今日は、タイムシェアとコンドホテルを比較し、なぜ私がタイムシェアに否定的であるかを解説します。その共益費の負担や処分の大変さと対照的に、コンドホテルや短期バケーション・レンタルができるコンドは、初期投資はかかりますが、その後見込まれる収益についてご説明します。
この記事を動画で見たい方はこちら!
【ハワイに別荘を持つなら?】タイムシェアかコンドホテルか:絶対コンドがお得
タイムシェアは売り手が損をする仕組み
まだ新婚の頃、ラスベガスのホテルに二晩ただで泊まれるというDMが届きました。当時、私たちはロサンジェルスに住んでいたのですが、週の半ばに家内に一日有給を取ってもらって、前日の午後5時に職場に迎えに行き、夕方の便でラスベガスに飛んで、二晩泊まって翌朝一番の便で戻り、そのまま職場に送って行きました。もう40年以上前の想い出です。
なぜタダで泊めてくれるのかよく分からなかったのですが、初日の晩、「セミナー」に参加しなければいけないということでした。それは、タイムシェアのセールスで、説明があった後、1カップルに一人のセールスマンがついて、しつこく営業されました。当時、家内は事務の仕事をしており、私はフルタイムで大学院に通っていましたので、そんな余裕はないと言って断りましたが、ただで泊まれたわけが分かりました。
なぜここまでお金を使って営業できるのでしょうか。タイムシェアがそれだけ儲かるからです。皆さんも、ワイキキで似たような勧誘を受けたことがあるでしょう。でも、逆に言うと、買う方はそれだけ損をしているのです。実際、私は、よくタイムシェアを処分したいのだが助けてくれないかという相談を受けます。これは、専門の業者に頼むよりほかなく、物件によっては、売却でお金が戻るどころか、いくらか払って処分しなければならないこともあります。日本の業者に頼むこともできますが、米国より高くつきます。
タイムシェア売却で詐欺にあいかけた話
初めてタイムシェアの売却を頼まれたとき、それがどれだけ大変なことであるかを理解しないまま、売却サイトにお金を払って宣伝したことがあります。ほとんど反応がない中で、奇妙な問い合わせがありました。このタイムシェアを買いたいのだが、海外旅行中で自分はできないので、代わりに顧問弁護士に手続きをやってもらいたい。彼とまだ連絡が取れてないのだが、弁護士代とタイムシェアの購入価格をまとめて送るから、弁護士と直接やり取りして、弁護士料も送ったお金の中から払ってくれと言うのです。
ちょっと変だなとは思いましたが、お金は向こうが払うと言っているし、他に買手もいないので、オーケーしました。まもなくテキサスの銀行から銀行小切手が送られてきました。普通の小切手ではなく、銀行にお金を払って銀行が発行する小切手ですので、不渡りになることはありません。念のために調べると、実在する銀行です。これを私の口座に入金して、弁護士に連絡し、差額を彼に送ればよいのですが、なぜ購入者本人がそうしないのかがどうしても腑に落ちません。連絡が取れないとは言え、急がないと売れてしまうようなものではないし、普通なら連絡が取れてから私にメールするでしょう。
そこで、彼から来たメールの文章をコピーして、ネットで検索したところ、他にも同じメールを受け取った人が何人もいて、詐欺だということがわかりました。彼から来た小切手は偽物でしたが、それが発覚するまで数日かかりますので、それまでに弁護士と名乗る人(多分私にメールした本人)が私の小切手を受け取って現金化すれば、彼は「弁護士料」を騙し取ることができるという仕掛けです。警察やFBIにも連絡しましたが、タイムシェアを売るのは、こんなに大変なものかと、痛感させられました。
タイムシェアの所有は地獄!?
