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カリフォルニアでADU(付帯家屋)を売れるようになった

 日本の方をアメリカの物件ツアーにお連れするときによく聞くのが、こんなに敷地が広いのならなぜ二つに分けてもう一戸建てないのか、と言うコメントです。ほとんどの場合、都市計画の建築規制(ゾーニング)で、それはできません。米国の静観とした住宅地が、ごちゃごちゃした日本と違うのは、建築規制が厳しいからです。しかし、ゾーニングが米国の慢性的な住宅不足の原因にもなっており、それを撤廃する地方自治体もあります。

 今日は、特に住宅不足が深刻なカリフォルニア州での取り組みをご紹介します。カリフォルニア州は、住宅不足の解決案として、2017年、ADU(付帯家屋)の緩和したのですが、今回、ADUを区分所有にして売却することを可能にしたのです。これは、オレゴン州、テキサス州、シアトル市などでは、既に可能です。

あらかじめ許可されている28のADUの一つ

 ちなみに、2021年、ロサンジェルスは、何週間もかかる建築許可を最短1日でできるように、28のあらかじめ許可されているADUの設計図を発表し、建築を促しています。また、今年は、1LDK、455平方フィート(42平米)の無料の設計図も提供し、$3~5万の節約になるそうです。

設計図が無料のADU

 話を元に戻しますが、戸建てを区分所有にすると言うのはピンとこないかもしれません。CPR(Condominium Property Regime)と呼ばれ、共同所有法と言う意味です。分譲マンションと同じように、母屋とADUを区分所有にするのです。区分所有ですので、内規などの書類をそろえる必要がありますが、必ずしも組合のように頻繁に理事会を開いたり、共益費を取ったりする必要はありません。

 不動産に関する法律は、市町村が決めることが多く、この法律は州全体に適用されるわけではありません。州内の各市町村で、これを適用するかどうかを決めることになります。

 ADUで、介護が必要になった親と一緒に住むことや、賃貸して収入を得ることなどが可能になりました。これが、住宅難の解決につながることを望んでいたわけですが、ハワイ州でも同様な法律ができたものの、効果はあまりありませんでした。しかし、シアトルがADU規制を緩和した2019年は、前年に比べて建築許可が4倍に増えたそうです。ハワイは、面積などの規制が多すぎるのかもしれません。

 ADUをCPRにして売ることができると、自宅と言う資産はあっても、それを現金化できなくて困っている世帯の救済案となります。自宅の一部を売ることが可能になったのです。子供たちが巣立って大きな家が必要なくなった夫婦は、ADUに住んで母屋を売ることも可能です。特に今は、金利が高く、広い自宅を高く売っても、買い換える小さな住宅の支払いの方が高くなる可能性さえあります。

 ADUは面積や寝室の数に制限があることが多く、ハワイでは800平方フィート(74平米)、2LDKまでです。昔はこの程度の家も多かったですが、今は100平米以下の物件は1割もありません。小規模で、しかも土地が狭い物件を可能にすることによって、分譲マンション並みの値段で戸建てを購入することが可能になると言うことです。

 数年前まで、人口当たりのホームレスの数はハワイが全米一でした。カリフォルニア州が抜いてくれたのですが、ハワイももっと住宅規制を緩和しないと、また不名誉な地位に逆戻りするかもしれません。

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