前回のブログでは、ホノルル市議の第41法案が通った場合、ノースショアやワイキキなどのバケーション・レンタル物件にどのような影響があるかを解説しました。今日は、30年以上も前、マカハ(オアフ島西部)の一部のゾーニングがリゾートに変更されたおかげで、短期バケーション・レンタルが可能な団地が建てられていることについて解説します。
参考記事のタイトルとURLを入力してください新築団地で短期バケーションレンタルが出来る物件
問題の団地は、コテッジズ・アット・マウナオルと呼ばれ、コテッジと言うのは、通常田舎の小さな家と言う言葉ですが、この団地の築面積は120~180平米ですので、ごく普通の団地です。田舎ですし、13万平米近い土地に118戸建つ予定ですので、敷地はかなり広めで、フィットネスセンターやプールなどもあります。短期バケーション・レンタルは近所迷惑であるばかりか、オアフの住宅難に拍車をかけているという理由で、それをほぼ禁止する第41法案が審議中の今、なぜこの新築団地でそれが許されているのでしょうか。
ホームレスのコミュニティーが反対する開発
何もないところにどうやってコミュニティーを築くか:あるホームレスリーダーの努力
すぐ近くのプウホヌア・オ・ワイアナエと呼ばれるホームレスのコミュニティーは、ホームレスが、貧しいながら、ハワイの昔のままのような生活をしていることで有名です。その女性リーダーであるトゥウィンクル・ボージさんも、この団地に反対している人の一人です。建てるなと言うことではなく、短期バケーション・レンタルとして使うと、地元の人が住む家がその分減り、最終的にはホームレスが増えるという理由です。ちなみに、私の息子もホームレスシェルターで働いていますし、私も関わっていますので、この言い分はよく理解できます。
1989年のゾーニング変更のいきさつ
しかし、この団地で短期バケーション・レンタルができる理由は、1989年の市議会によるゾーニング変更なのです。当時の所有者はホンフェドバンクと言う銀行で、ここにコンフェレンス設備のある300室のホテルを建てることができるようになることを望んでいました。ドナ・メルカド・キム州議会上院議員は、当時、ホノルル市議のゾーニング委員長で、金融に関する経験が皆無であったにもかかわらず、87年に、取締役としてホンフェドに雇われたのです。ゾーニング変更に関して利益相反の可能性があることを開示しましたが、当時の市議会議長は、開示すれば忌避する必要はないという考え方で、この地のゾーニングをリゾート地域に変更する決議への投票を許しました。
ジョン・デソト議員も、ゾーニング変更の1年前に、この敷地から200メートルもないところにある物件を購入しました。アドバタイザー紙によると、88年のこの物件の価値は、$109,869でしたが、ゾーニング変更が認められた翌年には$160,700になり、その翌年には価値がさらに$25,000高騰したそうです。購入理由については、小さいころからこの近辺でよく遊んでいたので、いつか買いたいと思っていたというものです。デソト氏も、利益相反の可能性を開示して、投票を許されましたが、結局、満場一致でリゾートへの変更が可決されましたので、二人が投票していなかったとしても、結果は同じだったでしょう。
当時日本の会社が購入したが、リゾート開発は実現しなかった
4か月後、アイスターという日本の会社がこの土地を$1,325万で購入しました。
当時、この近くにマカハ・バレー・リゾート(現マカハ・バレー・カントリークラブ)があり、私も家族と泊まったことがあります。子供たちが子猫を見つけてきて部屋に持って帰り、数時間ですっかりなついて私の首にまたがって一晩寝てしまいました。子供たちがどうしても飼いたいというので連れて帰った想い出がありますが、正直言うと、あまりパッとしないリゾートでした。その後、タイガー・ウッドがゴルフコースを設計するということが話題になったりもしましたが、破産したのです。市議は、ここがうまく行ってなかったので、もう一つリゾートを作って、地域の活性化を図ろうとしたのでしょう。しかし、リゾート開発は実現しませんでした。
30年前に決議されたゾーニング変更は今でも有効か
それから30年以上経ってやっと開発をしたスタンフォード・カー氏は、「リゾートを開発することもできたが、住宅の方が必要だと思ったのでそうした。購入者が短期バケーション・レンタルをするのは彼らの権利で、それを取ることは違憲であり、そんなことをしたら裁判沙汰になるだろう」と言うのです。都市計画建築許可局長のディーン・ウチダ氏も同意見です。
しかし、30年以上も前に賛成票を入れたキム議員は、市は「(ゾーニングは)使わなければなくなる」という法律を1995年に決議しているというのです。彼女は現在、住宅地での短期バケーション・レンタルに反対していますが、リゾート開発の話がなくなったので、住宅地域にすることはできたはずだし、今こそこの法律を施行するべきだという意見です。
投資家が殺到する可能性も
カー氏は、団地で短期バケーション・レンタルが横行することはないだろうと述べています。記事にも、一つの例があるだけで、Airb&Bには一泊$568と宣伝してあります。しかし、今のところ完成しているのは20戸ほどですので、ここでバケーション・レンタルができると聞いて、投資家が殺到する可能性がないとは言えません。また、カー氏自身、短期バケーション・レンタルが可能であることが、高く売れる一つで理由であることを認めています。ちなみに、ジローで見ると、3LKDは$70万から、4LDKは$90万からと出ています。
https://www.zillow.com/community/cottages-at-mauna-olu/28773855_plid/
コテッジズ・アット・マウナオルのサイトでは、短期バケーション・レンタル可能とは謳っていませんが、仲介を任されたトラヴィス・パルマー氏は、そう宣伝しています。もちろんこれは嘘ではありません。しかし、都市計画建築許可局長のディーン・ウチダ氏が、ここでの短期バケーション・レンタルを容認しているとは言え、ブランジアーディ新市長が、住宅地での短期バケーション・レンタルに反対していますので、それが理由で購入を検討なさっている方は、将来ゾーニング変更がある可能性にご注意ください。
スター・アドバタイザー紙に載った、コテッジズ・アット・マウナオルの宣伝
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