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タイでの9回目のボランティア活動

 私は、ボランティアではありますが小さな教会の牧師をしていますので、クリスマスとイースター(復活祭)くらいは何かキリスト教に関係のあるブログを書くようにしています。今年は、4月9日がイースターですが、私たちの教会がやっているタイでの活動についてご紹介します。

 私たちは、2012年から毎年タイでボランティア活動をしています。2019年が8回目でしたが、コロナで3年空いて、今年の1月、やっと行くことができました。ミャンマーとの国境にあるメーソットという市の教会が、二つの孤児院を運営しているのですが、いつものように孤児院に泊って、子供たちと過ごしました。

 二つの孤児院は、ホーム・オブ・ホープ(希望の家)という男女共学の孤児院と、グレイス・ハウス(恵みの家)という女の子専用の孤児院です。後者は、人身売買の犠牲になりそうな危険性を持っている子や、トラウマがある子が入るものです。ホーム・オブ・ホープの方は、今まで女の子の方が多かったのですが、今年度は逆転して、男の子が9人、女の子が4人になりました。

 パンデミックで来ることができなかった間に、多くの子供たちが卒業し、その多くは大学に行っています。メーソットにはほとんど大学がないので、彼らは全員他の都市に引っ越しており、会うことができなくて残念です。

パスートとマウワウ兄妹

 2017年に行ったとき、パスートとマウワウ兄妹が孤児院に入ったばかりでした。その時に買ってあげた冷蔵庫の前で写真を撮ったのですが、2019年に行ったときには見違えるように成長していたので、また同じ冷蔵庫の前で写真を撮りました。今回は、3年ちょっと会ってなかったので、さらに見違えるように成長いていました。また同じように冷蔵庫の前で写真を撮ろうと思って彼らを呼んだら、彼らも私が何をしたいか分かったようで、すぐに冷蔵庫の前に並んでくれました。

2017年
2019年
2023年

チャンプヌットちゃん

 今回初めて会う子供たちもたくさんいました。その一人が9歳のチャンプヌットちゃんで、私たちがサポートしている子です。8人兄弟の末っ子で、お兄さんで11歳のディレット君と、お姉さんで16歳のサーちゃんも孤児院に入っています。他の5人はもう自立しているようです。車で30分ほどのところにある実家は農家ですが、お父さんが亡くなり、生活が苦しいので、預けられました。

サーちゃん(左)とチョンプヌットちゃん

 ある晩、3人を連れて食事に行きました。KFCに行きたいというので、町一番のショッピングセンターに行って、食事の後ゲームセンターで遊んで、アイスクリームを食べて帰りました。

ノックちゃん

 この子たちは英語が全くしゃべれないので、去年5月に入ったばかりのノックちゃんにも来てもらい、通訳をしてもらいました。ノックとは鳥という意味で、タイのノックエアーという航空会社の名前と同じです。

 ノックちゃんは、中学2年生とは思えないほど英語が上手で、しっかりした良い子です。実は16歳で、本来なら高校1年生ですが、生まれ育った村に中学校がなく、21年にお姉さんのフォンちゃんとメーソットに引っ越してきて入学しました。

フォンちゃん(左)とノックちゃん

 ご両親は離婚しています。お母さんの職場の上司が二人の娘に手を出そうとしたのが、二人がメーソットに引っ越したきっかけでした。実家は車で30分ほどの場所なので、お母さんは、休みには二人に帰って欲しいそうですが、二人はもう帰りたくないそうです。

 ノックちゃんが中学2年生なのはそのためで、フォンちゃんは中学3年から編入し、今は高校1年生です。中学や高校のない田舎の村から来る子が学校の寮に住むことは珍しくはありません。寮と言っても、二段ベッドが並んでいるだけの粗末な部屋で、私たちが想像する寮とは大違いです。

 しかし、この二人はタイ生まれのミャンマー人で、タイの公立学校で教育を受ける権利はなく、寮費を払わなければならないのです。学校が孤児院に連絡して二人を引き取ってもらったのも、どうやら二人が無国籍であることが理由のようです。メーソットは、ミャンマーからの難民が多く住んでいます。教会は、タイ語が喋れない子供たちのための学校の運営にも携わっています。

 ミャンマー人であることは、成人してからの彼女たちの人生にも重くのしかかってくるでしょう。二人は、タイで生まれ育ったので、たぶんビルマ語は喋れないでしょう。彼女たちにとって、ミャンマーは外国です。

 この二人は、まだサポーターが見つかっていないので、探してくれと頼まれたのですが、帰国後見つかりました。最近、私の家で数か月ホームステイした留学生のお父さんが、お礼を言いたいというので、仕事で東京に行ったときにお会いしました。たまたまタイの話になり、名乗り出てくれたのです。

ポーちゃんとクワンカオちゃん

 早速タイの宣教師のマイクさんに知らせたところ、ポーちゃんとクワアンカオちゃんのサポーターが今年になって止めたので、彼らの分も探してほしいと頼まれました。ポーちゃんは12歳で、お母さんが亡くなっており、お父さんは体に障害があって働けません。クワンカオちゃんは14歳で、ご両親は健在ですが、村に小学校までしかないので、孤児院に預けられて中学校に通っています。

ポーちゃん

クワンカオちゃん

 というわけで、この二人のサポーターを探していたのですが、IREM(全米不動産管理協会)パシフィック・コンフェレンスの参加者の方と話していて、手を上げてくれました。私は、不動産のセールスより、孤児院のサポートのセールスの方が向いているようです。彼は、ポーちゃんのサポートをすることになりましたので、クワンカオちゃんのサポートをしたいと言う方がいらっしゃったらご連絡ください。月$100です。

