ホノルルの固定資産税率は、米国の州都所在地の中で最低です。評価額が高いので、税金自体が最低という訳ではありませんが、額も平均よりは下です。これは、州外や国外の富裕層が別荘を購入する一つの誘因になっています。
ウォーターズ市議会議長の推定によると、ホノルルには34,000戸の空き家があり、そのほとんどは別荘です。ちなみに、ホノルルの住宅総数は278,000戸です。私の故郷の愛媛県は、人口減少で13万戸近くの空き家があり、空き家率は18.2%です。ホノルルは、住宅難であるにもかかわらず、空き家率が12.2%と言う計算になります。
別荘の固定資産税を上げて、別荘として使われなくなれば、ハワイ住民がそこに住むようになり、住宅難が緩和されます。また、その税収入によってアフォーダブル(お手頃価格)住宅を開発することもできます。
これは、すでにバンクーバーなどで試されており、ある程度の成功を収めています。ホノルルでも2018年と2022年に法案が出ましたが、可決されませんでした。今年も、広く支持を得て、2022年の法案を基にした案が提出されましたが、2024年8月21日、またもや保留となりました。
法案は、年間6か月以上空き家になっている住宅には、初年度は評価額の1%、2年目に2%、3年目からは3%余分に固定資産税を課税するというものです。バケレンやオハナ・ユニットは除外されます。オハナ・ユニットとは、今までその定義に変遷がありましたが、現在の定義では、離れ、あるいは母屋に付帯する住居で、家族親戚しか住めないユニットです。日本の多世代住宅のようなものです。
しかし、6か月以上使われているかどうかをどう判断するのかが困難であるということが、またもやこの法案が失速する一つの原因となりました。公共料金の請求書、運転免許証、リース契約書などで6か月以上居住していることを証明するのは、簡単ではありません。
また、ノースショアなど、バケレンが多い地域では、使用日数の計算の仕方に問題があるという指摘があります。ワイキキなど、限られたリゾート・ゾーニング以外の地域では、バケレンでも最低30日貸さなければなりません。
しかし、実際に30日全て泊まるお客さんはほとんどいません。詳しく報道されていないのでよくわかりませんが、年間12組の観光客に貸しても、実際の使用日数が6か月に満たない可能性があることが問題になっているのかもしれません。
また、その税収入を住宅政策のみに使うのではなく、一般会計に入れるべきだという意見もあります。住宅・持続可能性・保健委員長のマット・ウェイヤー市議は、今期の成立は無理と判断し、無期保留としましたが、審議は、早ければ1-2か月後に再開されるかもしれません。
将来、この法案が可決された場合、ハワイに別荘を持っていらっしゃる方は、どのように対応すればよいのでしょうか。最も簡単な方法は、自分が使っていないときにバケレンとして貸すことです。通常、別荘は、留守中、誰かに管理費を払って管理してもらいます。バケレンとして運用すれば、収入を得ながら管理してもらうことができるのです。しかし、コンドの場合は3ヵ月あるいは6ヵ月以上貸さなければいけないところが多いので、難しいでしょう。
もう一つは、複数のオーナーで共有して、6か月以上使用することです。そんなことは面倒だと思われる方も多いと思われますが、それを専門にしている仲介業者もあります。タイムシェアの簡易版のようなものだと思えばいいでしょう。これは、専門の業者でなければできないわけではありませんので、ご興味のある方は、お問い合わせください。
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