.9%と27.1%減です。ホノルル・ボード・オブ・リアルターズの統計で使われているダイヤモンドヘッド地域と言うのは、あの有名なダイヤモンドヘッドだけではなく、その周辺のかなり広い部分が含まれていますので、地図をご覧になってください。

 コンドの価格帯は、$700,000~$1,199,999が47.9%増。$70万未満は25.8%減で、コンドの売買が14.2%減ったのは、この価格帯の減少が原因です。売り出し価格より高く売れた物件は、去年6月の41%から2%増えて、43%でした。

売り出し価格の下方修正

 戸建てもコンドも、売り出し価格を下方修正した物件が増え、戸建ては、去年6月は20%でしたが、今年は30%です。私は、毎日、価格帯や部屋数など、特定の条件の売り物件を見ています。新規売り物件だけでなく、ローンが下りなかったなどの理由で売買契約が解約になった物件や、値段を下げた物件のリストも自動的に出るようになっています。

 例えば、今日出た物件は全部で7戸。2戸は解約、5戸が値段を下げた物件でした。以前は、過半数が新規売り出し物件でしたが、戸建てが売れなくなってきているのを肌で感じます。とはいうものの、まだ過半数の物件が売り出し価格以上で売れていますので、これらの物件は、価格上昇を期待して、非現実的な値付けをしたと思われます。

 コンドも、去年6月は売り出し物件の22%が値段を下げましたが、今年は27%です。これらの数字は、6月の時点で在庫の何%が値段を下方修正しているかを表す数字であり、必ずしも6月に値段を下げたわけではありません。売りに出したがオファーがないので、何カ月も前に値段を下げて未だに売れていないという物件も多く含まれています。

年累計

 2022年の前半が終わったわけですが、年累計でみると、コンドの取引は7.5%増、戸建ては8.8%減です。$90万未満の戸建ては48%減で、そんな安い戸建てはもうないのです。コンドは、$70万台が倍増、$80万台も94.2%増です。戸建ての中央値は17.0%上がって$1,111,211。中央値がこんなに中途半端な数字になるのは珍しいですが、なぜでしょうね。

 例えば、全部で9戸売れたとすると、価格の順に並べて、5番目の物件価格が中央値です。10戸だと、偶数で、ちょうど中央になるサンプルがありませんので、5番目と6番目の価格の平均が中央値になります。戸建ては6月までに1,954戸売れていますので、値段の順に並べて、977番目と978番目の価格の平均が、こんな数になったというわけです。

 家が$1,111,000で売れるということはあり得ると思いますが、安い順に並べて977番目がこの価格で売れたとすると、978番目が$1,111,422で売れれば、中央値が$1,111,211になります。ちょっと気になったので調べたところ、カイルアのココナッツ・グローブの家がこの値段で売れていました。私も暇人間ですね。

 つまらない話はそのくらいにして、コンドの中央値は年累計で13.2%上昇し、$515,000です。戸建ては4件に3件、コンドは約6割が、売り出し価格以上で売れています。売り出し価格より高く売れたのは、戸建てが去年より3%増えて61%、コンドは、去年は33%でしたが、今年は43%です。これを見ても、コンドがよく売れ始めたことがわかります。

 新規売り出し物件は、戸建てが去年より5.5%減り、特にカネオヘは25%も減りました。地域別の統計は、サンプルが少ないのであまり参考になりませんが、これは一か月の統計ではなく、6か月分ですし、カネオヘは戸建てが多い地域です。サンプル数は十分にありますので、トレンドとみなして差し支えないでしょう。

 コンドは1.1%増え、市街地とリーワードでそれぞれ3.1%と5.8%増えています。ノースショアは、93.1%も増えましたが、もともと数が少ないので、絶対数ではこれでも12地域の中で最低です。

中央値で売れた家

 それでは最後に、気になる$1,111,422の家を見てみましょう。変わっているのは売却額だけではありません。敷地は3,750平方フィート、348平米しかない旗竿地で、しかもCPRです。旗竿地と言うのは、道路に面しておらず、細い路地からアクセスできる敷地で、あまり好まれません。

 CPRと言うのは、この場合、心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation)ではなく、Condominium Property Regimesの頭文字で、土地が区分所有だということです。この地域は、1戸当たり5,000平方フィートなければならないのですが、CPRにすることによって、それより狭くても建てることができるのです。つまり、もともともっと広い敷地だったのを分けたもので、旗竿地になったのもそのせいでしょう。これも、何かと自分だけで決められないことがありますので、好まれません。

 しかも築面積はたったの768平方フィート、71平米で、2LDKです。築36年ですから、米国では決して古くはありませんが、築浅ではない。ところが、$975,000で売りに出したのが、たったの10日で成約し、4月12日に$1,111,422で売れました。この高騰ぶりには、私もついていけません。パンデミック中、年20%近く急騰していましたが、勢いが少々衰えてきたとはいえ、驚きの値段です。このちっぽけな家をこんな値段で誰が買うか?なんて、不動産屋がみなさんの投資意欲に水をかけるようなことを言ってはいけませんね。

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オアフ住宅市場統計2022年6月:コンドの中央値が2カ月連続記録更新
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