「不動産投資・賃貸経営の成功戦略」書評

 

 先々週は上海、先週は台北とソウルで、CCIM(全米認定不動産投資顧問協会)のコンフェレンスに参加してきました。その間、ご一緒した日本支部の豊田剛士支部長とお話しする機会が多くあり、彼の新書「不動産投資・賃貸経営の成功戦略」の書評を頼まれましたので、ここでも紹介させていただきたいと思います。


韓国のCCIM授与式


台湾支部コンフェレンスにて:左からキム韓国支部長、フアン台湾支部長、クレーン会長、リー上海校長、豊田日本支部長

 

著者の豊田さんの最初の仕事は、有名な不動産フランチャイズ店の営業だったそうです。彼は、住宅専門であったにもかかわらず、事業用不動産を取り扱っていた営業マンを抜いて、神奈川県でフランチャイズ一番の成績を収めたそうです。と聞くと、バリバリの圧倒されそうなセールスマンを想像するかもしれません。しかし、実際にお会いすると、非常に物静かな方で、彼の人柄がこの成績につながったのだということがよく分かると思います。

本書も、豊田さんらしい、とても優しくて分かりやすい本です。著者が「はじめに」で述べているように、この本を読めば不動産投資がすべてわかるというものではありません。200ページに満たない初心者向けの本書を読んだだけで、全てがわかるなどということはあり得ません。本書の良いところは、これを読むことによって、不動産だけでなく、相続も含めた資産形成の全体像が見えてくるということです。全体が見えると、自分にどのような知識が欠けているかを知ることもでき、そのためにどのような勉強をしなければならないか、あるいはどのような専門家の知識やスキルを借りなければならないかが見えてきます。

英語に、”knowing just enough to be dangerous”という表現があります。日本語には、ぴったりする表現がありませんが、強いて訳すと、「ちょうど危なくなる程度の知識」という意味で、中途半端な知識の危険性を表しています。不動産投資について何も知らない人は、投資しようとは思わないでしょう。しかし、ちょっとかじると、分かったような気持ちになって手を出してしまい、大きな失敗をするかもしれません。

本書は非常にわかりやすく書いてありますが、理解できない部分もあるでしょう。それでいいのです。だからこそ、豊田さんのような信頼できる方にちゃんと相談して、健全な投資をしてください。これで分かったなどと思ったら、大変な失敗を犯すかもしれません。不動産は、私たち凡人が持っている資産の中で、最も大きな部分を占めていることが多いでしょう。そんな大きな資産が、素人に簡単に売り買いできるわけはないのです。

褒めるだけでは書評にはなりませんので、一つ辛口コメント。豊田さんは、とても優しい方なので、悪質な業者の手口の指摘がちょっと足りないような気がします。そういうことを書き始めると、きりがないので、あえて書かなかったのかもしれませんが、もう少しそのような実例を書いていただければ、正しい知識や豊田さんのような誠実なコンサルの必要性を、実感できるのではないかと思いました。

著者は、不動産投資の類型を、コア、バリューアッド、オポチュニティーの3種類に分けています。人口が減少する日本では、オポチュニティー(騰貴)の不動産投資は望めません。バリューアッドの不動産投資は、それなりのリスクが伴いますし、知識と経験が必要です。何と言っても収益重視のコアが不動産投資の中核で、英語のcoreは、まさに中核という意味なのです。

米国の中流階級が、老後の生活のためにどのように備えるか、基本的な考え方をご紹介しましょう。いくら資産があれば安心して退職できるかは、人によって異なりますが、百万ドル、約1億円が一つの目安です。この額を見ただけで、貯金をしていただけでは間に合わないことがお分かりだと思いますが、肝心なのはそこから先の話です。毎年生活費に500万円使っていくとしましょう。安全な投資なら、3くらいで運用できるかもしれませんが、生活費も3くらいのインフレで上がっていきます。病気など、余分な費用が掛かることもありますので、20年ほどでなくなるでしょう。日本ほど平均寿命が長くない米国でも、夫婦どちらかが90まで生きる確率は半分以上あるそうですので、65歳で退職すれば、途中でお金が無くなってしまうということです。

そこで、不動産でなくても構いませんが、この1億円で、コア型の投資をするとします。米国は、日本よりインフレもあり、期待利回りも高いので、8%の収益があるとします。5%にあたる500万円を毎年生活費に充てると、元金が3%増え、翌年に同じ5%を使っても、初年度より3%高い515万円使えます。こうして、半永久的に年500万円+インフレ3%の金額を使い続けることができ、また財産を子供に残すことができるのです。日本では8%は難しいかもしれませんが、インフレが低い分、収益率も低くて構いません。

貯金の時代は終わりました。長寿大国日本は、1億総投資家の時代にならなければなりません。本書は、そのために最初に読む本として、最適ではないかと思います。

 

興味のある方は是非、ご購入下さい。アマゾンのリンクを貼り付けておきます。

「不動産投資・賃貸経営の成功戦略」
豊田剛士 著
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