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ハワイで家を買える州民は5人に一人

 ハワイは、土地や建築費が全米一高いだけでなく、規制が厳しいことが住宅価格高騰の原因になっています。ハワイ大学のUHERO(University of Hawaii Economic Research Organization、ハワイ大学経済研究団体)の調査によると、中央値の戸建て住宅ローンを借りるだけの収入のある世帯は、たったの20%。金利が安かった2021年は、44%の世帯がローンを借りることができましたので、半分以下に減ったということです。

 そのため家が売れなくなり、2023年の売買件数は過去25年間で最低です。需要が減れば価格も下がるかと思いきや、持ち家のある人は、それを売って別の家を買おうと思っても、金利が高くて買えないので、売りたくありません。そのため供給も減って、価格は下がっていないのです。家賃も上がり続け、賃借人の58%が収入の3割以上を家賃に充てており、大きな負担になっています。そのため、ホームレスも過去10年で2倍に増えました。

 それに拍車をかけているのがバケレンです。バケレンがハワイの住宅に占める割合は全体の6%で、22年から23年にかけて9%、特にカウアイ島では22%も増えています。マウイ島では、火災が原因で西部はバケレンが380戸減りました。その上、バケレンを止めるオーナーに節税インセンティブを出したにもかかわらず、島全体では2%増えています。

 また、オアフ島では13%、マウイ島では32%のオーナーが州外の所有者で、特に火災があったラハイナでは半分以上です。マウイ島では、バケレン所有者の85%が州外のオーナーなのです。

 何よりも根本的な問題は規制です。特にマウイ島は建築許可が出るまで戸建てで平均315日、集合住宅では427日かかります。土地を買っても1年は何もすることができず、その間、ローンや固定資産税の支払いを続けなければなりません。

 2019年、ホノルルで、アパート建築の規制緩和のために第7法案と呼ばれる法案が可決されました。アフォーダブル(お手頃)家賃のアパート建築規制を5年間、大幅に緩和し、年間500戸開発を増やそうというものでした。

 2万平方フィート(1,858平米)以下のアパート用地に適用され、高さ制限も18メートルで、容積率が増えます。駐車場やエレベーターも必要ありません。アパートは、オーナーやその家族が最高20%まで占有することができますが、残りはAMI(Average Medium Income、所得中央値)以下の世帯に貸さなければなりません。

 さらに、AMIの80%以下の世帯に貸すと、10年間の固定資産税、建築許可、下水料金が無料になり、建築許可は90日以内に発行されます。ちなみに、4人家族の所得中央値は現在$131,000、約2千万円です。びっくりなさる方も多いと思いますが、日本はそれだけ賃金が上がってないということです。

 しかし、幾つかの問題がありました。まず、法案の解釈が明確ではなく、当初は利用することが困難でした。それが解決されたころにはパンデミックになり、それが収まったころには高金利と建築費の高騰で、ほとんど利用されていません。今年3月1日の時点でこれを活用して建てられたアパートは2棟で51戸、建築中が8棟で236戸、建築許可申請中のものが40棟です。そこで、施行期間を2030年まで延長することにしました。

 しかし、期間を延ばしただけでは、金利や建築費の問題解決にはなりません。そこで、ホノルル市は、2021年、AMI60%以下の賃借人に貸すユニットは$15,000、61~100%のユニットは$9,000の補助金を出すことにしました。そのために1千万ドル準備しましたが、現在これを利用した開発は1件のみで、$147,170(2300万円)の補助金を出しました。

 そこで、現在、補助金をそれぞれ$35,000と$25,000に引き上げるだけでなく、建築工事を始める前に出すという法案が検討されています。ずいぶんいい話だと思うかもしれませんが、ちょっと視野を広めて全体像を見てみましょう。

 第7法案とは関係のない大規模なアフォーダブル物件は、2023年に1700戸開発されています。そのために出した税控除や補助金の総額は2億8400万ドルで、1戸当たり$167,000、2600万円です。1戸当たり2600万もあれば、それだけで建てられるのではないかと思うかもしれませんが、そんなことはありません。

 今年3月のブログにも書きましたが、ハワイの分譲マンション価格の58%は規制によってかかる余分な費用です。$100万の新築コンドを購入する場合、$58万は規制のために余分にかかっているコストなのです。コンドとアパートでは建築費が違いますが、これを考えると、1戸当たり$35,000や$25,000という援助がそれほど大きな金額ではないということがお判りでしょう。

 とは言え、そのほかの控除を足すとかなりの額になります。また、これは現在の高金利を考慮した政策です。アパートは、必ずしも需要が高いときに建つとは限りません。金利が高いと収益が減るので、今のような時期にはあまり建てられません。この助成金によって現在の高金利でもある程度の収益を確保できるとするならば、将来金利が下がった時に借り換えをすれば、より高い収益率を達成できるでしょう。

 これらの助成金は1戸当たりの数です。現在建てられている物件も、1LDKやワンルームが多いです。第7法案の一つのメリットは、駐車場がなくてもよいという点ですが、家族世帯で駐車場がないというのは困ります。それが小さなユニットが多い一つの理由かもしれませんが、ワンルームでも3LDKでも援助金が同額であれば、当然ワンルームを選ぶでしょう。

 2万平方フィートというと、平均的な宅地4件分くらいですが、住宅用地にアパートを建てることはできません。これも数ある規制の一つです。更地、あるいはもう潰してもいいような建物が建っている小さなアパート用地というのはそう多くはありませんが、ご興味のある方はご検討ください。

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ハワイで家を買える州民は5人に一人
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