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ハワイの住宅所有者は、資産価値の増加平均が全国一:ハワイ・ビジネス・マガジン

 ハワイ・ビジネス・マガジンによると、今年の第1四半期、住宅ローンのあるマイホーム・オーナーの資産価値の全国平均は、去年と比べて減少しました。しかし、ハワイは、所有者の平均資産価値が24,900ドル増加しました。今日は、主にこの記事から解説したいと思います。

 全国的に見て、住宅ローンを借りているマイホーム・オーナーは、今年の第1四半期、去年の同じ時期と比較して、久しぶりに自宅の資産価値が減少しました。家自体の価値が下がったというのではなく、家の持ち分が下がったということです。持ち分とは、家の価値からローン残高を引いたものです。この調査が住宅ローンを借りているオーナーのみを対象としているのは、そのためです。

 ローンがないオーナーと比べて何が違うかというと、家の価値が上がらなくても、ローンの支払いをしていれば、残高が減ります。その分、資産価値は増えるのですが、全国的にそれが下がったのです。つまり、ローン残高の減り方以上に、家の価値が下がり、1戸当たりの持ち分の平均は$274,070になりました。

 と言ってもピンとこないかもしれませんので、ハワイの平均的な例を見てみましょう。5年前に$100万の物件を買って、金利3%の30年ローンを借りたとします。頭金20%払ったとすると、ローンは$80万です。すると、毎月の支払いは$3,372.83になります。去年の残高は、ローンを借りてから4年後で、$730,079.99です。今年は5年後で、残高は$711,250.91です。この1年間で$730,079.99-$711,250.91=$18,829.08残高が減ったということです。

 米国全体の戸建ての中央値は$388,800ですので、残高の減り方もこの例の半分以下ということになりますが、それ以上に価値が下がったので、自己資産が減ったのです。しかし、ハワイ州は、全米で最も資産価値平均が上がりました。つまり、それだけ家の価値が持ちこたえたということです。

 アメリカの住宅ローンを持つ所有者の資産価値は、2022年の第1四半期からの1年間で、平均1.9%減少し、一戸当たり平均5,400ドルの減少となりました。資産価値の減少は、2012年以来、11年ぶりです。当時は、リーマンショックの影響で、1戸当たりの持ち分は$75,130しかありませんでした。その後、供給不足や金利の下落で住宅価格が急騰し、去年の第2四半期には$297,510まで上がっていたのです。

 CoreLogicによる新しい報告書によれば、全国の資産価値の減少総額は1,084億ドル(約15兆円)に相当します。しかし、残高が家の価値より多い住宅は、全国で120万戸、割合からすると2.1%で、安定しています。

 住宅資産が最も減ったのは西部でした。ワシントン州は平均で一戸当たり74,300ドル、カリフォルニアは59,600ドル、ユタは37,700ドルの減少となり、これはこれらの州の住宅価格の低下を反映しています。これらの額+ローン残高の減少分が、家の価値の減少分ですので、家の価値はこれ以上減っているということです。全国で13の州とワシントンD.C.で資産価値が減少しました。

 ハワイ州は最大の増加を示し、資産価値の増加は平均$24,900でした。これに続いてフロリダが$24,500、ロードアイランドが$23,700、ニュージャージーが$22,000の増加となりました。年頭の別の報告書によると、ハワイ州は、資産価値が家の価値に占める割合が全国10位で、資産価値が市場価値の半分以上という住宅が58%でした。つまり、例えば家の価値が$100万なら、持ち分が$50万以上の持ち主が58%いるということです。

ハワイ州の特性

 その一つの理由は、別荘を現金で買うオーナーが多いからです。ハワイの住宅市場がリーマンショックの影響をあまり受けなかった一つの理由がこれです。

 もう一つは、メインランドほど買替をしないことが理由であるかもしれません。島ですので、メインランドほど引っ越す理由がありません。転職するにしても、島を出ない限り、今住んでいる家から新しい職場に通える可能性が大です。買替の頻度が低いと、ローンの返済が進みますので、持ち分が増えるわけです。

 また、家がどんどん高騰していますので、買い換えが難しいことも一つの理由かもしれません。私が最後に売った自宅は、$50万で購入して16年後に$130万で売れました。2.6倍になったのです。

 それは文句ないのですが、私の収入は2.6倍にはなっていませんので、2.6倍のローンを借りることはできません。多額の頭金を払わない限り、$130万の家に買い換えることはできませんでした。子供たちが巣立ち、大きな家が必要なくなったことが買い換えの理由でしたので、これは問題にはなりませんでしたが、より大きな家に買い換える人にとっては大変です。

 買い換えが少なければ自己資産が増えるのは分かりますが、この記事は1年間でどれだけ増えたか、あるいは減ったか、その推移に関するものです。ですからこの記事とどういう関係があるのかと思うかもしれませんが、ローン残高は減り方がだんだんと加速するのです。先ほどの例では、30年ローンの4年目と5年目を比べましたが、14年目と15年目を比べてみましょう。

 14年後の残高は$513,811.66、15年後は$488,404.57です。その差は、$513,811.66-$488,404.57=$25,407.09。5年目に減ったローン残高は$18,829.08ですので、かなりの差があります。つまり、ハワイのマイホーム・オーナーの持ち分が増えた一つの理由は、比較的古いローンが多いせいかもしれません。

ハワイの住宅価格は下落していない

 しかし、最も大きな理由は、家の価値が他よりも上がっている、あるいは他ほど下がってないことです。2022年初頭から、住宅ローンの金利が上昇したことで、販売件数が大幅に減少しました。それにもかかわらず、資産価値の数字は、ハワイの住宅価格が持ちこたえていることを裏付けています。

 5月のオアフ島の一戸建て住宅の中央値は110万ドルでした。これは昨年の記録的な115万ドルに比べると3.9%下がりましたが、4月の中央価格999,995ドルと比べると10.9%の上昇です。実際、ホノルル不動産協会の統計によると、中央値は、2021年8月に初めて100万ドルを超えてから、それを下回ったのはわずか3回だけです。

 一戸建て住宅の販売も5月は4月と比べて26%増加しましたが、2022年5月と比べると23.8%減少しました。売り物件の在庫は昨年の夏や秋と比べて低い水準にとどまっていますが、2023年5月は、2021年と2022年上半期のどの月よりも高い水準でした。

 ホノルル不動産協会のフラン・ヴィラルミア・カハワイ会長は「販売件数が減少しているにもかかわらず、オアフ島の物件の中央値は過去1年間あまり変わっていません。在庫不足が需要を引き続き促進し、より多くのカマアイナ(「地元の人々」を意味するハワイ語)が住宅所有者になろうとしています」と述べています。

 2020年5月、パンデミックが始まった時点でのオアフ島の一戸建て住宅の中央値は、79.7万ドルでしたので、2023年5月の中央値はそれよりも39%高いということです。これを見ても、コロナの影響で需要と価格が上昇する前に自宅を所有していた人々の資産価値が、いかに増えたかが分かります。

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ハワイの住宅所有者は、資産価値の増加平均が全国一:住宅価格が落ちないハワイ
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