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ハワイの譲渡印税(Conveyance Tax)

 コンベヤーベルトと言う外来語がありますが、コンベアーとは、運搬機、運搬装置、輸送装置などと訳されます。オートメーション工場でよく使われますが、コンベヤーベルトに沿って作業員が並び、運ばれてくる未完成品に部品を取り付けていって、製品が完成します。

 Conveyanceと言う言葉は、それと関係があり、運搬とか輸送を意味しますが、不動産の世界では権利移譲と言う意味です。不動産の所有権が、売主から買主に移動すると言う意味なのです。その時に払うのが、この譲渡印税です。

買主の目的次第で売主が払う印税が異なる

 ハワイ州では、金額の計算の仕方が二種類あります。買主が購入する住宅を主たる住居として使う場合と、使わない場合で、後者の方が高く設定されています。おかしいのは、買主の目的が、売主によって支払われる印税を決めると言う点で、あまり理屈に合わない制度です。

この制度が悪用される可能性

 ある売主に、同じ額の二つのオファーがあったとしましょう。一つは、主たる住居として使う、もう一つは使わないとします。$1,000,000の物件だとすると、印税の差額は$1,000になります。他のすべての条件が同じだとすれば、売主は、主たる住居として使うつもりである買主のオファーを選ぶでしょう。

 貸家や別荘として使うのではなく、主たる住居として購入する人を優先するのだから、問題ないと思うかもしれません。しかし、この使用目的は、購入した翌日に変えることもできます。自分のオファーをより有利なものに見せかけるために、この制度が悪用される可能性があるのです。

場合によっては安く売った方が得

主たる住居として使う場合は、$100につき以下の印税を払います。

$0 > $600,000 = 10¢

$600,000 > $1,000,000 = 20¢

$1,000,000 > $2,000,000 = 30¢

$2,000,000 > $4,000,000 = 50¢

$4,000,000 > $6,000,000 = 70¢

$6,000,000 > $10,000,000 = 90¢

$10,000,000以上 = $1.00

主たる住居として使わない場合は、以下の通りです。

$0 > $600,000 = 15¢

$600,000 > $1,000,000 = 25¢

$1,000,000 > $2,000,000 = 40¢

$2,000,000 > $4,000,000 = 60¢

$4,000,000 > $6,000,000 = 85¢

$6,000,000 > $10,000,000 = $1.10

$10,000,000 > = $1.25

 主たる住居として購入する場合を例に考えてみましょう。通常の段階的税率の計算では、最初の$600,000までは0.1%、次の$600,000から$1,000,000まで、つまり$400,000には0.2%の税率をかけます。ですから、$1,000,000の物件を売った場合、以下のように計算するのではないかと思うかもしれません。

$600,000×0.1%+$400,000×0.2%=$600+$800=$1,400

 この場合、同じ物件を$999,999.99で売っても、納税額は変わりません。しかし、実際は、$1,000,000全部に0.3%の税率をかけることになり、納税額は$1,000,000×0.3%=$3,000となります。と言うことは、$999,999.99で売ると、$999,999.99×0.2%=$2,000で済むと言うことです。

 ですから、ちょうど$600,000、$1,000,000、$2,000,000、$4,000,000、$6,000,000、$10,000,000、あるいはこれらの額をほんの少し上回る額で売るより、1セントでもいいですからこれらを下回る額で売った方が得になると言うことです。これは、買主の使用目的に関わらず起きる現象です。

 一つ例を挙げてみましょう。$600,000のコンドを売る場合、譲渡印税は$1,200ですが、$599,999.99で売ると、半額の$600で済みます。大した違いではないと思うかもしれませんが、$10,000,000の豪邸なら、$10,000も違うのです。

 さらに、主たる住居として使わない場合は、差額がもっと広がります。$600,000のコンドの場合、譲渡印税は$1,600ですが、$599,999.99で売ると、$900で済みます。これらの額に近い価値の物件を売りに出す場合は、参考にしてください。

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