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コンド・フリップ:鍵をもらったとたんに売る

 売りに出てから4年近くたって、ハワード・ヒューズが開発したカカアコのタワマン、コウラがやっと完成しました。カカアコのワード・ビレッジで開発されたコンドの中では、唯一すべてのユニットにラナイ(ベランダ)が付いています。多くの新オーナーがすぐに売りに出しましたが、ちょっとタイミングが遅かった。高金利で、今はなかなか売れません。

 50戸以上が売りに出て、今のところ成約したのは4戸、売れたのはまだ1戸です。米国では、まず売買契約をしてからことが始まりますので、売れるまでには通常成約してから一カ月以上かかります。

 売れたのは2LDKでもともとの購入価格は$136.5万、10月28日の売値は$149.5万でした。と言うことは、売値は9.5%、$13万の上昇です。しかし、アメリカは売却コストが高く、8~10%ですので、純利益はごくわずか。売主が外国人の場合、キャピタルゲイン税を払わないで自国に帰ってしまったら困りますので、連邦税と州税の源泉徴収があります。還付してもらうために公認会計士に払う費用を考えると、利益はほぼ0です。

 新築コンドの購入は、多くの場合建築工事が始まる前に手付金を払い、完成まで2~3年はかかります。その間、価値が上昇することもあり、それを狙う投資家もいますが、その逆もあり得ます。トランプ・タワーは、1日で完売しましたが、完成したのはリーマンショックの真っただ中。購入者の多くは不動産業者で、嘘を並び立てて何とか竣工までに売ろうと必死でした。

 完成した物件を引き渡す時点で残高を払えなければ手付金はパー。価値が下がっていれば、もらえるローンの額も下がります。完成前の売却を許している物件もありますが、完成して、いったん購入してからでないと売れない物件もありますので、ご注意ください。

 コウラが売りに出たのは2019年1月で、当時の売値は$50~260万。当時のカカアコのコンドの中央値は$80.9万で、2022年10月は$106万でした。31%の上昇率ですが、パンデミック中は全国的に年20%くらい上がったのでは、と不思議に思う方もいらっしゃるかも。しかし、それは戸建ての話です。

 3年10カ月で31%も上がったのなら、なぜコウラは9.5%しか上がらなかったのか。新築のプレミアムと言うこともあるかもしれませんが、それだけではないかもしれません。

 例えば、カカアコのような市場の場合、コンド開発物件が売りに出ると、一度にたくさんの物件が売れます。そのコンドがたまたま高級物件であれば、その月の中央値は急上昇。お手頃物件であれば急降下です。31%上がったからと言って、その地域のすべての物件が31%上がったと言うことにはなりません。その地域に高級物件が増えたと言うことかもしれないのです。

 コウラが売りに出たときの金利は4.5%。去年の年末は2.7%。完成したコウラをオーナーに引き渡しし始めたころは6%、その後も上がり続けて7%に達し、最近ちょっと下がりましたが、と言ってもまだまだ高い。高金利で値段が急落したと言うわけではありませんが、これから金利は下がるだろうと言う期待で、誰も買い急いではいません。

 新築のリスクは価格や金利の変動だけではありません。ワード・ビレッジで最高級のワイエアは、ダメ工事で竣工まもなく裁判沙汰に。ワイエアができるまで最高級と言われていたホクアも、竣工直後に配管の問題が起きました。

 自分が別荘として使うつもりならいいですが、投機目的で新築コンドを購入するのはいかがなものでしょう。物件を購入してすぐに転売することをフリップと呼びますが、フリップには「ひっくり返る」と言う意味もありますので、くれぐれもご注意ください。

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コンド・フリップ:鍵をもらったとたんに売る
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