不動産投資では、「低金利なら、できるだけ多く借りたほうが得」と考えがちです。しかし、ローンは必ず利益を増やすわけではありません。重要なのは、物件の収益力がローンの負担を上回っているかです。
レバレッジ効果とは
レバレッジとは、借入を利用することで、自己資金に対する投資成果が変化することです。借入によって自己資金の収益率が上がる状態を正のレバレッジ、下がる状態を負のレバレッジといいます。その判定には、主に次の指標を使います。
- FCR:借入がないものとして見た物件の収益率
- ローン定数:借入額に対する年間返済額の割合
- CCR:自己資金に対する年間の税引前キャッシュフロー
CCRの基本式は次のとおりです。
CCR=BTCF÷自己資本
自己資金1,000万円に対して年間の税引前キャッシュフローが80万円なら、CCRは8%です。
FCRとローン定数を比較する
レバレッジの正負は、次のように判断できます。
FCR>ローン定数
ならば、物件の収益率が借入負担を上回るため、正のレバレッジです。反対に、
FCR<ローン定数
ならば、借入負担のほうが重く、負のレバレッジになります。構造を式で表すと、次のようになります。
CCR=FCR+(FCR−ローン定数)×(自己資金÷借入額)
借入は利益だけでなく、FCRとローン定数の差を増幅する仕組みなのです。
同じ物件でもローン条件で結果が変わる
取得総額1億円、NOI600万円、FCR6%の物件を考えます。7,000万円を借り、年間返済額が350万円なら、ローン定数は5%です。FCR6%がローン定数5%を上回るため、正のレバレッジとなり、CCRは約8.3%まで上昇します。
一方、年間返済額が490万円なら、ローン定数は7%です。FCR6%を上回るため負のレバレッジとなり、CCRは約3.7%まで低下します。つまり、同じ物件でも、金利や返済期間によって借入の効果は逆転します。
CCRだけでは安全性は分からない
CCRは自己資金を少なくすると高く見えやすいため、CCRだけで投資を判断するのは危険です。返済余裕は、DSCRで確認します。DSCRが低い物件は、少しの空室や修繕でも手残りが急減する可能性があります。正のレバレッジでも、借入額が過大なら安全な投資とはいえません。
結論
ローンを借りるべきかは、「金利が低いか」「多く借りられるか」だけでは決まりません。実務では、
- FCRで物件の収益力を見る
- ローン定数で借入負担を見る
- CCRで自己資金効率を見る
- BTCFとDSCRで手残りと安全性を見る
という順番で確認します。
ローンは、優れた物件をさらに強くする一方、弱い物件の問題も増幅します。
「借りるか、借りないか」ではなく、どの借入条件なら効率性と安全性を両立できるかを数字で判断することが重要です。