オアフ島の工業系物件の空室率が年末には1%を切ると言うブログを書いたばかりですが、今日は工業系が多いオアフ島西部についてまとめてみたいと思います。パンデミック以前は、十分に余裕がある市場でした。しかし、今はサードパーティーロジスティクス(効率化とコスト削減を目的に物流会社に物流業務を委託すること)やラスト・マイル(最後の1マイルと言う意味で、消費者に注文品を届ける最後の工程)の需要で、西オアフの工業市場は逼迫しています。
事の始まりは、2020年7月、アマゾンによるホノルル港の隣の土地の購入でした。2021アウイキ通の14.45エーカー(約58,480平米)の工業用地を、アマゾンがサーブコ・パシフィックから購入したのです。価格は$1.25億で、流通センターの開発費用は$1.2億の予定。サーブコは、ハワイ最大のトヨタ、レクサス、スバルのディーラーです。この地域は、西オアフではなく、ダウンタウンと空港の間にある工業地帯ですが、ほとんどの物件が陳腐化しており、将来的には再開発が進むと思われます。
次の大きな取引は、2021年11月で、ジュピター・ホールディングスが、ロイヤル・クニアの工業用地をジネット・ワインバーグ基金から購入しました。ジネット・ワインバーグは、ユダヤ系のチャリティー基金で、約$30億の資産のうち、$10億をハワイに所有しています。敷地は約50ヘクタール。値段は$2,150万で、開発はこれからです。
年が明けて間もなく、アレキザンダー&ボールドウィンが、カリヒ・カイとカポレイ・ビジネス・パーク・ウエストを、総額$1.69億で購入しました。カリヒ・カイの物件は総額$1.08億で、コアの木の工芸品など、おみやげ物で有名なマーティン&マッカーサーが借りていた41,600平方フィート(3,865平米)のカハイ通の物件が一つ。もう一つは29,100平方フィート(2,703平米)のカリヒ通の物件です。この2物件は、空港と港に近く、西オアフではありません。
カポレイ・ビジネス・パーク・ウエストは西オアフにあり、購入したのは、売れ残っていた最後の2区画で、地続きではありません。1.3エーカー(5,260平米)と1.7エーカー(6,880平米)で、総額$610万。
同時期にまとめて売れたのが、西オアフのホオピリ・ビジネス・パークの32区画で、売主は先述したジュピターです。ジュピターに売ったのも同じくジネット・ワインバーグ基金で、ジュピターは$2,150万で購入してインフラ整備をしました。ジュピターから購入したのはコストコで、購入価格は何と$1.3億。ハワイにはコストコが7軒あり、ここはその流通センターになる予定です。
最後はまたアマゾンで、カポレイの49エーカー(20ヘクタール)の土地を$7,600万で購入し、流通センターを開発する予定。2年前にホノルル港で14.45エーカーの土地を購入したときから、西オアフにも流通センターを開発することを計画していたそうです。
これで、オアフ島の工業用地はほぼなくなりました。特に、重工業地域はほとんど残っていません。コンバージョンやゾーニングの変更には何年もかかります。市街地に近い工業用地は、借地に建てられた物件が多いのですが、リース料更新で採算が合わなくなった物件が増え、安い西部に移設しています。こうして、ここ数年で50万平方フィート(約46,000平米)もの工業用スペースが吸収されたのです。
アヴァロン・グループは、いろいろな開発を手掛けていますが、西オアフでは長年工業系の開発をしてきました。現在も、4万平方フィート(3,700平米)のロイヤル・コア・センター、25万平方フィート(23,000平米)のエヴァのコーラル・クリーク・センター(https://www.coralcreekcenter.com/)、17万平方フィート(15,800平米)のザ・クロッシング・アット・カポレイ・ビジネス・パーク・ウエスト(https://www.thecrossingkapolei.com/)を開発しています。
全部で50万平方フィートほどになりますが、アヴァロンはこれで需要を満たすことができるとは考えていません。開発は他にもありますが、竣工は早いものでも2024年。オアフの工業物件不足は、まだ何年も続きそうです。
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