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陶器作りのおじさんがマンション経営業に変身:困り果てた夫婦の決断

 今、シリーズで弊社のコンサル例を紹介している。これらの例は、すべて弊社で開発した資産管理アプリ、プロフォーマーを使って、いろいろな代替案のシミュレーションをしてコンサルしたものだ。今回は首都圏の陶器屋さん。これは全くのコンサルで、その結果発生した不動産売買には関わっていないし、仲介手数料はもちろん、紹介料ももらってはいない。

 陶器は斜陽産業だ。大量生産で、伝統的な陶器作りは影をひそめるようになった。また、プラスチックやガラスが多く使われるようになった。以前は輸出需要もあったが、今は海外の安い偽物が増えてしまった。奥さんと息子さんの家族経営だったが、貯金を崩しながらの生活だった。その貯金ももう1000万しか残っていない。

 景気が良かったころに買った1棟マンションは、それなりの収益があったが、大規模修繕をしないと経営が傾くと管理会社に言われた。しかし、そんなことをしたら貯金がなくなり、生活ができなくなる。ご本人は、マンションを売るしかないと思って、弊社に相談したのだ。

 河野社長は、陶器作りを止めるべきだとすぐにピンときた。将来性の低い仕事を続けても、苦労するだけだ。儲からない陶器屋を続けて、儲かっているマンションを売ると言うのは不合理だ。敷地の広い工場を売ってもう1棟マンションを買えば、それで生活できるようになる。なんなら、自宅も売って、買ったマンションの一室に住めばよい。自宅も工場も、昔は田畑に囲まれていたが、今は開発が進んで、地価は高騰していた。

 しかし、あまり簡単に答を出すと、本人はなかなか受け入れないだろう。そこで、何回か彼と奥さんにお会いして、まず現状を理解していただいた。現状案とは、通常現状維持だが、彼の場合、その選択肢がないことは既に分かっていた。そこで、マンションを売って陶器作りを続けたらどうなるかをまず計算した。

 次に、そのほかできることすべてのシミュレーションをしてみた。陶器を止めて工場を売り、そのお金でマンションを購入する。自宅を売ってマンションを購入するなど。この時点では、いろいろなオプションを組み合わせるのではなく、一つ一つ別々に計算する。

 それには理由がある。複数のことを同時にした場合のシミュレーションをして、その結果が良かったとしても、その一つ一つの要素が得か損かの答は出ない。別々に計算してみるよりほかないのだ。その上で得になるものを組み合わせればよい。

 このやり方は必ずしもうまく行かないこともある。例えば、マンションの大規模修繕をする場合、その内容にはいくつか項目があるだろう。修理だけでなく、今ないものを新しく設置することもできる。これらは別々にやるより、まとめてやった方が安くつくことが多い。そのような場合には、いくつかの組み合わせを比較検討することになる。

 この陶器屋さんの場合、できることがいくつかあったので、全部調べてみた。そのほとんどは、現状よりは良い結果となった。仕事上、義理で買った取引先の株がかなりあったが、それも売ってマンション購入に充てたほうがよいという結果になった。陶器を止めるのならその株を持ち続ける義理もなかった。

 生命保険も解約も検討した。生命保険は、通常、投資としては最低だ。話し始めたらきりがないが、保険は金融ビッグバンで自由化されなかった。そんなことしたら利回りの低い日本の保険会社は軒並み潰れ、外資系のみになってしまう。そこで、外資系の参入を許す代わりに、日本式の保険を売ることを認めたのだ。ここで細かく書くスペースはないが、米国やオフショアの生命保険を買うことができる状況にある人は、絶対にそのチャンスを逃してはいけない。

 話を元に戻すが、この方はもうお年を召されていたので、解約は損になるという結果だった。というわけで、検討した案の中で、これだけがNGだとわかった。

 次に、良い結果になったものを全部実行した場合にどうなるかを計算した。汗水流して陶器作りの仕事を続けなくても、悠々自適の不労収入があることが明白になった。資産の大部分を不動産にすることによって、相続税対策にもなった。

 ご主人は、この結果をすぐに素直に受け入れることはできなかったようだ。親の代から続けてきた陶器屋を自分の代で止めることには抵抗があったのだろう。息子に継いでほしかったのだ。しかし、シミュレーションの結果を見て、奥さんの目の色が変わった。ご主人を説得したのは奥さんだった。今は、ご主人もその決断を喜んでおられる。

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陶器作りのおじさんがマンション経営業に変身:シミュレーションに基づく意思決定
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