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ゾーニング緩和が米国住宅不足問題解決に最も効果的でお金のかからない方法ージロー(Zillow)ー

 

今日は、ジローのアンケートと複数の記事を参考にして、米国の深刻な住宅不足の解決にはゾーニングの緩和が有効であるという専門家の意見について解説します。

 

ゾーニングが住宅不足を解決

ジローは、毎四半期、約100人の不動産専門家と経済学者にアンケートをしていますが、米国の住宅不足を解決する最も生産的な方法はゾーニング(建築規制)を緩和することだと述べています。今のままだと、住宅価格が急上昇していますが、建築コストはそれ以上上がるというのです。建材ばかりではなく、不足している建築業労働者の人件費と土地の価格上昇が原因です。今年の新築住宅供給は2020年より2.5%減少し、2022年はさらに2%減少するという予想です。

新築不足(ジローより)

 

ジローの調査によると、コロナワクチンの普及に伴い、今は引越をしたくないが、将来はしても良いと考える世帯が1,400万世帯あるという結果が出ています。それに伴い、マイホームを売りに出す人も増えるだろうという予想ですが、それは売り物件の供給が増えると言うだけで、住宅不足の改善にはなりません。

住宅不足の解決案とは

 住宅不足の解決案を3つ効果的な順に挙げてくださいというアンケートに対し、86人の回答者の56%がゾーニング緩和を挙げており、最も効果的が3点、次が2点、3番目に効果的な1点とすると、111点です。2番目に多い「土地分譲手順の簡素化」は63点で、そのほぼ倍です。3番目が特定以下の規模の建築プロジェクトの規制緩和で61点、4番目がモジュラーハウスや3Dプリンティングなどの新技術導入で55点、5番目が建築労働者のトレーニングと教育で54点でした。

米国の住宅供給を増やすのに、もっとも実際的で効果的な策は何だと思いますか

ゾーニング制度が住宅供給に与える影響

 過去のジローの調査は、ゾーニングを緩和して、大都市圏の建物の密度を少し上げるだけで、住宅が最高330万戸増えるだろうと予想しています。これは、リーマンショック後に減った新築戸数の累積の約半分です。マイホームのオーナーの57%は、自宅の敷地にもう1軒建てる、建増しして二戸一にするなどの自由を与えるべきだという意見で、30%はそうする意思があると答えています。

この件については、以前のブログにも書きましたが、今回の調査結果を見ると、少し様子が変わってきたようです。建築様式が統一された家が建ち並んでいる米国の閑静な住宅街の写真などを見ることがよくあると思いますが、団地でなくてもそのような住宅街ができる理由の一つがゾーニングです。広い敷地を見て、こんなに広いのなら2つに分けてもう1戸建てればよいと思う日本人の方は多いと思いますが、それができないのはゾーニングがあるからなのです。

例えば、オアフ島の最高級住宅地のカハラを例に説明しましょう。ほとんどの家の敷地が普通の家の倍くらいありますが、それはゾーニングで決められているからなのです。勝手に半分にしてもう1戸建てることはできません。そんなことをすると、地域の景観が失われ、不動産価格が下がります。また、アパートを住宅のゾーニングに建てることはできません。このようにして、高所得者と低所得者の住む地域が分けられてしまうのです。

中流住宅が足りない

 このゾーニングはすべての場所にあるわけではなく、ミネアポリスのように最近大幅に緩和されたところもあれば、ヒューストンなどのように元々ないところもあります。しかし、これによって近隣の住宅価値が守られており、低所得者を締め出すことによって地域の安全を確保できているわけですので、高級住宅地のオーナーは、そう簡単には賛成しないでしょう。

しかし、中流階級は違います。今までは、高所得者と同じように、中流階級の住宅地の景観、安全、価値を守りたいという気持ちの方が強かったかもしれませんが、ジローの調査を見ると、今は、自宅を増築して、賃貸してローンの支払いの足しにしたい、あるいは親や子の家族と同居したいと考える人の方が増えているのではないでしょうか。

ホームオーナーは足りない中流住宅を望んでおり、大アパート開発には懸念(ジロー)

注目されるモジュラーハウスのADU

各州のADU(付帯住居)の建築規制が緩和され、モジュラーハウスのADU建築が注目を浴びるようになりました。小さな建物ですので、工場で作った家を輸送して設置すればよいだけです。多世代住宅として使う人もいれば、賃貸する人もいるでしょう。

ゾーニングの緩和を期待

ゾーニングの緩和は、お金をかけずに住宅不足を解決する最も効率的な方法です。密度の高い住宅の建築は、新築が減る理由の一つである土地の価格の上昇を緩和します。既に存在する戸建の増築は、土地代がかかりませんので、さらに安くできます。バイデン政権も検討中ですが、早く広まることを期待しています。

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 今日は、ジローのアンケートに基づいて、米国の深刻な住宅不足の解決に、ゾーニングの緩和が有効であるという専門家の意見について解説しました。このチャンネルではハワイの物件情報や、アメリカ・ハワイの不動産マーケットの情報をお届けしています。アメリカの不動産に興味のある方、ハワイで不動産を持ちたい方は是非チャンネル登録をお願いします。

ゾーニング緩和が米国住宅不足問題解決に最も効果的でお金のかからない方法
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