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土地売却6,000万円がM&Aで3.3億円に

医者:「河野さん、うちの公認会計士にこの病院を売ればいくらになるか査定してもらいました。すると、病院施設は古くて売り物にならないので、更地価格引く解体費で6000万円が精いっぱいだろうと言われたんです。もっと高く売れませんかね。」

河野:「先生、更地1億2千万円引く解体費6,000万円イコール売却価格6,000万円という査定は、至って妥当な金額ですよ。」

医者:「35年必死でこの病院を経営してきて、最後がこれかと思うと、なんとも情けない。」

河野:「なぜ、売却なさるんですか。」

医者:「息子に継いでもらうことになっていたんです。息子が東京から帰ってきて6ヵ月副院長として勤務して、これで引継ぎができると安心していたんです。でも、10年以上東京で生活をしていた息子夫婦にとっては、地方暮らしが慣れなかったんでしょう。特に都会で生まれ育った嫁には、相当なストレスがあったようです。孫に通わせる良い学校もないと言うんです。東京に帰りたいと言うので、私も70歳を機にリタイアをし、東京に移住することにしました。」

河野:「どんな形でもこの病院を継続することが経済合理性において一番いいので、誰か親戚にでも院長として任せられる人はいませんか。」

医者:「親戚は医者が多いので、声をかけることが出来る人は何人もいますが、煩わしいので、きれいさっぱりしたいんです。」

河野:「M&Aなら最低でも2億5千万円ほどの価格になりますよ。成功させるためにはM&Aに詳しい弁護士と会計士が必要です。」

医者:「会計士は今までのお付き合いのある会計士がいいです。」

あの6,000万でしか売れないと言った会計士で、地域では有名な方だった。

河野:「会計士の先生と面談させてください。」

翌日

医者:「河野さん、すみませんが、会計士から、不動産屋の言うことは聞かないでくれと言われたんです。そもそも医療法人はM&Aなんかできないし、ベッドも不動産屋言うように高額で売れるわけがない。帳簿価格は数千円ですと言われました。」

河野:「確かにベッドの話はしましたが、病院においてあるベッドがいくらで売れるかという話ではないんです。病床数によって入院患者の数が決まるので、この病院のベッド数からして、2億5千万は固いと思いますよ。医療法人のM&Aなどできないと言う会計士の言い分は、確かに厳密にはM&Aという用語が適切でない場合もあります。病院を含めた医療機関は、営利目的で経営される企業とは違って、患者の健康という社会的使命を担う公益的な性格を持っていますからね。しかし、実際問題としてM&Aができないと言うことはないですよ。」

この公認会計士の先生はM&Aのことはよく知らないと思ったので、すぐさまいつもM&Aチームを組んでいる会計士の先生を院長先生に合わせることに。

M&A会計士:「この病院の年間売り上げは、2億7千万円で地域トップですね。M&Aの購入価格は、この売り上げを見込んで決めるもので、単純に土地がいくら、建物、設備がいくらと言う積算法ではありません。河野社長が出した目論見書は、購入する医者にとって十分達成可能です。銀行からの融資も容易に出来ます。目論見書によると、経営する医者の給与をゼロとして、年間利益が9600万円。初年度に1億円ほどの設備投資。毎年利益が2%下がり続け、10年後にこの医院を2億円で売却できます。投資総合利回りは20%近くになります。必要資金3億3000万円全額を20年、0.7%で銀行借入をして、十分に大きな給料を取っても、楽に支払いが出来ますよ。債務回収比率は年間負債支払額わる営業純利益で、通常は1.5もあれば十分ですけど、5.43もありますからね。」

後日、顧問の会計士の担当者が釈明にきた。

担当者:「いろいろと考え方があるので、これもよろしいのではないでしょうか。」

「不動産屋の言う事はまともに聞かないで下さい。」と言った大先生(会計事務所所長)は取引最後まで顔を出さなかった。大先生と言われている人は扱いが難しい。こうして、結局病院は3億3千万円で売れた。

契約が終わってしばらくして元院長先生に話す機会があった。

医者:「最後まで不安でした。こんな事をしたと聞いたことがなかったので…。」

河野独り言:「やはりなかなか信用して貰うのは難しいな。お医者さんは皆さん優秀なかたがただが、こういうことには疎遠なかたが多い。でも、そんな優秀な方に、不動産屋のおっさんの言うことを信用しろと言うのは難しいよね。弁護士や会計士に協力していただくことは大事なことだ。私はあくまでコーディネーターだ。

コーディネーターは全体的知識を把握していなければ、ちぐはぐなコーディネートしかできないからね。会計士や弁護士がコーディネーターになってもいいけど、不動産に詳しい人はあまりいない。その点、私は相当勉強したつもりだし、顧問弁護士が5人、公認会計士1人、税理士が2人いる。

協力していただく専門家も得手不得手があり、無能な人もいる。今までにも、首にした顧問は山ほどいる。全体像が見えている人をコンサルとして雇うことは大切ですね。」

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土地売却6,000万円がM&Aで3.3億円に:会計士に病院のM&Aなどないと言われた?
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