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バイデン氏のインフラ計画が不動産市場に与える影響

 

バイデン大統領が3月31日に$2兆超のインフラ計画を発表しました。つい先日ほぼ同額のコロナ救済法を可決したばかりですし、コロナ対策で急激に増え、GDPとほぼ同額になった国家債務をこれ以上増やしても大丈夫なのかという不安はありますが、それはさておいて、この政策が不動産市場に与える影響について、インマンの記事からご紹介したいと思います。

本日のトピックス

①「アメリカ雇用計画」と呼ばれる法案について
②米国の住宅難の実情について
③この法案が不動産市場に与える影響について

①「アメリカ雇用計画」法案とは?

まず一つ目、アメリカ雇用計画と呼ばれる法案について解説します。
この案によると、200万戸以上のお手頃価格物件の新築、改築、あるいは保守のために、$21.3億を投資します。議会に、近隣住宅投資法案を可決し、中低所得者向け住宅50万戸の新築や改築のために、向こう5年間、$2億の税額控除をすることを求めています。また、以前にもご紹介しましたが、集合住宅の建築を禁じたり、住宅1戸当たりの最低敷地面積や駐車場の数を規定したりする都市計画法(ゾーニング)の撤廃を求めており、そのような法改正をする地方自治体を優先的に援助するということです。また、公営住宅にも$4億の投資をします。

全米不動産協会(NAR)はこれを歓迎しています。米国は慢性の住宅難ですので、在庫が増えれば売買も増え、会員も儲かるということでしょう。住宅難が進み、ホームレス問題が深刻化しているカリフォイルニア不動産協会も、民主党地盤であることもあり、大歓迎のようです。

 

②米国の住宅難の実情

 上記の200万戸に新築が占める割合は分かりませんが、米国の2019年の新築住宅は68万戸です。これは、2005年の128万戸の約半分で、リーマンショック以後2011年には31万戸まで減り、まだ完全に回復していませんので、これを見ても住宅難の深刻さが分かります。また、中低所得者向けの物件を建てるより、高級物件を建てた方が、利幅が大きいことも、問題をより深刻化させています。

過去4年間は、共和党政権でしたので、民主党は何事にも反対しており、その前の8年間は、その逆でした。インフラ政策は、両党が協力できるのではないかと期待されていましたが、今のところその気配は薄いようです。インフラはいいが、増税はダメだということでしょうか。このブログで取り上げた住宅に関する支出も、それ自体インフラではありませんが、従来のインフラ支出が全体の15%しかなく、残りは民主党の願い事の盛り合わせだと言うが、共和党の言い分です。

 

③法案が不動産業界に与える影響について

私自身、国がお金を出してできることには限度があり、ここで上げた数字を見ても、金額は大きいですが、それで住宅難が解決するという規模ではありません。それよりも、ゾーニングの撤廃など、住宅を建てやすくする法整備の方が、民間を刺激して、長期的な解決になると思います。共和党の理念の一つは規制緩和ですが、ゾーニングの撤廃は、両党とも反対する人は多いでしょう。

今までのブログにも何度か書きましたが、米国によくある静観な住宅街は、ゾーニングで成り立っているのです。高級住宅街に小規模のアパートが建ったりすると、景観に悪影響があり、地域の物件価値が下がります。日本人が米国の物件を見て、こんなに敷地が広いんだから、2つに分けて2戸建てればいいじゃないかなどと言って笑われることがよくありますが、ゾーニングはそれを許さないのです。

ゾーニングは、民主党地盤のミネアポリスでは撤廃されましたし、共和党地盤のヒューストンには元々ありません。両党とも、相手の法案には反対する傾向がありますが、共和党も、規制緩和の精神に則って、協力できることを願っています。

 

参考 Realtors praise Biden infrastructure plan's focus on housing shortageinman

参考 FACT SHEET: The American Jobs Plan<br /> THE WHITE HOUSE 参考 NAR Thanks Biden Administration for Commitment to Housing in Infrastructure ProposalNational Association of REALTORS®. 参考 California REALTORS® applaud Biden Administration's Transportation and Infrastructure bill that addresses nation's severe housing shortageCISION 参考 Beyond the headlines: What to expect with rising mortgage ratesinman 参考 Number of new houses sold in the United States from 1995 to 2019statista