家は売る前に直した方がいいか、安く売った方がいいか

改装のコストと回収

 この疑問は、逆にすることもできます。修理の必要な家を安く買って直した方がいいのか、それともきれいに直してある物件を買った方がいいのか、皆さん、悩むところではないかと思います。

 NAR(全米不動産協会)のリアルター誌20201-2月号によると、ものによって差があるそうです。例えば、典型的な修理項目の中で、最も収益率がいいのが屋根だそうです。吹き替えにかかる平均コストは$7,500で、家の値段は平均$8,000上がり、7%の収益です。そのほか、樫木の床に張り替えるコストは、平均$4,700で、家の価値は平均$5,000上がり、6%の収益。同じ堅木の床でも、仕上げをし直すだけなら、コストと回収は同じで、平均$2,600だそうです。

逆に、回収できないのは、台所の電化製品も含めた全面的な改装で、平均コストが$68,000、回収は$40,000ですので、41%も損をします。冷暖房空調設備は、平均コストが$8,200、回収は$7,000で、15%の損。日本にはあまりありませんが、ガレージドアは平均コストが$2,100、回収が$2,0005%減です。

取り付けの場合

 これらは修繕あるいは取替ですが、元々なかったものを取り付ける場合はどうかというと、情報源は異なりますが、最も得をするのがハワイにはあまり必要ない暖炉で、最も損をするのがハワイによくあるプールだそうです。暖かいハワイでは、暖房が必要だと感じたことはないですが、それでも暖炉をつける人がいるのは、雰囲気がいいからなのでしょう。

改装すると本当に高く売れるの?

 きれいに改装したおかげで、改装費よりもうんと高く売れたというような話を聞くことがありますが、これらのデータを見ると、そうでもなさそうです。目安としては、ゼネコンを雇って仕事を丸投げしてしまうと、ゼネコンの費用が掛かりますので、高くつきますが、自分が一つ一つ業者を選んでやれば、改装したほうが得かもしれません。改装した場合は、ステージングをしたり、写真もプロに撮ってもらったりしないと、せっかくきれいにした意味が半減です。

一つの問題は、売る前に直したくても、お金がなければできないということです。借金してまではやりたくないという人が多いでしょう。家の売却は、いったん売れれば売却益が手に入りますが、それまでは、売る家と新居のローンあるいは家賃の支払いや引越などで、出費がかさみます。そんな中でお金を借りて、予定通りに売れなかったら、経済的大ピンチを招きます。

仲介業者の新しいビジネスモデル

 そこで出現したのが、新しいビジネスモデルで、売れるまで、仲介業者や改装業者がお金を貸してくれるというものです。不動産フランチャイズ・オーナーの最大手、リアロジー・ホールディングスの傘下である、コールドウェル・バンカーやケラー・ウィリアムズなども、一部の市場でこのビジネスを始めています。ちなみに、コールドウェル・バンカーもケラー・ウィリアムズも日本にはありませんが、センチュリー21やサザビーなども、リアロジーが所有するフランチャイズです。

改装業者で始めたのがカービオですが、彼らは、売主ではなく、仲介業者に営業をしています。カービオの改装は規模が大きく、最低$15,000です。逆に額が低いのが、仲介業に参入した不動産サイトのレッドフィンですが、彼らの場合、改装費を貸す、つまり立て替えるのではなく、提案して工事の監督をしてくれるだけで、費用は売主が出さなければなりません。もちろん手数料は取られます。

ついでに言及しておきますが、最近のブログで書いたジローズの場合は、ジローズが購入し、自分で必要最低限の改装をして売るというモデルです。いわゆるフリッピングというビジネスモデルで、通常のフリッピングは、ゼネコンがかなりの改修を必要とする物件を購入して、大規模な改装をして高く売るわけですが、ジローズの場合は、ネットによる薄利多売です。

テクノロジーで効率化

 そのジローズの調査によると、外壁塗装で最悪の色は黄色だそうです。もちろん、真っ黒に塗る人はいないでしょうが、黄色の家は時々見かけます。色彩感に著しく欠ける私でも、安っぽいと感じる色で、白に比べると価値が$3,000減。玄関のドアは黒がいいそうです。今まで経験則でしか分からなかったことが、ネットの参入で、色々と明らかになっているようです。

売る前に直した方がいいか、安く売った方がいいか

さて、購入者の立場から見ればどうでしょうか。インテリア・デザイナーとまではいかなくても、そういうセンスのある人、アメリカ人には多いのですが、日曜大工ができる人、はっきりとした好みのある人などは、安く買って、自分で直すのもいいでしょう。私のような人間は、現状でいいと思える家を買った方が無難かもしれません。