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ハワイのバケレン禁止法案:マウイの火事で現実味

 ハワイ州議会で、バケーションレンタルを全面的に廃止する法案が出されました。今までにもこのような試みはありましたが、マウイ島の火事で家を失った家族が多いという背景もあり、今回はちょっと雰囲気が違います。今日は、ホノルル・シティー・ビートの記事をもとに、この件を解説します。

 ハワイ大学経済調査団体(UHERO)が6月に出版したハワイ住宅ハンドブックによると、ハワイの住宅総数557,000戸のうち、5.5%に当たる3万戸がバケレンとして使われています。オアフ島では2%ですが、火事のあったマウイ島では15%を占めています。UHEROによると、バケレンがなくなれば、ホノルルの家賃は5%下がるという試算です。

 法案賛成派は、ホテル業界や観光客を近所から締め出したい市民団体ですが、今回は、火事の被害者を守るラハイナ・ストロングなどの団体も加わっています。反対派は、Airbnb、バケレン不動産オーナー、バケレンをサポートする関連事業主、不動産業者などです。

 法案を書いたのは、商工消費者保護委員会議長のジャレット・ケオホカロレ上院議員です。段階的にバケレンを廃止する権限を郡に与えようというものです。ハワイ州の主な郡は、ホノルル、ハワイ、マウイ、カウアイです。

 マウイでは、バケレンを一時的に禁止するよう訴えるデモがあり、注目を浴びました。グリーン知事も、バケレンのオーナーが火事で家を失った住民に貸さないのであれば、バケレンを禁止すると施政方針演説で述べたばかりです。ハワイ島市議会でも、バケレン禁止条例が検討されています。

 ホノルルでは、バケレン規制条例が裁判で一部覆され、年12回以内という条件で認められました。この挫折をどう挽回するか、思案していたところにこの州法案が提出されたのです。トミー・ウォーターズ市議会議長も、この法案には賛成です。ケオホカロレ議員は、市の条例を覆したワトソン地方裁判所判事の判決について、バケレンが商業用途ではなく、住宅用途であると認めたことがそもそもの間違いだと述べています。

 「30日(の賃貸)が商業用途でないなどというのは馬鹿げている」

 私はワトソン判事の肩を持つわけではありませんが、用途は必ずしも期間で決まるわけではありません。例えば、私の家族はコンドで水漏れの被害に遭い、バスルームの修繕で使えませんので、ホテルに泊まっています。保険会社が見つけてくれたホテルに泊まっていますが、バケレンに泊まってもよかったし、そのほうが安いでしょう。

 看護師不足のハワイには、トラベリング・ナースと呼ばれる臨時雇いの看護師が多く、その多くはメインランドから来ており、バケレンを利用しています。そのほかにも短期の住居が必要になることは多いでしょう。老人ホームなどは、「相当なサービス」を提供していますので商業用途とみなされますが、バケレンのサービスが「相当」であるかどうかは、議論の余地があるかもしれません。

 州法は、郡が土地利用を決める権限を与えていますが、オーナーがその物件を購入したときに合法だった用途を即時に変更することはできません。しかし、「適正な期間をかけて」特定の土地利用を廃止することは認めています。

 似たような法案が下院でも出ていますが、ハワイリアルター協会やラハイナのオーナー賃貸認識協会などが、合法のバケレンを止めさせるための法案だとして反対しています。バケレン運営の免許を州から取っている物件や、リゾート地域にあるものまで取り締まるものだというのです。

 Airbnbの弁護士デイビッド・ルイ氏は、元ハワイ州司法長官で、もちろんこの法案には反対です。この法案は、ハワイ州裁判所が明確に認めた既存の憲法上の権利を侵すものだという意見です。

 同じデイビッドでも、デイビッド・カリーズ元教授は、ハワイの土地規制に関する著書「パラダイスの規制」の著者で、「土地利用の判例と資料」という教科書を書いたほどの学者です。彼は、ルイ氏の意見には反対です。

 氏は、政府はゾーニングを変える権利があり、5年くらいかけるのが普通だと述べています。また、バケレンを禁止しても、自分で住んだり長期で貸したりすることはできるので、憲法上の権利侵害には当たらないというのです。部分的な侵害だと主張することはできるが、勝つのは難しいだろうとのことです。

 グリーン知事は、施政方針演説で、バケレン物件を売って購入者がバケレンをやめた場合はキャピタルゲイン税や譲渡印税を免除し、バケレンを長期賃貸にした場合は2年間家賃にかかる消費税を免除すると述べました。この法案が通った場合、それに従ってバケレンをやめたり売ったりしても、税免除という救済が伴うことになり、免税はただのインセンティブではないということになります。

 しかし、税免除は2年間のみ。ということは、この法案が通れば、5年待たないで2年以内にバケレンをやめるオーナーが激増することかもしれません。通るかどうかはまだわかりませんが、バケレンのオーナーは、裁判で争うよりも、節税できるうちに売ったほうが確実かもしれません。グリーン知事は、そこまで計算していたのかもしれませんね。

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