ZOEインターナショナル

  話は前後しますが、今回は、タイ2番目の都市、チェンマイから入国しました。知り合いのレスさんが働いている、ZOEインターナショナルという団体を見学するためです。ZOEは、人身買場の犠牲になった子供たちを救済する団体で、チェンマイからかなり離れた田舎に大きな施設があります。スタッフも入れると、250名ほどが住んでおり、1年に消費する米が何と22トン。

 そこに住んでいる子供たち全員が人身売買の犠牲者ではありませんが、救済された子供たちは、人身売買の犯罪組織の刑事裁判で証言をしなければならない子もいます。組織に見つかったら何をされるか分からないので、ホームページを見ても、子供たちを守るために住所は書いてありませんし、場所が特定できるような写真もありません。私たちも、施設内の写真撮影は禁止され、子供たちが住んでいる建物に入ることはできませんでした。

 この団体は、全面的に寄付に頼るのではなく、山奥の広大な敷地で農業をして、食料の一部を賄っています。メーソットの教会の2つの孤児院でも同じようなことがしたいと言われました。そこで、その教会のジョン牧師(と言ってもこれはクリスチャン・ネームで、タイ人)と、見学に行くことになったのです。

 そこで聞いた話は、期待していたこととは少し内容が異なりました。具体的なアイデアを色々教えてくれるのかと思いきや、レスさんは、何をするにも、それを自分のプロジェクトとして、責任感を持ってやってくれる人がいなければうまく行かないと強調しました。

 実は、これは私も痛感していたことでした。今までにも何度か金銭的な援助をしてプロジェクトを始めましたが、どれもうまく行きませんでした。レスさんが言うには、誰かに言われてするようではだめで、本人のイニシアチブが必要だというのです。

 もう一つレスさんが強調したことは、お金の話をするのではなく、そもそも何のためにやっているのかに焦点を当てなさいとのことでした。つまり、「これをすると孤児院が経済的に助かる」からではなく、「これをすることによって困っている子供たちを救済できるから」という動機づけが必要だというのです。

 話の後、農場を見学し、具体的なヒントを得ることができましたが、ZOEも試行錯誤の連続なので、外部の人をトレーニングするほどの知識はまだないと言われました。チェンマイに、こういうことを専門に支援しているキリスト教団体があるので、具体的なことはそこで聞いて、必要ならトレーニングを受けてくださいとのことでした。

グレイス・ハウスとホーム・オブ・ホープの自立プロジェクト

 帰国後、レスさんの言う「イニシアチブ」を持って何かやってくれそうな人が見つかりました。宣教師のマイクさんです。彼は忙しくて、タイではほとんど話す機会はなかったのですが、日本に帰ってから、いろいろと彼の計画を教えてくれました。

 その一つが牛を育てるビジネスです。彼のタイ人の奥さんの知り合いが職を失い、10頭くらいなら飼ってもいいと言ってくれたのです。彼の家はメーソットから30分くらい離れた田舎で、土地と牧草には事欠きません。隣の家がかなりの数の牛を飼っているので、彼らから子牛を10頭買い、育てて5カ月後に売ると、純利益が1頭当たり1万バーツ(約4万円)になります。

毎月2頭ずつ売ると、グレイス・ハウスの運営費の半分を賄うことができるというのです。彼は、さっそく自分でお金を出して2頭購入しましたが、残りの8頭の購入を助けてくれる人を探していました。

 もう一つのアイデアは水耕です。彼の知り合いが、池のある土地を持っていますので、そこを借りてするというものです。彼は、既に地域の学校を助けて水耕をした経験があります(下の写真)。

水耕

 これらのプロジェクトについて検討していた間に、悪い知らせがありました。二つの孤児院の一つ、ホーム・オブ・ホープを支援してきた教会が、サポートを止めることになったと言うのです。今までにも、サポートが足りないなど、いろいろな経済的ニーズがありました。そのために寄付をすることもあれば、しないこともありましたが、私たちがしなくても、誰かほかの人や団体がそれらのニーズに応えてくれました。

 しかし、今回は今までとはちょっと違って、サポートがなくなれば、孤児院の閉鎖もやむを得ないと言うのです。私たちがしなくても、誰かほかの人が助けてくれるだろうと、のんびり構えているわけにはいきませんでした。そこで、ホーム・オブ・ホープの運営費をすべてサポートすることにしました。また、グレイス・ハウスの経済的自立のためのプロジェクトの初期費用も送りました。

 私たちの教会は、家でやっている小さな教会で、半永久的にホーム・オブ・ホープのサポートを続けるだけの経済力はありません。ちなみに、聖書の時代の教会も、家でやっていました。教会堂のローンや維持費などはなく、牧師の給料もありませんので、献金のほとんどをこのような寄付に使うことができますが、それでもずっと続けることは困難です。

 そこで、ホーム・オブ・ホープも自立できるように、他にもプロジェクトを始めてもらって、私たちの教会の資金が底をつく前に、プロジェクトのための資金を出すことにしました。具体的にどのようなプロジェクトをするかはまだ分かりません。

 日本人中高生交流プログラム

 何度も一緒にタイに行っているなっちゃんが、8月17~24日に、日本の中高生をタイに連れて行って、孤児院の子供たちと交流してもらう計画を立てています。中高年の方も歓迎します。全期間参加できなくても構いません。ご興味のある方は、ご連絡ください。

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イースターおめでとうございます:タイでの9回目のボランティア活動
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