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脱北者ヤンミー・パークさんのその後

皆さんクリスマスおめでとうございます。私はボランティアで牧師をしていますので、クリスマスくらいは何かそれっぽい話をしたいと思います。

母の世話のために8月にハワイから帰国してもう4か月経ちました。家族とも別れ、車いす生活の母の食事、着替え、トイレの世話などに明け暮れる日々を過ごしていました。その間、落ち込んでいたわけではありませんが、何か、満足していなかったことは確かです。

満足できないと、感謝の気持ちを持つこともできません。感謝の気持ちを持てないと、幸せだと感じることもできません。母が私のためにどんな犠牲を払って育ててくれたかを考えると、今の私の苦労など、比べ物にならないし、それを苦労と呼ぶこと自体がおかしい。母に感謝しながらお世話するのが当然なのですが、私の気分の方は、そう思ってはいないようです。

ある聖書の講師が、人は自分の幸福に責任があると言っていました。自分の幸せは環境が決めるのではなく、それは自分の選択だというのです。そればかりか、自分を不幸だと思っている人は、周りの人にも悪影響を与えます。自分の幸せが自分の責任であるばかりでなく、自分の周りの人達に対しても、自分が幸せである責任を持っているというのです。幸せになる責任ではなく、幸せである責任です。

私は、自分もクリスチャンだし、そんなことは分かっていると思っていましたが、ふと今の自分を見たときに、何も分かってないなと思いました。別に不平不満をばらまいていたわけではありませんが、少なくとも幸せをばらまいていたわけではありません。この態度は改めなければならないと心に決めました。

最近、ヤン・ミー・パークさんと言う脱北者のインタビューを見ました。中国との国境の町に生まれ育った彼女は、13歳の時、お姉さんと中国に逃げるつもりだったそうです。逃げる(escape)という言葉は、北朝鮮では使われてないので、逃げようと思ったのではなく、ただ中国に行って腹いっぱい何か食べたいと思っただけだそうです。

それを助けてくれる人がいると聞いて、手はずを整えたのですが、盲腸炎になりました。麻酔なしの手術をして退院したときには、飢え死にしそうだった姉は既に脱出していたのです。自分もお母さんと一緒に後を追ったのですが、実は、脱北を助けてもらったのではなく、全員、売られたのです。しかし、北朝鮮で飢え死にするよりはましで、売人には感謝しているとのことでした。

こうして13歳から売春をさせられ、その後チャットルームで働くようになって韓国人客から韓国の様子を聞いて驚き、一緒に働いていた女性から助けてくれる宣教師の話を聞いて駆け込み、死ぬ可能性の方が圧倒的に高いと言われたゴビ砂漠を真冬にコンパスだけを頼りに横断して、モンゴルに逃げたのです。モンゴル兵士に見つかって、また中国に送り返すと言われました。そうなると北朝鮮に返されてしまうので、もしもの時のために渡されていた毒を飲んで死んだ女性もいたそうですが、兵士たちは彼らをからかって楽しんでいただけでした。こうして韓国大使館に保護され、韓国に入国できたのです。

お姉さんとは数年後に再会できたそうです。お父さんは男性ですから、中国に性奴隷として売ることはできませんので、北朝鮮に残されていました。ひどい拷問を受け、再会できたときにはすでに魂は死んでいたと話しておられました。

ある国際青年大会がアイルランドで開かれ、北朝鮮も招待されました。しかし、北朝鮮は、一人の代表を送ることを拒否しました。3人送って、お互いを見張り合うようにしないと、脱北する可能性があるからです。そこで、この団体は、韓国に住んでいたパークさんを北朝鮮代表として招いたのです。

 

民族衣装を着てスピーチするパークさん

彼女は、とても美しく優秀な方で、韓国で既に習得していた英語でスピーチをしたのですが、SNSで100億近いヒットがあったそうです。私も見たことがあり、その内容に驚き、感動しました。今回、パークさんのインタビューを見たときには、話を聞くまで、同一人物だとは知りませんでした。

このスピーチがきっかけになって、彼女は米国の出版社から本を出すことになり、アメリカに移住しました。どのような状態にあっても、I decided that I’m going to be happyと言う彼女の言葉が印象に残りました。訳せば「幸せになると決めた」ですが、「幸せであると決めた」とも解釈できます。インタビューをしていた人は、後者と解釈していました。今は不幸でも、将来幸せになると決めただけでも素晴らしいですが、どのような状況においても、自分は幸せであるという選択です。

彼女は後に、名門のコロンビア大学に入学しましたが、つまらないことで、虐げられていると言って社会を非難している教授や学生たちに反論したところ、あなたは洗脳されていると言われたそうです。パークさんが言うには、本当に虐げられている人は、自分が虐げられていることすら知らないというのです。キム・ジョンウンが、あれだけ太っているのに、彼も国民と同じように飢えているのだというプロパガンダを、みんなが信じているそうです。

インタビューをした人もたまたま同じコロンビア大学卒で、話が弾んでいましたが、彼女に言わせると、大学のインテリ層は、恵まれた米国で社会悪発見ゲームをしているだけだと嘆いていました。男性が女性のためにドアを開けてあげただけで、それを男尊女卑の表れだと授業で真剣に話し合っているのが、信じられないというのです。

私はそんな気の利いたことはしないので、論外ですが、パークさんや、衰えてもいつも神や私に感謝してくれる母を、見習うべきだと思いました。母は、残念ながら誤嚥性肺炎で入院してしまいました。肺炎自体はよくなりましたが、誤嚥が直らないので、そう長くはないでしょう。

息子たちは、19日にハワイから帰国しましたが、同乗した乗客にコロナ感染者がいて、14日間大阪のホテルで隔離されることになりました。松山の実家に来ても、どうせ何もできませんし、仕方がありません。ホームレス・シェルターで働いている次男は、去年の今頃、コロナに感染して2週間ホームレス用の施設で隔離されましたが、2年続けて監禁クリスマスです。隔離期間が終わったら松山に帰省し、同時に母も退院する予定です。帰宅願望が強いわけではないのですが、最後に孫たちと楽しい時間を過ごしてから、天国に行けたらいいなと思っています。それでは、皆さんも、良いお年を。

「まことに、あなたに告げます。あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます。」(キリストが一緒に十字架刑になった盗人に語った言葉、ルカによる福音書23章43節)