脱線しましたが、タイムシェアはお勧めしません。ハワイに物件を持っていると言えますので、プライドがくすぐられるのかもしれませんが、安易に購入すると、待っているのは地獄です。中には価値の上がるものもありますが、共益費は上がる一方で、そのほとんどは、物件の保守に使われるのではなく、宿泊予約などの事務的費用なのです。いらなくなったら売れる、仮に売れなければ返せばいいと思っている方もいらっしゃいますが、簡単に「返品」できるわけではありません。「返品」されれば、それだけ収入が減るからです。米国では、タイムシェアを処分してくれる会社がテレビやラジオで宣伝しているのをよく聞きますが、それだけ処分したい人が多く、それを買ってもいいという人がいないのでしょう。
コンドホテルと短期バケーションレンタルができるコンドとは
その点、コンドホテルや短期バケーション・レンタルのできるコンドは、これらの費用が物件の収入でカバーされますので、安心です。コンドホテルとは、一見通常のホテルですが、部屋がコンドのように区分所有になっています。不動産に抵当ローンはつきものですが、分譲して売ってしまうことで、債務なしにホテル経営ができるというわけです。唯一の違いは、購入する人は別荘としても使いたい人が多いので、キッチネットやフルキッチンがついている部屋が多いということです。
短期バケーション・レンタルのできるコンドとは、通常のコンドですが、リゾート地域にあるため、B&Bの経営が認められているものです。B&Bはどこでやってもいいと思われる方も多いと思いますし、実際、そのような規制のないところはいくらでもあります。しかし、オアフ島では、リゾート地域と一部の例外物件以外、もともとそれが禁止されており、長年施行されていなかったのですが、2019年に新法ができて、厳しく取り締まることになりました。
コンドホテルを数人で共同保有する場合
一人で買えない方は、信頼できる方とお金を出し合って買うのも良いと思います。法人を作れば、売却も株を売るだけで済みます。どのように使うか、特によく使う人と使わない人の収益の分け方、あるいは赤字の埋め方は、相談して決めればいいでしょう。所有者が複数で利用日数が多いと、収益が減りますので、赤字になることもあります。全く使わなくても赤字になる物件もありますが、そのような物件は泊まる人が少ないから赤字になるわけですので、頻繁に使ってもそう変わりはないかもしれません。ホテルとして運営してもらうか、管理会社に頼んでB&Bをするかによってかなり違いますが、平均的なキャップレート(営業純利益÷物件価値)は、1~4%くらいです。
コンドホテルの収益性
このようにして、バケーションを楽しむばかりか、収益を得ることができ、売却するときには、キャピタルゲインも望めます。これも物件によってかなりまちまちですが、短期レンタルが可能な物件全部の過去20年の単純平均は、土地付き物件に絞ると年3.6%ほどの上昇率です。この計算には設備改良などの追加投資が含まれていませんが、それは共益費に含まれており、その分毎年のキャップレートが下がっていますので、逆にその分キャピタルゲインが増えて、内部収益率(総合利回り)に反映されます。
また、ハワイに投資しているわけですので、ハワイ旅行を経費で落とすことも可能かと思いますが、それは会計士か税理士にご相談ください。日本の最高税率は、地方税も合わせると55%ですので、高収入の方は半額以下でハワイ旅行ができるということになります。
高級ホテルコンド リッツカールトンとトランプタワー
比較的新しくて高級なのは、リッツカールトンとトランプタワーで、どちらも収益はほとんどないか、赤字です。ただ、高い共益費や固定資産税を収益でほぼカバーできるというだけです。自分のバケーションに使うことが主な目的であれば、それで問題ないでしょう。数少ない2LDKのコンドホテルも、この二物件には多いですが、大家族でない限り、1LDKでも十分泊まれるでしょうし、ホテルコンドの2LDKは非常に高いです。
また、この二つのホテルコンドは、部屋専用の駐車スペースがあるわけではありませんが、オーナーが泊まるときには無料で駐車できます。そのほかのコンドホテルは、有料だと思います。また、室内備え付けの洗濯機と乾燥機も、この二つ以外にはほとんどないでしょう。他のコンドホテルはランドリールームがあるところが多いです。ただし、トランプタワーのワンルームにはなく、ランドリールームもありませんので、ホテルのサービスを使うか、スーツケースにでも入れて最寄りのコインランドリーに行くよりほかありません。
海の見える部屋とそうでない部屋の収入の格差は大きいです。トランプタワーの東側の低層が安く買えるのも、それが大きな理由です。しかし、安いホテルは、海の見える部屋がないというところもありますので、それほど関係ないかもしれません。
短期バケーションレンタルが可能かどうかは必ずエージェントに確認を
ワイキキにあっても、短期バケーション・レンタルができない物件もありますので、ご注意ください。カカアコにはコンドホテルはありませんし、短期バケーション・レンタルができるコンドもありません。2019年に短期レンタルの規制が厳しくなるまでは、やっていたところもありましたが、以前は、カカアコのコンドを買ってAirB&Bで貸せると思っていた方もいたようですので、購入する際には、必ずエージェントに確認してください。
この記事を動画でチェック!
今日は、タイムシェアと短期バケーション・レンタルができる物件を比較し、オアフ島の短期レンタル物件について、簡単にご紹介しました。このチャンネルではハワイでのオープンハウスの様子や、アメリカ・ハワイの不動産マーケットの情報をお届けしています。アメリカの不動産に興味のある方、ハワイで不動産を持ちたい方は是非チャンネル登録をお願いします。