ホノルルからメインランドへの移住が増加
 米国には、住民登録と言うものはありません。ほとんどの国はないと思います。日本なら、市役所や区役所に行くと、その日のその市や区の人口が正確にわかりますが、米国は、10年に一度の国勢調査まで、正確な数は分かりません。前回の調査は2010年で、来年また行われるわけですが、それまで全く分からないと言うのも困るので、毎年推定数が発表されます。
オアフ島は、その全部がホノルル郡ホノルル市です。アメリカには州の下に郡があり、その中に市がありますが、オアフ島の場合、島全体がホノルル郡で、ホノルル郡にはホノルル市しかありません。そのホノルル市からほかの州や郡に引っ越して出ていく人の数は、実は全国で一番多いのです。2010年から18年までの、ホノルルからほかの州に引っ越した人-ほかの州からハワイ州へ引っ越した人の数は、61,700人にも上ります。
これは、ホノルルがいかに経済的に生活しにくいところであるかを物語っています。「パラダイスに住む代価」と言われることがよくありますが、人気がある分、高くても住みたいという人は多いわけで、収入の少ない人にとっては大変です。ハワイは長い間失業率が全国で最も低いレベルだったのですが、最近はメインランドの景気も大分よくなってきたので、カリフォルニアやネバダ州に引っ越す人が増えてきました。
|   | 主産-死亡 | 海外移住 | 国内移住 | 
| オアフ島 | 46,553 | 42,604 | -61,702 | 
| ハワイ島 | 5,993 | 3,961 | 6,031 | 
| マウイ島 | 6,606 | 5,992 | -152 | 
| カウアイ島 | 2,379 | 2,493 | 22 | 
海外からホノルルへの移住の状況
だからと言って、必ずしも人口が減っているわけではありません。出産による増加だけでなく、海外からホノルルに引っ越してくる人も多く、2010年から18年の移住者の数は42,604人もいます。これは、海外から移住してくる人の数から、海外へ移住する人の数を引いたものです。これに出生数-死亡者数の46,553人を足すと、過去8年間にホノルルの人口は差し引き26,874人増えています。以下の表をご覧ください。4島の合計がハワイ州全体の数にならないのは、他にも人口の少ない島がいくつかあるからです。
|   | 2010年4月1日 | 2018年7月1日 | 人口増加 | 増加の% | 
| オアフ島 | 953,206 | 980,080 | 26,874 | 2.8% | 
| ハワイ島 | 185,076 | 200,983 | 15,907 | 8.6% | 
| マウイ島 | 154,840 | 167,207 | 12,367 | 8.0% | 
| カウアイ島 | 67,095 | 72,133 | 5,038 | 7.5% | 
| ハワイ州全体 | 1,360,307 | 1,420,491 | 60,184 | 4.4% | 
それでも減少するハワイの人口
しかし、過去2年のみを見ると、ホノルルもハワイ州も人口は減っています。メインランドに引っ越す人が多いだけでなく、引越し先が戦場と言う人も多いのです。ハワイで2番目に大きな産業は軍事ですが、2014年に約5万人だった軍人が、2018年には約43,000に減っています。これは基盤産業なので、人口に与える影響は大きいと思うかもしれませんが、家族が一緒に引っ越さないことが多いので、それほどではないかもしれません。
観光客が増えても人口は減る
 と言うわけで、2年前、ホノルルの人口はもう少しで百万人に達するところだったのですが、98万まで後退しました。去年の観光客は過去最大でしたが、将来、増え幅は減ると予想されています。観光地や別荘地として人気が上がると物価、特に不動産が高くなり、観光客が増えても人口は減るという逆効果になっているようです。それによって失業率がさらに減り、賃金が物価に追いつくのを待たなければなりません。一般庶民が住める住宅の供給も必要になるでしょう。