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割引キャッシュフロー攻略⑦複利と割引

参考 DCF攻略割引キャッシュフロー①〜⑥はこちら

複利と割引計算

アインシュタインは、複利は宇宙で最も大きなパワーであると言ったそうですが、貨幣の時間的価値を理解し、複数年にわたる収益を計算するためには、複利とその逆の割引計算が必要です。

複利計算 FV=PV×(1+i)n

割引計算 PV=FV÷(1+i)n

PVPresent Value)とは現在価値で、その名の通り、現在の価値です。FVFuture Value)は将来価値です。Iinterestは金利ですが、割り引くときは金利とは言わず、割引率と呼びます。nは計算期数です。計算期は、通常1年か1月ですので、5年間の計算をする場合、計算期が1年であればnは51カ月であれは5×1260(カ月)になります。

それでは、簡単な計算の例を見てみましょう。暗算でもできるように、金利を10%、計算期は年1回で、1年にします。今の1億円が、1年後にいくらになるか計算してみましょう。式に当てはめると1億×(10.1)11.1です。逆に、割引の場合は、1.1億÷(10.1)11です。2年だと、複利は1億×(10.1)21.21億で、割引は、1.21億÷(10.1)21億です。

1年でいくら上がり下がりしたかという場合

ここで、よく間違えることを一つ指摘しておきます。例えば、日経が、去年は10%上がったが、今年は10%下がったなどという場合、計算式はこうなります。仮に去年の年頭の日経が10,000円だとすると、

10,000×(10.1)11,000(去年の年末、今年の年頭の日経平均)

11,000×(10.1)9,900今年の年末の日経平均)

1年でいくら上がり下がりしたかの計算には、わざわざ1乗を入れる必要はありません。問題は、今年の年末の日経平均が、元の1円ではなく、9,900円になったことです。よく見ると、上がる場合の計算方法は複利と同じですが、下がる場合は割引とは異なります。このような計算は、毎年、前年度に比べてどれだけ上がったか下がったかを計算するものですので、増える場合の計算は複利計算と同じですが、減る場合は割引とは違って掛算になりますので気を付けてください。割引の場合は割算、と覚えるのがいいでしょう。

10%上がった翌年に10%下がる場合

ちょっと脱線しますが、10%上がった翌年に10%下がると、同じになると思うかもしれませんが、実際は元の額より少なくなります。これは、先に10%下がって、翌年10%上がった場合でも同じです。その理由は、上がる前と後の数値を比べると、前の数値の方が低いからです。ですから、上がる場合の10%というのは、低い方の額の10%す。逆に、下がる前と後の数値を比べると、前の数値の方が高いのが当然です。ということは、下がる場合は、必ず大きい方の数値の10%ということになります。上がるときは低い額の10%、下がるときは大きい額の10%ですので、同じ10%上がり下がりした場合は、元の額より低くなるわけです。予想変動率の高い投資が好まれない一つの理由はこれで、例えばある年に50%下がると、翌年は100%上がらなければ元に戻りません。