金融リテラシーの重要性
リテラシーの文字通りの意味は読み書きの能力ですが、この場合は、知識や能力という意味で使われています。2020年末の金融取引業規制機構(FINRA)の投資教育基金報告書によると、個人の金融リテラシーを見ると、その人が経済的に成功するかどうかを占えるそうです。
金融リテラシーがここまで重要になった時代は今までにないとか。その理由は、貯金、投資、老後の備えに関する責任が、会社から個人に移行したことです。日本には、退職金制度があり、それを当てにしている方も多いと思いますが、米国にはほとんどありません。以前は企業年金制度がありましたが、今はほぼ公務員のみです。労働人口が若かった時代には成り立っていた仕組みなのでしょうが、ベイビーブーマーが退職をしている今は無理です。
アメリカの確定拠出個人年金制度 401(k)
そこで作られた制度が、401(k)です。401(k)とは、民間営利企業の従業員を対象にした確定拠出個人年金制度で、仕組みとしては、会社の従業員が給与の一部をすぐに受け取らず拠出金として401(k)口座に預けておけるというもの。 要は、給与の受け取りを将来に遅らすことができるというものです。通常、企業が給料の数%まではマッチしてくれます。つまり、従業員が毎月$100拠出すると、会社も$100追加してくれるということです。
このようにして、将来の備えをするように奨励しているわけです。403(b)もほぼ同じで、教員や非課税団体の従業員のために作られたものです。拠出したお金を何に投資するかは本人次第ですので、投資の知識が必要になるわけですが、金額が少ないので、通常不動産投資には向いておらず、株や債券などの金融商品がその対象となります。
日本とアメリカの制度の違い
この日米の制度の違いについて考えてみましょう。日本は長い間、年金と退職金に頼ってきました。このような制度があるということはありがたいことですが、国や会社も無限にお金があるわけではありません。制度自体が危うくなる、あるいはそれだけでは足りないということになると、自分でどうにかしなければなりません。それが今の2千万問題でしょう。年金や退職金に頼れなくなるということは、随分前から分かっていたはずですが、その備えをする人と、そうでない人との間には、大きな差が生じます。
米国はもともと開拓精神の旺盛な人たちが集まっている国ですので、自分のことは自分ですると言う文化です。二国間の違いは、日曜大工をする人の数を比べただけでも一目瞭然です。日本人も、否が応でもそれを見習わなければならない時代になったということでしょうか。良い制度を持つことはもちろん重要ですが、人に頼らないということは、もっと重要なことでしょう。
アメリカの金融リテラシーテストに挑戦!
調査では、6年前に金融リテラシーのテストをして、テストを受けた人の追跡調査を6年間続けたわけですが、テストの質問は、全国金融能力調査で使われた質問を使いました。その例を四つ挙げてみましょう。皆さんはどの程度答えられるでしょうか。
普通預金に$100あるとして、金利が年2%なら、5年後にいくらになりますか。
- $102以上
- ちょうど$102
- $102以下
- 分かりません
では、普通預金口座の金利が年1%で、インフレが2%だとすると、1年後にこの口座にあるお金の購買力は今より高いでしょうか、今と同じでしょうか、それとも今より低いでしょうか。
- 高い
- 同じ
- 低い
- 分かりません
金利が上がると、債券価格は通常どうなりますか。上がりますか、下がりますか、同じですか。金利と債券価格は関係ないのでしょうか。
- 上がる
- 下がる
- 同じ
- 関係ない
- 分かりません
$1,000のローンを借りているとして、その金利が年20%の複利だとします。全く支払いをしなければ、借金が倍になるまで何年かかりますか。
- 2年未満
- 2~4年
- 5~9年
- 10年以上
- 分かりません
答は以下の通りです。
- A –$102以上
- C – 低い
- B – 下がる
- B – 2~4年
答を見ても分からない質問が一つでもある方は要注意です。ご質問のある方はお問合せください。