アメリカにないもの二つ:賃貸仲介業の消滅

日本企業の転勤制度は不動産業者を潤す?

日本は、年度末の忙しい季節に突入しました。皆さんお忙しいと思いますが、特に不動産管理や賃貸仲介をしておられる方にとっては、大変な時期だと思います。米国の年度末は夏ですが、日本のような忙しさはありません。その時期に引っ越すのは、学生くらいで、しかも夏休みは長いし、大学によっては8月の初めに始まるところもあれば、9月の終わりに始まるところもあるので、みんなが一斉に引っ越すわけではありません。

そもそも、米国には、軍以外に転勤という制度がないのです。日本はなぜあるのか聞いたら、同じ人が長い間同じ仕事をしていると、不正が発生しやすいからだという説明を受けたことがありますが、他に手立てはないものかと思います。私が知っている日本の中企業のある社長さんは、従業員に年に一度必ず1週間以上の休暇を取らせます。その間仕事を引き継がなければならないので、変なことをしていたらバレてしまうからだそうです。

これほど日本の家族にとって良くない制度はないし、少子化の原因にもなっていると思います。米国では高校まで義務教育ですが、日本では中学までのせいか、高校の転校が難しいと聞きました。難しいのか、したくないだけなのかはわかりませんが、家族で引っ越して子供に転校させるより、お父さんだけ単身赴任ということがほとんどです。別にアパートを借りて住み、時折家に帰るというのは、経済的にも負担になり、日本の不動産業界を支えるための制度ではないかと、疑ってしまいます。

働き方改革の影響をうける賃貸仲介業

227日の日経新聞(引っ越し難 減る賃貸成約:不動産仲介、首都圏で倒産増加 働き方改革で転勤も抑制。)によると、働き方改革で転勤が減り、倒産する賃貸仲介業者が増えたそうです。

https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=1&n_m_code=083&ng=DGKKZO56089380W0A220C2EA1000

アメリカはどうかと言いますと、賃貸仲介という職業自体がほとんどありません。昔は、新聞の三行広告などを見て大家さんか管理会社に直接電話して、契約をしていましたが、今はネットがほとんどです。アメリカは、地方紙が日本に比べて非常に多いので、三行広告も割と安く出せたのです。数年前から、賃貸仲介という仕事自体が日本から消えてなくなるという話を聞きますが、働き方改革で引越しが減って、それに拍車がかかっているのかもしれません。

求めるべきモデルとは

そもそも、日本には不動産会社が多すぎるのです。10万軒以上あるそうですが(公益財団法人不動産流通推進センター発行「2019不動産業統計集」)、人口千人に一軒の割合です。アメリカのように、一生に6-7回家を購入するのならまだしも、ほとんどの人は1回です。その小さなパイを10万もの業者が取り合っているわけですので、経営は大変でしょう。それを支えてきたのが賃貸仲介ではないでしょうか。それがなくなったら、日本の不動産業者の多くが倒産するでしょう。

このブログは「そもそも」が多いですが、そもそも、なぜこんなに業者が多いのでしょうか。それは、元手がかからないビジネスなので、優秀な社員は、すぐに独立してしまうからではないでしょうか。米国では、不動産エージェントはほとんど自営業ですので、コミッションで生活しています。成績の良いエージェントは、もらえるコミッションの割合も高いので、独立する必要はありません。

優秀な社員が独立しても、2代目も優秀かどうかは分かりません。この構造は、どうにかしないと、寡占化が進むだけだと思いますが、どうでしょう。転勤が減り、賃貸仲介業がなくなるということは、米国に似てくるということですので、求めるべきモデルのヒントは、米国に見出せるかもしれないと思うのですが、私はアメリカかぶれしているだけなのでしょうか。