割引キャッシュフロー攻略②キャッシュ・オン・キャッシュ配当率

CCR(キャッシュ・オン・キャッシュ配当率)

 CCRCash on Cash Rate of Return)は、ROEReturn on Equity)自己資本配当率などとも呼ばれます。物件全体の収益率ではなく、自己資本の部分の収益率です。計算式はキャップレートとよく似ています。

【R=自己資本部分の収益率】

【INOIではなくキャッシュフロー】
キャッシュフローは、NOI(営業純利益)からADS年間負債支払額)を引いた、手元に残る現金です。
【V=物件の価値ではなく自己資本】

 

税引き前で計算する場合と、後の場合がありますが、ここでは前にします。
これら三つの数の関係は以下の通りです。

RCCR)=I(キャッシュフロー)÷V(自己資本)

IV×R

VI÷R

キャップレートについてはこちらを参考にして下さい。
割引キャッシュフロー(DCF)攻略①キャップレート

計算してみましょう

ここで例を挙げてみましょう。

10億円の物件でキャップレートが5%、銀行金利が3%30年ローンを借りたとします。この場合のCCRはいくらになるでしょうか。

NOI10億×0.055千万円です。

これからローンのADS年間負債支払額)を引いてキャッシュフローを出します。LTVLoan to Value)は、借入金割合とかローン資産価値比率とか訳されますが、いわゆる掛目のことです。これが80%だとすると、ローンの額は、8億円で、毎月の支払いは3,372,832円になり、ADSはそれに12を掛けた40,473,984円になります。

NOI5千万からこのローンの支払額(ADS)を引くと、キャッシュフローは9,526,016円です。これを自己資本の2億円で割ると、0.0476となり、CCR4.76%です。この場合、全部現金で買った場合の収益率(キャップレート)は5%ですが、このローンを借りて買った場合の自己資本の収益率は4.76%ということになりました。

9,526,016(キャッシュフロー)÷200,000,000(自己資本)=0.0476、つまり4.76%

CCRは借入条件で変わる

ここで大切なことは、キャップレートはだれがどのように購入しても5%ですが、CCRはローンの条件によって変わるということです。

例えば、ローンが35年なら、毎月の支払いは、3,078,802円となり、ADS36,945,624円です。するとキャッシュフローは13,054,376円となり、CCR6.53%になります。30年ローンを35年に変えただけで、CCRの方がキャップレートよりも高くなりました。ということは、CCRはローンの条件次第でよくなったり悪くなったりしますので、物件自体の収益率を表すものではなく、自分の投資額の収益率を表します。つまり、物件自体の良し悪しの判断は、CCRではなくキャップレートを見るべきだということです。

2年目以降の算出方法とは?

 もう一つ大切なことは、キャップレートにしてもCCRにしても、通常購入1年目の数値を使って計算します。2年目以降の計算をする場合、キャップレートは、そのときの価値(Vに基づいて計算するべきです。CCRも同じで、だんだんとローンの残高が減り、あるいは物件の価値が変わって自己資産が変われば、それに基づいて計算するべきです。30年前に安く買ってローンの支払いが終わった物件のCCRを、当時の頭金を使って計算しても意味がありません。

ROIという言葉にはご注意

 ここでもう一つよく使われる言葉をご紹介しましょう。ROIReturn on Investment)投資収益率です。この言葉は、キャップレートの同義語として使われることもあれば、CCRと同じ意味で使われることもありますので、私の意見では、避けたほうが良いと思います。

というのは、そのほかの言葉と異なり、これは英語の日常会話で不通に使われる言葉であり、多くの場合、話し手はその正確な意味など考えていません。例えば、「恵まれない子供に教育という投資をすれば、高い投資収益(Return on Investment)を期待することができる」などという表現をします。

ROIに限りませんが、使われている言葉の意味が明確でない場合は、どういう意味で使っているのか、本人に確認してください。