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ホノルル チャイナタウンの再開発 ーホノルル・シヴィル・ビートー

チャイナタウンは、ホノルルダウンタウンの西部ですが、小規模の中国系の店舗が多く、古い低層ビルが立ち並んでいます。今日は、その一部の再開発に関する情報をご紹介します。

都市の成長の仕方

 先日、私が属している全米認定不動産投資顧問協会の市場調査の授業があり、今回初めて講師を担当させていただきました。その中で都市の成長の仕方も勉強するのですが、最も古い説が、1920年代の初めにシカゴ大学の地理学者アーネスト・バーゲスが発表した、同心円説です。同心円状に、ダウンタウンの周りに工業系や低所得者向け住宅の推移帯ができ、郊外に行くにつれて、高級住宅街になるというものです。

メインランドには、ポスト同心円説とでも言える状態の都市が多くあります。中流階級の黒人が郊外の住宅を購入すると、近所の人は、人種差別者でなくても、住宅価格が下がるのを恐れ、売ってさらに郊外に移ります。こうして中流階級はどんどん都心から離れていくのですが、最終的には遠すぎて通勤できなくなります。同時に、推移帯はスラム化し、地価が下がりますので、再開発が進むのです。米国の多くの大都市は、今この状態にあるでしょう。

ホノルルの再開発

 ホノルル市にはこのような人種問題はほとんどありませんが、この説に沿って成長したと言えるでしょう。現在再開発が進んでコンドが建ち並んでいるカカアコは、元々推移帯にあたる倉庫街でした。今でも工業系物件は多く残っています。しかし、ダウンタウンとアラモアナ・ショッピングセンターの間と言う絶好の場所を工業系として使うことはもったいないので、この10年ですっかり様変わりしたのです。

カカアコはダウンタウンの東側ですが、私は、次に再開発が進むのは西側のチャイナタウンではないかと思っています。カカアコと違って、チャイナタウンのさらに西は、アラモアナ・ショッピングセンターのような魅力のある街並みではありません。しかし、カカアコよりもさらにダウンタウンに近い、と言うよりダウンタウンの一部ですので、再開発は進むと思います。

チャイナタウン。私は後ろの茶色いタワマンに住んでいます

ちなみに、私もチャイナタウンの高層コンドに住んでいるのですが、それはたまたまこの地域が私にとって便利だったというだけです。とは言え、ダウンタウンですので、これ以上便利な場所はほかにないでしょう。

メインランドの場合、あまりにも遠くに住んでいる富裕層が住むための高級コンドが開発されることが多く、ホテルと併設されることもあります。スラム化した大都市のダウンタウン周辺の再開発は、高級化(gentrification)と呼ばれ、当初は良いことだと思われていましたが、最近は、貧しい人が住む場所がなくなるという理由で、悪く言われることが多いのです。

チャイナタウンの再開発

チャイナタウンの場合、現在計画中のものは、この地域に住んでおられる低所得者のご老人向けのアパート開発です。再開発されても、住む場所がなくならないように、いや逆に増えるようにと言う市の配慮でしょう。その一つは、156戸のハレヴァイオル・シニア・レジデンシズです。$9,300万のプロジェクトで、6年前から決まっていたのですが、やっと今年起工式が行われ、2023年に完成予定です。

チャイナタウンにシニア高層住宅(ホノルルスターアドバタイザー2021年6月9日)

 また、市のプロジェクトではありませんが、6階建てで、55歳以上向けのお手頃アパートもケカウリケ通りに計画されています。22階建てにする予定だったそうですが、近隣住民の反対に遭い、低層にしました。それによって、ハワイ州から税控除を受けやすくなるそうです。49戸のワンルームで、総工費は$3,000万。所得中央値の30~50%の人のみ、入居できるそうで、着工は2023年の予定です。

このアパートの隣に、ホテルも計画されています。$1.27億で、15階建て、240室です。ダウンタウンには、今のところエグゼクティブ・センター・ホテルしかありませんし、将来できる予定の電車の駅が近いので、ホノルル空港に発着するビジネス客には便利でしょう。電車の工事は始まっていますが、チャイナタウンまで届くのはいつになることやら。このホテルの着工もまだ先の話で、2024年の予定です。

しかし、海が見えなくなると反対する住民もいます。私のコンドは、海からは遠いし、ラナイから乗り出さないと見えませんので、関係ありません。しかし、オーシャンビューのコンドから海が見えなくなると、市場価値にも響きます。逆に、再開発が進むことによってこの地域全体の価値が上がるということも言えます。私が住んでいるコンド周辺はそれほどではありませんが、ホテルのできる地域はホームレスや犯罪も多いので、再開発を望む声も多いです。

ホテル建築に伴い、すぐ隣の築100年以上の歴史的建造物、CQイー・ホップも改装され、レストランと博物館になる予定です。チャイナタウンは1800年代の面影を残しており、それを守りたいと望む人もいますが、当時の活気を失ってしまった今、再開発しかないと考える方もいるでしょう。

高層ビルでチャイナタウンが失われる(ホノルルシヴィルビート2021年10月27日)

日本人観光客も、以前より増えたようです。結婚式の記念撮影をしているカップルを見かけることもあります。まだ訪れたことのない方は、コロナ終息後、是非いらっしゃってください。お声をかけてくだされば、コンドから歩いてご案内に参ります。

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